![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/45/f5/0cb35bcffc49a9323233220ef492422c.jpg)
色んな音楽が聴いてみたくて、十代の頃、中古レコードを多く扱う店にちょくちょく通っていた。
その店は中古レコードコーナーが非常に充実しており、色んな音楽を聴きたいが金欠であった私には強い味方であった。
普段でも中古レコードコーナーは充実してたのだが、その店ではたまに「中古レコードバーゲン」をやることがあり、そんな時は戦場だった。
ともかく安くアルバムを買いたい若者が多数おしかけ、ある意味「取り合い」みたいな状況でもあった。
その様は、デパートなどでのバーゲンで血眼になるおばちゃんたちとあまり変わらなかったかもしれない。
特設のバーゲン会場では、いつもの何倍もの中古レコードの在庫が販売され、つめかけた若者たちは、我先にそれぞれのレコード棚に貼りつき、すごいスピードで中古レコードを漁っていた。
なぜすごいスピードだったかというと、特設会場には多数の中古レコードのラック(?)があり、どのラックにどんなレコードがあるかわからないから。
だから、一刻も早く、それらのラックをひととおりチェックしたかったから。
もしかしたら自分がまだ見てないラックに、自分好みのアルバムがあるかもしれない。ということは、今自分が見てるラックを一刻も早く見終わらなければいけない。
ともかく早いもの勝ちだった。
だから、皆、血眼になってラック内を物色するのだ。
この時は、自分の分身が何体かほしいと思ったものだった。
これには運もあるので、散々探し回ってもめぼしいアルバムにありつけなかったこともあれば、目当てのレコードや、ずっと探してたレコードをあっさりと首尾よくゲットできた時もあり、そんな時の満足感は格別だった。
数枚、自分にとっての目玉アルバムをゲットできると、もうその日は「収穫アリ」の心境になり、その後は割と余裕で見て回れたりもした。
大量の中古レコードラックの中には、欲しいアルバムがあっても、思ったほど値崩れしてないものもあったりして、そんな時はけっこう迷った。
少しでも安く買いたかったからね。
一方で、「なんだ?この値段は・・!!」と思えるほど安い中古盤もあった。
その中の最たる例が、LPレコードなのに1枚100円で売られてたアルバムだった。
1枚100円???なんじゃそりゃ??
中古とはいえ、一応LPなのに。
LPの場合、新譜だと輸入盤でも安くても1500円以上はした。
新譜じゃない中古の場合は800円~1000円ぐらいの値段が多かった。
なのに・・仮に人気がなかったり無名だったりしても、いくら中古だといっても、1枚100円というのは尋常な値段ではない。
そんなアルバムは、たいがい無名なミュージシャンのアルバムだった。
少なくても日本ではあまり知られていないミュージシャンのアルバムだった。
いや、カルトなファンならご存知かもしれないが、不勉強な私が知らなかっただけかもしれない。
たまに、有名ミュージシャンの中古盤でも300円ぐらいの破壊的な値段で売られてる中古盤もあったが、さすがにそういうのは盤に不具合があるものだった。
たとえば針飛び・・・とか。
(針飛び・・・というのは、レコード特有の不具合で、盤になにかしらの付着物がついてたり、少しヒビが入っていたり、盤が曲がっていたりして、レコードを再生する針が音源の少し先のほうにずれていってしまう不具合。
これがあると、再生してた曲が針飛びの個所にくると何秒分か先に進んでしまい、曲が不自然な流れになる現象だ。)
だが、針飛びみたいな不具合がないアルバムで、1枚100円というのは、いくらなんでもちょっと考えられない値段だった。
店での売値が100円なら、客からそのアルバムを店が買い取った時は、一体いくらぐらいで買い取ったんだろう・・・とも思った。
そういう価格破壊的な値段の中古盤はさすがにあまり多くはなかったが、でもたまにそういう中古盤も・・・あったのは確かなのだ。
100円。
やはり・・ありえない値段に思えた。
本来新品だと輸入盤で1500~1800円ぐらいするのが相場のLPが、いくら中古でも100円だなんて・・。
缶飲料を1本我慢すれば買える値段。
それぐらいたやすい。それでLPが買えるなら。
こんなアルバムを見つけると、いったいどんなアルバムなんだろう・・・という具合にかえって興味がわいたりした。
100円なら、たとえハズレのアルバムであっても、文句はいえない。
贅沢言えない。
そう思って、買ってしまったことが何度かあった。
見つけるたびに買っていたわけではないが、気が向いた時などに。
結局そういうアルバム、私は何枚買っただろう。
もう枚数は覚えていない。
内容も全部は覚えていない。
だが、覚えているものもある。数枚ある。
その中の1枚が、デイブアンドアンセルコリンズの「ダブルバレル」というアルバム。
あと、覚えてるのが、ロジャー・クックのファーストとセカンド。
他にもあったと思うが、すぐには思いだせない。とりあえず今思いだせたのが上記のアルバム。
どれも1枚100円だった。
このうち、ロジャー・クックのアルバムは、1枚100円というのは解せないぐらい、悪くなかった。
なぜ100円だったんだろう・・・そりゃ日本では一般的にはあまり知られてないかもしれないが、100円という値段にするような内容ではないと思ったが。
このネタを書くにあたって、あらためてロジャー・クックのことを調べてみた。
すると、私が不勉強だっただけで、実はイギリスのシンガーソングライターで、ロジャー・クリーナウェイとのソングライターコンビで、数多くの英国ポップスを世に送り出した人だったことがわかった。
いやあ、不勉強だった自分が恥ずかしい。
でも、そんな名ソングライターのアルバムが、なぜ100円に・・・?
