昔の野球漫画では、主人公は巨人に入団することが多かった。
巨人に入団することを目指して子供時代から特訓したり、あるいは漫画の開始と共にすでに巨人に入団していたり。
それだけ当時の野球漫画において、巨人というのはブランドだったのだろう。
有名どころでは「巨人の星」しかり、「侍ジャイアンツ」しかり、もっと古い作品では「ちかいの魔球」や「黒い秘密兵器」なども。
その後、主人公が巨人以外に入団するケースも出てくるようになった。
たとえば「男どアホウ甲子園」。主人公の藤村甲子園は最終的に阪神に入団。
「ドカベン」では主人公の山田太郎は西武に入団。
「男どアホウ」も「ドカベン」、そして「あぶさん」を描いた漫画家・水島新司さんは、巨人ファンではなく、熱心なホークスファンだったから・・というのもあったかもしれない。
だが今は?
主人公の最終目標は巨人をはじめとする日本のプロ野球ではなく、むしろメジャーが目標だったり、メジャーでの活躍が物語のメインになっていくのが、野球コミックの主流になっていってる気はする。
内容うんぬん以前に、コミックのタイトルそのものに「メジャー」という言葉を使うケースも。
昔は野球コミックのタイトルに「ジャイアンツ」「巨人」などの言葉が入ることはけっこうあったが、最近はあまり見かけなくなった。
それはかつてブランドであった巨人が、メジャーに取って代わられたようでもある。
巨人は日本の球団で一番歴史があったし、ブランド力もあったし、ある意味良くも悪くも日本球界の代表みたいな目で見られていたから、野球コミックでは主人公の目標的な存在であったのだろう。頂点的な存在として。
でも、最近は?
日本の球団の人気も実力もバラけてきているし、昔ほどの「代表感」「象徴感」は巨人は薄らいできている気がするし、かといってその代わりが日本の他球団になるわけでもなく、代わりに頂点になったのはメジャーなのだろう。
野球コミックの主人公の目指すものが。
メジャーリーグでの活躍がメインになっていくと、日本のプロ野球が昔よりも色あせて見えることが、たまに私にはある。
実際の球児でも、巨人をはじめとする日本の野球球団ではなく、はなからメジャー入りを夢見る選手は増えてきている。
もしくは、いったん日本のプロ野球に入っても、将来的な最終目標はメジャーである・・という選手も目立つ。
コミックが世相をうつすものであるなら、そんな流れが野球コミックにも浸透してきているのだろう。
野球の頂点が巨人からメジャーに取って代わられた感があるとはいっても、今のところメジャーの特定の球団が、かつての巨人のような存在になったわけではない。
日本での巨人的な存在は、メジャー球団ではどこだろう。
強いてあげればヤンキースあたりのような気はする。
でも、コミックでは、あくまでも頂点はメジャーリーグであり、主人公の夢はメジャーリーガーになることだったり、メジャーで活躍することだったり。
特定のメジャー球団というよりも。
以前、巨人がブランドだったり、一番人気だったり、目標的な存在だった頃のドラフトでは、ドラフト候補の有望選手が、希望球団として巨人の名をあげたり、逆指名で巨人を指名することは多かった。
そんな時、そういうドラフト候補生に対して、関係者たちがよく言っていたのが「プロ野球はどこのチームに入っても一緒。特定の球団に入団することより、プロ野球そのものに飛び込むことを考えてほしい。」という主旨のこと。
ただ、当時、プロ野球チームはどこのチームに入っても一緒・・・というのは、理屈ではそうであったとしても、球団によって環境や待遇が現実的に異なっていたようなので、「どこに入っても一緒」と言い切るのは、多少の無理も私は感じていた。
それが良いとか悪いではなく。
ただ、プロ野球中継が昔ほどの数字を稼げず、各球団はより地元を意識した運営に力を注ぎ始め、巨人というチームがかつてほどのブランド力を失いつつある昨今は、やっと「プロ野球はどのチームに入っても一緒」という主張の状況に近付いているのかもしれない。
国内においては。
ただ、巨人にとってかわって、代わりにメジャーリーグという存在がブランドになってくることになるとは、かつて「プロ野球はどこのチームに入っても一緒」と語っていた人も当時は予想もつかなかったかもしれない。
もし本当に「プロ野球はどこのチームに入っても一緒」が真実なら、メジャー球団だってプロ野球のチームということになるから、日本のチームに入っても、メジャーのチームに入っても一緒ということになってしまう。
まあ、とにかく、メジャーリーグというものが、今の日本球児にとっては、目標になる存在になってきているということなのだろう。
メジャーは、昔のような「雲の上の存在」ではなく、身近な存在になってきているのは、野茂選手以後の実際の日本人選手のメジャーでの活躍の賜物なのであろう。
もしも、かつての・・・例えば「巨人の星」のように、巨人に入るのが目標という野球コミックが出てきたら、今の時代においては、古い価値観みたいに感じるのだろうか。
今の流れで「巨人の星」が出てきたら、主人公の父親は元メジャーリーガーで、メジャーではスターになれなかった父親は自分の果たせなかった夢を息子に託し、息子が幼少のころからメジャーリーガーをめざさせる・・そんな物語や設定になるのかもしれない。
そしてその主人公はど根性で特訓をし、メジャーに入り、魔球をあみ出して、メジャーでスターになる・・・そんな展開になるかもしれない。
魔球の名前は「メジャーリーグボール第1号」「第2号」「第3号」になるのかな??
