投資家の目線

投資家の目線763(米国の欧州からの入国禁止措置)

 3月12日、米国は英国を除く欧州からの入国を13日から30日間停止すると発表した(「米、欧州からの入国を30日間停止へ」 2020/3/12 共同通信)。16日からは英国・アイルランドにも拡大される(「米、英国・アイルランドも入国禁止 16日から」 2020/3/15 日本経済新聞WEB版)。新型コロナウィルス感染拡大防止の措置だという(新型コロナウィルスは、米国発という説もある。昨年、米国で電子タバコが原因とされる肺炎が流行した)。世界中が反グローバリズムとなり外国との交流が減少すれば、外国からの疾病の侵入も減るだろう。14世紀のペストの蔓延も、モンゴル帝国の成立で東西の交流が盛んになったことに関連があると考えられている(「疫病と世界史」 大阪市立大学大学院経済学研究科教授 脇村孝平 帝国書院 高等学校 世界史のしおり 2004年1月号)。
https://www.teikokushoin.co.jp/journals/history_world/pdf/200401/history_world200401-01-04.pdf

 この制限措置には貿易は含まれないという(『トランプ氏、欧州からの入国制限「貿易は含まず」』 2020/3/12 日本経済新聞WEB版)。サプライチェーンの関係等から当面は欧州とのモノのやり取りは続くだろうが、トランプ政権のように米国がバイアメリカン政策をとれば欧州との貿易も減っていくのではないか?「異常な契約 TPPの仮面を剥ぐ」(ジェーン・ケルシー編著 環太平洋経済問題研究会 農林中金総合研究所 共訳)にも、NAFTAについて「民主党に投票した大半の者は長らく貿易体制の現状維持に反対してきたし、共和党の支持者の三分の二も外国との貿易は米国にとり、悪影響をもたらすものであるという見解に賛成している。それは、外国からの輸入は、米国製品への需要を減少させ、国内の雇用機会を犠牲にし、潜在的に安全性上問題な製品の製造を許してしまうからだ。事実、新しく結成された保守勢力である茶会党の運動も現状での貿易にはきわめて懐疑的な勢力となった」(p61)と書かれている。民主党員も共和党員も新自由主義的貿易協定に批判的で、トランプ政権の支持、不支持に関係なく、バイアメリカン政策には賛成が多いだろう。

 3月11日、静岡県に拠点を置く、日産自動車を主要取引先とする自動車駆動部品メーカーのユニバンスが国内拠点で約200名の人員を削減すると発表した(ユニバンスHP)。日本は、少子高齢化のうえに、自動車の使いづらい大都市へ人口が集中しており、自動車需要の拡大は難しい。海外輸出が難しくなれば、自動車関連の生産拠点の縮小が続くのではないだろうか。
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