秋の中頃、飲み仲間たちと某店に飲みに行った時のこと。
その中には、かつてのバンド仲間もいた。
行った店は、フォーク居酒屋やアコースティックバーみたいな店ではなく、エレキバンド主体の、ライブハウスを兼ねたバー・・・といった感じの店。
出ていたバンドは、店のハコバンなのかどうか分からないが、その店には慣れているようなバンドだった。
演奏曲は主にベンチャーズ、エルビス、ビートルズ、そしてキャロルの曲など。
そのバンドメンバーが持ってたエレキがモズライトだったことを考えると、そのバンドは普段ベンチャーズの曲をメインに活動しているバンドであったろう。
ベンチャーズは、日本ではビートルズ登場前に大ブレイクしていたが、年配のおじさんギタリストの間では、いまだに根強い人気があるのを実感。
そのバンド、専任のボーカリストがいた。
だが、バンドのメインレパートリーであるベンチャーズの曲は、インストだ。
なので、ベンチャーズナンバーをやっている時のボーカリストは、ちょっと手持無沙汰そうに見えた(笑)。まあ、手にはタンバリンを持っていたけれど。
得意のベンチャーズナンバーをひとしきり演奏した後、ボーカル入りの曲をやりはじめた。
前述の通り、エルビス、ビートルズ、そしてキャロル。基本、ロックンロール。
キャロルの曲は、「ルイジアンナ」だった。
「ルイジアンナ」は確かにキャロルの代表曲ではあるが、なんといっても一番メジャーなのは「ファンキーモンキーベイビー」であろう。
そのバンド、「ルイジアンナ」はちゃんとレパートリーに入っていたみたいだったが、「ファンキーモンキーベイビー」のほうは、どうやら正式レパートリーには入っていなかったみたいだった。
私のいたテーブルの1人が、「ルイジアンナ」を聞いて、「ファンキーモンキーベイビーもやってくれ!」とリクエスト。
最初しぶっていたそのバンドだが、やがて客席の声に押されて、仕方なく(?)「ファンキーモンキーベイビー」もやりだしたのだが、正式レパートリーには入っていないのがあきらかなぐらい、けっこうボロボロ(笑)。
リードギターも、コードも、リズムも。
こんな時、弾き語りだったら、ある程度客のリクエストにも応えられるであろうが、やはりバンドだと、見知らぬ客からの、ふいのリクエストに応えるのは、その曲がバンドのレパートリーに入っていない限り、中々難しいものである。
弾き語りなら、その演奏者がその曲を知っていれば、なんとかなる場合もある。まあ、ぶっつけ本番だと不本意な出来にはなるかもしれないが。
一方、バンドの場合は、メンバーは複数いる。たとえ誰かが「急なリクエスト曲」を知ってたとしても、他のメンバーの中にその曲を知らないメンバーがいたら、さすがにぶっつけ本番では難しい。
そのへんは私にも理解できる。
レパートリーにない曲を急に見知らぬ客にリクエストされても、本当は困ったはず(笑)。
なので、ちょっと気の毒な気もした私。
とはいえ・・・「ルイジアンナ」をレパートリーに入れるなら、「ファンキーモンキーベイビー」のほうも正式レパートリーに入れておけばよかったのに・・・とも思った私であった。
ちなみに、その店・・・実は、今から20年近く前、私は一度だけ出演したことがあった店。
知り合いが主催したパーティで。
時代屋の相方と一緒に。
その頃はまだ、「時代屋」とは名乗っていなかった頃。
というか、アコギユニットとしての活動を正式にはやっていなかった頃。
ぶっつけ本番という無謀さで、ノリノリのロックンロールバンドばかりが出演するパーティに、慣れないアコギ2本のユニットで「お茶を濁す」レベルで出演したのだった。しかも最後の出番で。
その時のことは長らく私と相方の二人にとって、トラウマになり、二人ともしばらく音楽活動から離れるきっかけになった。
そんな因縁のある店だった。
そのトラウマに長く縛られて、ステージに立つのが気が進まず、ただただ曲を作るだけの活動になった私。
時には、旅に出て、曲作りのモチべにしたりもして。
とにかく、ぶっつけ本番で、しかも準備もろくすっぽないままで、人前に出るのはこりごりだった。度胸だけでカバーできる問題ではなかった。
今でもその要素は自分の中に残っている。
だから、どこかの店で行われる誰かのライブに客として見に行って、誰かの気づかいで、急にステージに出ることを勧められても、私が遠慮することが多いのは、そのためだ。
準備が何もないと、怖い。
そのトラウマは、世に「フォーク居酒屋」というスタイルの店が登場するまで、一切救われなかった。
今思えば、トラウマになったライブパーティは、私と相方は、ちょっとした和気あいあいのセッション大会みたいなイメージで行ったんだと・・思う。
もしくは、カラオケの延長みたいな感じで。そう、カラオケ大会に、ギターを持ち込む・・・そんな主旨だと思って参加したのだった。それが間違いのもとであった(笑)。
まさか、練習を重ねたギンギンのロックンロールバンド大会だとは思わずに行ったのは確か。
また、お店自体が、アコースティックなコンセプトの店でもなかった。そのお店は、基本ロックンロールバンドのライブハウス系で、しかも誰もが知っている洋楽カバー曲主体のお店だった。
ライブをやる場合、そのお店のキャラクターや、ライブの主旨をある程度把握して行かないと、場合によっては、悲惨なことに・・・。
その時ののパーティでも、実は我々はギターを持ってくることを主催者に期待されていた。
だが、その店の雰囲気や、以前のパーティの流れを知っているので、今回は私も相方もギターは持っていかなかった。
ギターを持っていったら、「出る気がある」と勘違いされがちだし。
で、行ってみて思ったのは、「やはりギターは持っていかなくてよかった。」ということであった。
もっとも・・・テーブルで同席していた、かつてのバンド仲間の1人は、自分も歌いたくてうずうずしていたようだったが(笑)。
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