そうなると「巨人の星」というタイトルは「メジャーの星」??
やがて、メジャーで魔球の投げ過ぎで肩を壊した主人公は日本に戻ってきてコーチになる・・そんな「外伝」もできそうだ。
「夢は大きく」は良いことですけれど、リアリティには欠けますね。
現実のプロ野球選手でも、先ずは高校野球で花形選手として名を上げて、日本の球団に入り、大活躍してから…ですからね。
私が知っている野球漫画作品は、(代表作『はだしのゲン』)中沢啓治先生による『広島カープ物語』です。
「太平洋戦争に惨敗した日本、特に最悪の被害を受けた広島県で、プロ野球球団が誕生し、いかに広島市民を元気付け、盛り上げていったか!」という内容です。
又、昭和時代なら、どこの球団ファンにも共通していたと思われる“常軌を外した熱烈ファン”のことも、漫画化されています(笑)
私は、野球全体が大好きなので、特に贔屓する球団や選手はありません。
野球漫画は、プロ野球やメジャーリーグばかりでなく、「アマチュア野球最大の華」と呼ばれる『早慶戦』を誰かに描いてほしいですね。
先ずは早稲田大学野球部・慶應義塾大学野球部それぞれの歴史から現在まで。
幾多も開催されてきた早慶戦の中から、特に名勝負を漫画化するのです。
その際、選手だけでなく、神宮球場を盛り上げた双方応援団の活躍なども!
※正確には、早稲田大学応援部・慶應義塾大学応援指導部と謂います。
そういう意味では、大リーグボールも含め十二分にメジャーを意識した漫画でもありました。
そういう意味では、野茂のフォークこそが、大リーグボールだったんでしょうね。
年月の経過と共に、巨人以外のチームに入団するケースも増えていきました。
それは水島先生の影響も大きかった気がします。
水島先生の野球漫画には名作が多いですからね。
でも、さらに年月が経過し、主人公の目指す入団先は、より範囲が広がり、メジャーリーグも加わってきました。
スター選手の活躍先がメジャーリーグにまで広がった現実が作品に反映されてるのでしょう。
球児たちの意識にも、それは表れてますね。
そういや、大学野球をメインに描いた野球漫画って、私あまり記憶にないです。
登場人物たちの高校野球での活躍や、日本のプロ野球での活躍を描いた作品はあるのに。
早慶戦に限らず、大学野球での活躍をメインにする野球漫画も、あってもいいような気はしますね。
バリエーションとして。
私の後輩で、一発芸で、オズマの「見えないスイング」のモノマネが得意な奴がいました(笑)。
オズマって、その後がはっきりしなかったんですよね。
その後彼はどうしたのか、、、。
巨人の星の時代は、メジャーリーグは夢の夢でした。
でも、いつかは日本人選手がメジャーリーグで活躍できる日を、巨人の星も潜在的に夢見てたんでしょう。
じゃなかったら、ウイニングショットに大リーグホールという名前などつけないと思います。
野茂のフォークボールは、リアル「大リーグボール」そのものでしたね。
あるで日本人選手のメジャーリーグへの道が切り開かれた気はします。
野茂の活躍する何十年か前にメジャーリーグで活躍した日本人投手はいましたが、やはり野茂こそが、その後の道を確立したと思います。
高度成長期下、王、長嶋をはじめ、あまたのスター選手を擁してV9なんて事をしちゃったわけですからね、
昭和の子供達プロ野球=巨人という図式がインプットされたんでしょう。
私は強烈なアンチGだった父の影響か、子供の頃からとにかくGが負ければそれでよしというスタンスで野球中継を観てました。
ホントの事いうと他球団の選手の名前なんてほとんど知りませんでした。
