時間の外  ~since 2006~

気ままな雑記帳です。話題はあれこれ&あっちこっち、空を飛びます。別ブログ「時代屋小歌(音楽編)(旅編)」も、よろしく。

え?お酒をおいていない宿?そ、そんな・・・。

2019年09月14日 | 

以前ある場所に泊まった時のこと。

そこには旅行で行ったわけではなく、別の正式な用事があってその地方に行った時に、ついでにやっておきたい用事があったので、本来の目的地からちょっと離れたその町に足をのばしたのだった。

で、足をのばした町で、ある宿に泊まった。

その町では、他に宿がなく、宿の選択肢がなかった。

しかも、位置的に、用事を済ますためにはその町のその宿に泊まるしかなかった。

私がその町の駅に着いた時間は、もう夕方だった。

あたりはすでに暗くなり始めていた。

駅からその一軒宿にはかなり距離があったので、電車で行った私はその宿にタクシーで行くしかなかった。

で、駅でタクシーを呼んだのだが、中々来なくて。

どれぐれい待っただろう。30分以上は待っていた気がする。

タクシーを待つうちに、辺りはすっかり暗くなった。夜になった。

で、かなり時間がかかった後に、タクシーはやってきた。

ちょっとした安堵感と共に、その一軒宿に向かった。

そして、やっと着いた。

 

もともとその一軒宿にはあまり多くのことは望んでいなかった私。

というのは、過去にもその宿に泊まったことがあったから、その宿がどういう宿かはあらかじめわかっていたからだ。

 

宿の「見た目」は、普通の田舎の民家である。

看板がなかったら、旅館であることには気づかないだろう。

トイレは共同であり、部屋の窓からの眺めもイマイチ。風呂は普通の小さな家族風呂。

そのへんのこともよくわかっていたから、何の問題もなかった。そこまでは。

 

料理はそれなりに頑張ってくれてた。空調も完備。そして、なにより、宿泊費がかなり安い。その宿泊費を考えれば、十分だった。

もともと私は、つげ義春先生の旅イラストや旅漫画に出てくる宿に泊まり歩いていた趣味があったのも免疫になっていた。つげ先生の作品に出てくる宿は、たいがい鄙びた宿だったし。

 

宿に着き、部屋に案内され、宿の女将さんから夕飯は何時頃にするか聞かれた。

19時あたりを私は希望した。私は旅行に入って、夕飯の時間としていつも希望するのは、その時間帯なのだ。

正直18時では私には早すぎるし。20時だと宿の方も困る場合があるだろう。個人的には20時くらいがちょうどいいのだが、宿にとっては後片付けなどの問題もあるであろう。

なので、「その中間」的な時間帯で、19時で頼んだ。

 

ここまでは何もかも順調。

問題はその後。

夕飯にビールなどをつけることを私は希望した。これは、いつものことだ。

 

そうしたら・・なんと。

 

「すいません、お酒は今日はおいてないんです」と言われたではないか。

 

旅行に来て、宿に着き、風呂からでて夕飯を食べる時、ビールがないなんてことは私には考えられなかった。

 

「え?お酒をおいてないんですか?そりゃ困ります。」と私が言ったら、女将さんは「宿を出て1分くらい歩いた所に酒屋さんがあります。そこで買って来てください。」と言う。

 

お酒をおいていない宿なんて初めてだった。以前その宿に泊まった時は、お酒はおいてあったのに・・。

ちょっと面くらったが、まあ歩いて1分くらいの所に酒屋があるならいいか・・・そう思い、私は再び靴を履き、外に出て、酒屋を目指した。

なんてったって歩いて1分。ビールのためなら。

 

で、女将さんに教えられた場所にいっていたら、確かに酒屋らしきものはあった。

 

だが・・・

 

なんてこった。店は閉まっている・・・ときたもんだ。

店の中に灯りもついていなかったし、ドアは固く閉ざされていた。入れない。中に人がいる気配もなかった。

 

営業時間が終わったのか、あるいはその日は定休日だったのか、あるいは・・??

