投資家の目線

投資家の目線651(イージス・アショア)

 2018年度の防衛予算が過去最高の約5兆1,900億円になる(「防衛費5兆1900億円、最大、来年度予算案、ミサイル防衛強化。」2017/12/16 日本経済新聞 朝刊)。イージス・アショアなどミサイル防衛に関する項目が多く、『近年、ミサイル防衛が目立つのは「北朝鮮の相次ぐ挑発行為で緊急性の高さが認められるようになった」(政府関係者)ためという』(「安保環境の急変に対応、防衛費、補正に前唐オ計上定着。」2017/12/16 日本経済新聞 朝刊)。

 1994年には、朝鮮半島で第1次核危機があった。それに関して、「2006年の米時事週刊誌ニューズウィークの報道によると、1回目の北朝鮮核危機時、米国防総省の模擬実験の結果、韓半島(朝鮮半島)で戦争が起これば韓国軍49万人・米軍5万2000人をはじめ100万人以上が死亡し、610億ドル(現在のレートで約7兆円)の戦争費用がかかるとの推算が出たという」(『「1998年金大中・ペリー会談」米機密文書公開』 2017年12月11日 朝鮮日報)。North Koreaには、射程範囲内に日本全土が入るノドンと呼ばれる中距離ミサイルが200~300発あるという。西日本や九州北部ならそれより射程の短いスカッドミサイルでも十分だろう。

 また以下の記事では、ジョン・ホプキンス大学のシミュレーションによれば、東京で爆発力250ktの核弾頭が爆発すれば、800万人(うち死者180万人超)を超える死傷者が発生するケースがあるという。

『北朝鮮の核攻撃を受けたら東京だけで最大800万人を超える死傷者シミュレーションも!米ジョンズ・ホプキンズ大の北朝鮮分析サイト「38ノース」の試算をIWJが全文仮訳!』
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/407691

 人口の一極集中化は、空襲の標的を大きくするようなものだ。しかし、人口の首都圏一極集中化の是正は遅々として進まない。ミサイルの避難訓練はしゃがんで頭を抱えるだけで、防空壕や核シェルターは作らない。安倍首相は今年4月13日の参議院外交防衛委員会でNorth Koreaがサリンを弾頭に使用する可能性を指摘したが、イスラエルと異なり、市民にガスマスクを支給したりしない。かつて司馬遼太郎が、敗戦間際、東京周辺に上陸する米軍を迎え撃つために南下する戦車部隊が北上する避難民と遭遇したときどうすればいいか尋ねたところ、参謀は踏みつぶしていけと答えたというが、今では交通インフラが改善され、迎撃と避難誘導がスムースに行くようになっているのだろうか?

 人口の分散や、避難路の整備は大地震など災害での被害を減らすことにも役立つ。米国からのミサイルシステムの購入は一時的には貿易収支の均衡に役立つかもしれないが、人民の安全に資するならミサイルよりそちらの方が先ではないのか?
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