盤に不具合があったわけでもないのに。このへん不思議だった。
実はロジャー・クックの100円アルバムは、それなりにリピートして聴いてた覚えがある。
値段が値段だけに、かなり得した気分だった。
一方、デイブアンドアンセルコリンズの100円アルバムの方は・・・実は2回ぐらいしか聴いてない。
最初聴いた時、普段の自分の趣味のテリトリー内にはなかった音楽で、内容を知ってて、なおかつ普通の値段だったら、自分の趣味的には買わないアルバムだと思ったのを覚えている。
これまた、こうしてネタとして取り上げるのがきっかけで少し調べてみた。
はっきり言って、このアルバムを購入時には私はこのユニットに関しては全く知識がなかった。100円という値段にひかれて(?)、とりあえず買ってみたのだった。
なんでもデイブアンドアンセルコリンズはジャマイカのユニットで、UKチャートやジャマイカのチャートでは1位を獲得し、アメリカのポップチャートでも22位まで上がったらしいから、けっこう活躍してたユニットだったんだね。
私は全く知らなかった。
レゲエに詳しい人なら、知ってるユニットだったかもしれない。
だとしたら・・・なぜ100円という値段になってしまっていたのだろう。
これまた理由が分からない。
ただ・・ジャケットは個人的に正直チープに思えたのは確かだった。
もし私がこのアルバムが中古で100円という値段をつけられた理由を考えるとしたら、きっと・・このジャケットのせいもあったような気がする。
まあ、なんにせよ、やはりいくら中古でも100円という値段は凄い。
私が行った中古盤の店がアルバムに100円という値段をつけるにあたって何か基準はあったのだろうとは思う。
その基準はちょっと知りたかった気もする。
日本での知名度・・・・なのかな、やっぱり・・。
というか、それしか考えられないのだが。
日本では売れないかもしれない、だとしたら安く処分してしまおうと考えたのかもしれないね。
ロジャー・クックなんて、日本でもう少し知名度があったら、100円にはならなかった気もしている。
デイブアンドアンセルコリンズやロジャー・クックが、当時、自身のアルバムが日本では100円で売られていたということを知ったら・・・どう思っただろうね。
ミュージシャンは1枚のアルバムを作るには、心血を注いで作っていると思うから。
私がもしも、彼らの知り合いだったとしたら、そんなこと・・・とても本人には言えなかっただろうなあ。
ちなみにこの記事のトップ写真は、デイブ&アンセルコリンズの「ダブルバレル」というアルバムのジャケット。
この記事の最後には、ロジャー・クックのアルバムのうちの1枚のジャケットをアップしておこう。
また、せっかくなので、とりあえず彼らの曲も紹介しておこう。
特にロジャーの「ビューティフルメモリーズ」という曲のサウンドは気に入り、私の頭に印象深くインプットされた覚えがある。
きっと、なんらかの影響は受けたと思う。このサウンド、絶えず頭の中にあるもの。この曲が入ってたアルバムを100円で買ったなんて、申し訳ないぐらいだ。
DOUBLE BARREL by DAVE AND ANSELL COLLINS ↓
DAVE AND ANSELL COLLINS - DOUBLE BARREL - *T*O*T*P*1971
Beautiful Memories by Roger Cook ↓
Roger Cook - Beautiful Memories (1976)
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます