
カルメンマキさんと言えば、私の中で2つのイメージがあった。
ひとつはデビュー曲(?)「時には母のない子のように」での歌謡曲路線。
もうひとつはオズというバンドを従えて(?)の「私は風」などで知られるロック路線。
今回取り上げる「南海航路」は、後者の路線の曲。
というか、歌謡曲路線の時期は短く、後のロック路線での活動時期の方が長いので、むしろ一般的にはロックなイメージのほうが強いと思う。
ロックに転向してからは、その後はずっとその路線のイメージで活動されていたし。
近年は、幅広いスタイルでの音楽活動をされているようだ。
なんでも、マキさんは歌謡曲路線でデビューしてけっこうヒットはしたものの、そのまま音楽活動を歌謡曲路線で行くのはご本人にとっては納得できないものがあった・・・という話は耳にしたことがあるが、私には本当のところはわからない。
ただ、デビュー後に聴いたジャニス・ジョプリンの音楽に衝撃を受け、やがてロック路線に覚醒した・・という話も耳にしている。
私はどちらの路線も好きだったが、ロック転向後はマキさんご自身が生き生きしているように見えたので、それで良かったと思う。かっこよかったしね。
ちなみに、もしもデビュー前にすでにジャニスの音楽に衝撃を受けていたら、彼女のデビューはどんな形になっただろう・・・などと、ふと思ったりもする。
私は大学時代ロックバンドを組んでたのだが、「南海航路」はそのバンドでカバーしていた曲だ。
そのバンドでは私はギターに専念。で、さらにギターパートを強化したくて、エレキが上手かった相方(今も私が組んでるアコギユニットの相方)をバンドに迎え入れた。で、ボーカルは、当時私の所属していた音楽サークルにいた女の子を迎え入れた。
その女の子Nさんは、小柄ながらかなり声量のある子で、しかも上手かった。
カルメンマキさんのようなパワーがあった。
そのバンドでライブをやった時などは、Nさんのボーカルはかなり「立って」いたと思う。この「南海航路」のカルメンマキさんのボーカルを声質、歌い方、音程、メロディーラインなどかなり忠実に再現していたから。
確か、この曲は、そのNさんがバンドに持ち込んできた曲だったと思う。
カセットでこの曲の音源を聴いて、私はすぐに気に入ったと思う。
他のメンバーも異存なしだったはず。
なので、すんなりそのバンドのレパートリーになった。
ロックな曲だが、案外アコギのイメージもあり、そんな点が私は好きだった。
オズというバンドを従えてのマキさんは、ロックはロックでも、ハードロックなイメージがあり、パワフルでカッコよかった。
私はオズでのマキさんの曲を聴くと、デビュー時の「時には母のない子のように」のような路線は一体何だったんだろう・・などと思うようになったぐらいだった。
当時の日本では、ロック界での女性ボーカリストとしては筆頭クラスの存在感があったと思う。
普段洋楽ばかり聴いて、ややもすれば邦楽を少し見下していたような「うるさ型のロックファン」も、マキさんには一目置いていたと思う。
なんというか、凄みがあったのだ。
ただ、もうその頃からも相当年月が過ぎた。
ユーチューブでマキさんのライブ映像を見ると、近年はアコースティックなライブもされているようだ。
ただ、アコースティックなライブではあっても、長い間ロックシンガーを続けてきたキャリアを経てのアコースティックなライブなので、たとえ静かな曲であっても、奥底に凄みやパワーが潜んでいるような感があり、さらに良いのは、その凄みやパワーが威圧的な感じではなく「深み」につながっているように思える。
そのへんがまたいい。
学生時代に私と同じバンドにいて「南海航路」を歌ってたNさんとは、大学卒業後会えていない。というか、サークルにいた誰に聞いても、Nさんの連絡先はわからないようだ。
一度くらいサークルのOB会に来てもらいたい気もしている。
どこかで、マキさんのライブをユーチューブなどで見てるのだろうか。
で、マキさんの音源を探してて「南海航路」を見つけたら、学生時代に組んでたバンドのことを思い出したりしてるのだろうか。
そうであってくれれば、ちょっと嬉しい。
私も、この「南海航路」を聴くと、当時私が組んでたバンドを思いだしたりするからだ。
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