投資家の目線

投資家の目線698(ペンス米国副大統領来日と日米経済対話)

 ペンス米国副大統領が来日したが、麻生副総理との日米経済対話はなかった。麻生副総理は第1次世界大戦終結100年の記念式典に出席、帰国後も経済対話は行わなかった。麻生副総理は、昨年9月には北朝鮮情勢を口実に日米経済対話の準備会合のための訪米を中止した。よっぽどペンス副大統領と会いたくないようだ。「ナチス」発言も向こうから会談を断るように仕向ける口実づくりになってきているように見える。日米経済対話は安倍首相から提案したというが(日米経済対話は首相が提案、安保議論と分離の意味=自民・下村氏 2017/2/12 ロイター)、本当にやる気があるのか?

 『韓国作成「徴用工企業299社リスト」に日本企業の担当者絶句』(週刊ポスト 2018/11/23号)には、麻生セメント、森永製菓、神戸製鋼所、ペンス副大統領との経済対話をすっぽかした安倍政権の関係企業がある。安倍総理の地元山口県には三菱重工、宇部、マツダもある。安倍政権にコケにされた米国は、徴用工問題では韓国を支援するかもしれない。

 日本側が交渉から逃げ回るなら、米国側はかつてペリーが空砲を放ったように、あるいはハルノートを出してきたように逃げられないような手段をとってくるだろう。日独伊三国同盟で米国が譲歩したとは、寡聞にして知らない。TPPやRCEPを締結しても、米国との交渉には何の役にも立たないだろう。

 「容赦なき戦争 太平洋戦争における人種差別」(平凡社 ジョン・W・ダワー著、猿谷要監修、斎藤元一訳 P185)には、ロバート・クレイギー駐日英大使は「日本人の間で生活するのが長くなればなるほど、ますます彼らが不可解になると、『古い日本の専門家』は言うだろう」、ジョゼフ・グルー駐日米大使は日本人のことを「彼らの思考過程や合理性の感覚を西洋の物差しで計ることは、人を惑わせ不正確なものになるでしょう」と述べたことが書かれている。また、「敗北しつつある大日本帝国 ー 日本敗戦7カ月前の英国王立研究所報告ー」(刀水書房 坂井建朗訳 P224)は、「日本人は素朴で、情緒的には抑圧されている。彼らは何よりも自分たちの過去と悪質な教育制度によって教えこまれた教義の犠牲になっている。キリスト教を理解すれば、日本人はその道徳心を発達されるに相違ない」と述べている。キリスト教が主流の欧米では、非キリスト教社会の人々の考え方は理解できないのだろう。大韓民国の李承晩大統領、中華民国の蒋介石総統、ベトナム共和国(南ベトナム)のゴ・ディン・ジエム首相、米国が支援した人々は3人ともキリスト教徒だった。外務省HP(2018/3/27)の大韓民国のデータによれば、宗教人口比率53.1%、内訳はプロテスタントが34.5%、カトリックが20.6%とキリスト教徒が人口の約3割にのぼり、日本国のキリスト教系信者の比率1.0%(文化庁HP 解説 宗教統計調査と『宗教年鑑』 平成23年12月31日現在)よりはるかに高い。キリスト教の精神を理解する人々の多い大韓民国の方が、日本国より思想が近く欧米諸国には受け入れやすいだろう。

 日本では中国の知的財産侵害を問題視するが、1982年にはIBM産業スパイ事件で三菱電機や日立製作所の社員が逮捕された。また「東京アンダーワールド」(ロバート・ホワイティング著 松井みどり訳 角川文庫 P171)には、米国に調査団を送りサンプルを持ち帰った、大手を含む多くの日本企業がランズバーグ氏の静電塗装技術を使った製品を製造して許可なく使用、さらに彼の特許料支払い要求を拒否し、「家庭用品製造組合」を結成して訴訟に対抗したことが書かれている。知的財産侵害は日本の方が先輩だ。

 経済問題からも、価値観の問題からも、北東アジア諸国のなかで米国が日本を優遇する根拠は何もない。

追記:中華人民共和国は、16日に142項目の対米貿易改善案を提出した。同国は日本と異なり、ちゃんと米国と交渉している。また、「アメリカのジレンマ」(渡辺靖著 NHK出版新書 P158)には米国で若者を中心に無宗教者が増加していることが書かれている。無宗教者が増えれば、共産主義が無神論だということを理由に「反共」になることはないだろう。

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