ウィルスのせいで、ドラマの制作が休止になり、制作中断、新作放送中断になる・・・そんな事態、これまで私は味わったことがなかった。
しかも、その本数はけっこうな数に及ぶ。
私が見続けていたドラマの中では、朝の連ドラがそうだし、大河ドラマもそうだ。
「ミタゾノ」に至っては、せっかく新シリーズが始まったと思ったら、いきなりの中断。
異常事態ではないか。
しかし、理由がコロナの感染防止では、制作中断、放送休止という状況を批判できる人はいないだろう。
テレビ局というのは、番組に穴をあける・・・という事態は、もっとも避けたいことのひとつであろう。
たとえ制作スケジュールが相当きつくても、ドラマ制作側はなんとかして、新作を放送予定日に間に合わせるものだ。穴があく・・・ということは、めったにない。
どうしても制作が間に合わなくなる時は、その番組自体を終了したりする。
たとえばかつての初代「ウルトラマン」がそうだったらしい。
視聴率は驚異的な数字を叩き出していたが、ドラマ制作が放送スケジュールにおいつかなくなり、円谷プロの初代「ウルトラマン」は制作終了したはずだ。
で、円谷プロのウルトラシリーズの次回作までのつなぎで他社に「キャプテンウルトラ」を制作してもらって時間をかせぎ、「キャプテンウルトラ」が放送終了後に、再び円谷プロ制作のウルトラシリーズであった「ウルトラセブン」が制作&放送されたはずだ。
まあ、それはともかく。
ともかく、放送に穴をあけるということは、タブーなできごと。
なので、なんとか放送に間に合わせようと、制作スタッフは不眠不休で働いたりする。
それはドラマだけでなく、アニメもそうだ。
だが・・あれほど嫌がって避けてきた「番組に穴があく」「新作が間に合わない」という状況は、コロナによってあっさりと起きてしまった。しかも次々と。
コロナによって、コロナ前とは少し変化した価値観はあると思うし、コロナと共存していくためには、そうせざるをえない状態でもある。
少し変化した価値観の中のひとつに、「番組に穴があく」「新作の製作が間に合わない」「新作制作続行困難」というものがあるなら、今後はそういうのに対する寛容度が増していったりすることも・・・あるのだとしたら、コロナは今までタブー視されてきた価値観をも変えることになる。
それほどコロナの猛威というのはとてつもない出来事だったということなんだろう。
人間の生活様式、仕事の価値観まで変えてしまったわけだから、まさに歴史に残る大事件であり、今後歴史書に記されていく一大事件なのであろう。
人間の手によっては変えられなかったものを、小さな小さなウイルス菌はたやすく変えてしまったのだ・・。
今回のコロナ事件を体験した我々は、今後次の世代に語り継いでいくことになるのだろう。
いずれは、今回のコロナ事件を知らない次世代の人たちがどんどん出てきて、やがては世界の中核の世代になっていく時代がくるはず。
その時、今回のコロナを知ってる我々の残した教訓はどういう形で活かされていくのだろう。
というか、活かしていってもらいたい。
その頃には、今回のコロナは、風邪でもなおすように普通の町医者で気軽に直せる病気になっていてほしい。
以前、あの名作ドラマ「仁」で、緒方洪庵先生が結核になり、未来から来たドクターである仁先生に「未来では結核は治る病気になってるのですか?」と聞いたところ、仁先生は涙ながらに頷いて肯定してみせた。
それを見た緒方先生の安堵感溢れる顔を、今回のコロナで私はどうも思いだしてしまう。
コロナが薬で治ったり予防したりできる未来は、いつですか?と、私も未来からきたスーパードクターに聞きたい。
で、できればその未来が来年であってくれたら・・。
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