投資家の目線

投資家の目線996(李強首相の湾岸諸国訪問)

 中華人民共和国(中国)の李強首相がサウジアラビアとアラブ首長国連邦(UAE)を訪問した。サウジアラビアのムハンマド皇太子兼首相との会談では互いに、エネルギー、投資、金融、人的・文化的分野の交流と協力を推進することを表明している(李強総理がサウジのムハンマド皇太子兼首相と会談、中国・サウジハイレベル合同委員会会合を主宰--人民網日本語版--人民日報 (people.com.cn) 2024/9/12)。李強首相は、UAEのビジネスフォーラムでは、『一帯一路』の質の高い共同建設、貿易、新エネルギー、観光などの分野での協力、先進製造、デジタル経済、人工知能などの最先端分野で協力の推進を訴えている(李強総理が「中国UAEビジネスフォーラム」でスピーチ--人民網日本語版--人民日報 (people.com.cn) 2024/9/13)。先日は、ロシアのラブロフ外相もロシアとペルシャ湾岸諸国協力会議の閣僚会議に出席し、パレスチナ国家創設に向けた交渉の支持などを表明している(Sputnik 日本 on X: "「戦略対話 ロシア=湾岸協力会議」閣僚会議 ラブロフ露外相 記者会見での主な声明 🔸 西側諸国はウクライナに関する公正な合意は望まず、ロシアの戦略的敗北だけを望んでいる。 🔸 ウクライナに関する交渉は、場所と時間の合意は簡単だが、まずは理解せねばならないのは、 https://t.co/MMVHNlga6Y" / X 2024/9/9)。日本では中ロの連携が盛んに報道されるが、サウジアラビアをはじめとする湾岸諸国も新しい世界の主役の一大勢力になっている。

 

 日本の原油輸入先は、2024年7月の速報値で1,005万klのうち首位UAEが493万kl、第2位がサウジアラビアで359万kl(経済産業省HP)と、両国で84.8%を占める。現在、岸田首相が出馬を断念した自由民主党総裁選が行われている。ムハンマド皇太子は訪日をキャンセルして2022年カタールW杯開会式に出席したことがあるが、新しい首相は産油国との関係を立て直すことができるだろうか?

 

 以前にも書いたが(投資家の目線376(アーミテージレポートと韓国))、「イギリスは、ヨーロッパの統一に背を向け、アメリカの政策に永久に従属することを選択したのだった」(「外交 下」ヘンリー・A・キッシンジャー著 岡崎久彦[監訳] 日本経済新聞社 p147)、「フルシチョフはイギリスがアメリカから離れられないと認識した時から、交渉をアイゼンハワーに集中した。フルシチョフの見方では、マクミランはワシントンを交渉にまき込むことによってその目的を果たしたのだった。つまるところ、フルシチョフが求めているものを与えてくれることの出来る唯一の交渉相手は、アメリカ大統領であった」(同 p220)。日本が米国の政策に永久に従属する限り、外国政府は米大統領と交渉すればよく、日本と交渉する必要はない。米国との関係を過剰に重視すれば、産油国との関係改善は期待薄だ。

 

 中国と国境紛争解決に向けて合意したバーラトは、中国から投資も呼び込もうとしている(「中国からの投資に門戸閉ざさず=インド外相」 2024/9/10 ロイター)。クアッドなど何か役に立つに立つのだろうか?

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