パリーグなんて地元球団だったL以外、チーム名も?でしたね。
メジャーリーグはその存在すら知らなかったのではないでしょうか(笑)
オズマの後日談、原作の漫画にはありませんでしたが、アニメ版ではありましたよ。
帰国後も大活躍し、三冠王まで取ったオズマですが、徴兵されて当時まだ継続していたベトナム戦争へ。
そこで負傷して帰国するのですが、その途次日本に立ち寄ります。
そこで飛雄馬と再会し、なぜか対決。確か大リーグボール3号だったと思いますが、
結果は憶えてません・・・
帰国後、再び大リーグに復帰しますが、戦地での負傷が元で引退。
その後はけっこうヘヴィな展開となるのですが、ネタバレになりますのでやめておきます。
そう言えば、ズバリ「Major(メジャー)」ってアニメがありますね。
これも確かコミックが原作。
で、テレビでの野球放送は巨人戦しかなかったから、それに反発する人もいた。
そういう人は巨人が負けるのを見たいがために野球放送を見た。
営業的には、アンチの人も巨人戦を見てくれていたわけですから、アンチも一種の巨人ファンみたいなものでした。
でも今は、プロ野球はけっこう地域に根差した活動の傾向が強まってますので、昔のような巨人一辺倒ではなくなってきてるのでしょう。
北海道や東北などが良い実例ですね。
オズマの後日談、アニメでありましたっけ?
私はアニメ版巨人の星は何度も見てるので、きっとその回も見てるはずですが、どうも記憶が抜け落ちているようです。
アニメ版では原作にないエピソードの回もあったのは覚えてます。
例えば沢村栄治物語・・・なんていう回もあったのは覚えています。
このオズマのエピソードって徴兵拒否したボクサー モハメド・アリを重ね合わせたものだったとか。
まだまだ人種差別が色濃かった時代に全アメリカのヒーローとなったオズマですが、
周囲の黒人達には「お前が戦地に行く事で、更に多くの黒人達が前線に送り込まれる事になる!」と罵声を浴びせられます。
もしアリが徴兵拒否しなかったら黒人社会から同様の声が上がっただろうと、
のちに読んだ本には書いてましたね。
まあこの辺は当時子供(中一だったかな)だった私には理解できるものではありませんでした。
かの国での人種差別の実態ががどういうものだったのかなんてのを知るのは随分と後の事でしたし・・・
ちなみにオズマが戦地で負傷したのは、白人上官を庇っての事でした。
今回コメしたので私ももう一度観たくなってYouTubeなんぞで検索してみましたが、
ヒットしませんでした。
他の有料サイトでは観る事も可能なようですが。
沢村投手のエピソード、憶えてますよ。
沢村のモノローグと彼が海の底で投げるボールに魚が驚いて身を翻すシーンがやけに印象に残ってます。
オズマで思い出したんですが。戦地で負傷しカムバックした例として、南海のメイがいました。彼はCWSの選手で、オフには戦地へ出掛けるという強者でした。しかし戦地で親指をなくします。
メジャーを辞め、日本の南海でプレーしますが、見事に復活しました。こういったケースを知ってたんですかね。今ピンときました。
もしかしたら、原作のストックがアニメ制作のスケジュールに追いつかなくなって、アニメ版のオリジナルエピソードが組み込まれたのかもですね。
でもそのおかげで、オズマというキャラクターは、ますます「立った」ことでしょう。
でも、そんなハードな逸話があったとは知りませんでした。
親指を失っても日本球界で復活したとは凄いです。
日本球界の外国人選手列伝に加えるべき選手ですね。
レジェンドとして。