アトリエ天藤一級建築士事務所 ATELIER TENDO

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家を建てるということ

2006-11-09 | コラム 

5001_1 家を建てるという、一生の間に何度も経験することの無い大仕事は、善くも悪くも国が管理しているわけではないので、自分の甲斐性、感性で実行しなきゃいけません。
町の人達が総出で手伝ってくれるわけではありません。
共同体意識は50年前に捨ててしまいました。
茅葺きの屋根の葺き替えをテレビなどで見たことはありませんか。村中総出で協力して順番に屋根を吹き替えていましたね。
今のような時代ではそんな共同体はうっとうしくてという人も多いと思いますが、木造の古い田舎家は文化財になるほどしっかりしていて、品格があると思いませんか。
個人の力だけではこうはいきません。
見かけ倒しの安普請、10年過ぎたらバラック群を予感するような街並になったとしても、それぞれに美意識も違うし、事情も違うし、他人の家にとやかく文句は言えません。
自分の責任で、なんでも選べるということは不自由ということと表裏一体です。
一歩違うと醜悪にもなるし、シックハウス症候群で苦しむことにもなりかねない、って脅かす気持ちはないけど、結果は自分で背負うことになります。

必死で建てた家には、本人の人生観や知的レベルが現れると思います。

このことは学歴がどうとか収入がどうとかということではありません。
まず、良い意味での共同体意識、地域の住民という自覚、社会性が欠かせません。でなければ、自分さえ納得していればいいわけでしょ。地域で景観論争が起きるのも無理からぬことです。
そして、不幸にして自分の家が欠陥住宅であったとして、(訴えるとしても)たいていの場合は個人で対処することになります。

このように家を建てると言う行動は個人の能力の限界を超えた、まったく、たいへんな作業です。

けれど、自力でせよというんだから、個人としてできることは、技術は信頼できる専門家の智恵を借りることです。すみません、これは私の宣伝です。
が、暮し方や生き方は自分で見つけるしかありません。
人生観や知的レベルというのはこのことです。
自分や家族にとって、見せ掛けでなく、本当に豊かな暮しって?
まずはどんな暮しをしたいのか家族でわいわい、語りあってみませんか。
夢見ることから始まります。

■200年耐用住宅の建設促進・自民が税優遇や建築補助検討

耐用年数が200年にも及ぶ長持ち住宅の建設を促進するため、自民党が優遇税制や建築費補助制度創設などの検討に入る。通常の住宅よりも強度のある骨組みを採用した住宅や住み替え需要に対応しやすい間取り可変の住宅などが対象だ。住宅取得にかかる負担を軽減し、根強い貯蓄性向を消費に転換させる狙いがある。
党住宅土地調査会は週明けに小委員会を新設し、具体案づくりに着手する。6月に施行された住生活基本法が打ち出した「住生活の安定の確保」の一環だ。来年5月をメドに「200年住宅ビジョン」の提言をまとめ、2008年度の税制改正や予算編成に反映させる。(11月4日/日本経済新聞 夕刊)より

街のインフラを整備して、災害にも強く安心して暮らせる街を、歴史に耐える街並を、創る公共工事を推進して欲しいですね。