 

こりゃ困った。

このままじゃ、宿で風呂に入った後、夕飯の時にビールを飲めないではないか。

先ほども書いたが、旅行に行き、宿で風呂に入った後の夕飯でビールが飲めないなんて私には考えられなかった。

 

宿に戻って、酒屋がやっていないことを告げることも考えたが、それだとビールにありつけない可能性もある。

宿にビールがあるなら、客にオーダーされれば出すはずだし、出せば多少なりとも利益にもなるはず。

本当にないから、外の酒屋で買ってくるように言ったのだろう。

 

仕方ないので・・私は町をさまようことになった。

他の酒屋か、あるいはビールのある自動販売機を探して。

 

あたりはすでに真っ暗。

もともと寂れた町だし、一応商店街らしきものはあっても、昼間でも閑散としてそうな街。

それが夜ともなれば、さらにさびれており、開いてる店らしきものが見当たらなかった。

もしかしたら開いてるかも・・・と思って入った店でも、中に呼び掛けても誰も出てこない。

だいいち、ソフトドリンクはあっても、ビール類などはありそうもなかった。

 

道には人が歩いていないし、商店街にも灯りはついていない。当然、開いてもいない。

すでに眠っているかのような街。

こうなったら・・自動販売機に望みを託すしかない。

 

そう思い、人っけがなくて、暗い町の中を私はあてもなく歩いた。

自動販売機を探して。

 

どれぐらい歩いただろう。宿からはけっこう離れてしまった・・。

 

でも、何度も書くが(笑)、ビールのためなら。

 

そう思い、なおもさまよっていたら、自動販売機が数台並んで立っている一角を見つけた。

ここになかったら、もう諦めようか・・・と覚悟した。

で、その自動販売機の前に行ったら・・・

 

 

あった~~~!!

 

自動販売機の中に、ビールがあった!

 

見れば「売り切れ」ランプもついていない。

 

やっとの思いで・・・ビールを手に入れた。救われた。

 

ふう、これで、旅先の宿で風呂に入って出て、夕飯の時にビールがない・・なんてことは避けられる。

よかった・・・。

 

 

 

ビールを求めてさまよった街を、方向感覚だけを頼りに宿に戻った。

かくして、宿で安心して風呂に入り、その後夕飯では、さっき買ってきたビールにありつけた。

なんとかなった。

 

 

それまで私は、旅行に行って宿に着き、風呂に入って、その後の夕飯では冷えたビールを飲む・・・というのが定番パターンになっていたし、それが私なりの「あたりまえの旅行」であった。

山小屋やキャンプなどの宿泊でもない限り。もっとも、山小屋でも、管理人がいて、なおかつ賑わう山小屋ではビールぐらいは置いてあったりするだろう。

宿でビールや酒がおいてあるのは当然だと思ってた。

 

宿でビールや酒などを置いていないことがある・・・ということは想定していなかった。

 

だが、この時のことで、宿でビールや酒をおいていないことがあるということも頭の片隅に入れることにした。この宿泊で学んだことだった。

 

なので、宿の予約などを入れる時、夕飯でビールや酒を追加オーダーできるかどうかは、確認したほうがいい場合があると思うことにした。

まあ、たいがいの旅館ではビールや酒はおいてあるとは思うけどね。

ただ、あまりにも寂れた宿に泊まる場合は、夕飯時に酒を頼めるかどうかは、予約の段階で確認したほうが無難と実感。

 

旅先の宿で、風呂に入った後の夕飯でビールが飲めるのは、当たり前のようでいて、何気にありがたい。

旅行に行くと、高揚感がある反面、疲れもあるからね。

 

あなたは旅先の宿で、ビールがおいてなかったら・・それでも大丈夫ですか?

旅先で風呂に入った後、夕飯の時にビールがなかったら・・??

前述のように山小屋(寂れた山小屋)や別荘やキャンプなどではなく、一応「旅館」である宿で。

 

あ・・でも、お酒類が苦手な人は大丈夫なのだろうなあ。

私は・・・やはり旅先の宿で風呂からあがったら、やはりビールがないと・・・。

旅先の宿で風呂上りにビールを飲むのは、至福の瞬間でもあるので。

 

昨今、全面禁煙の宿は増えてるが、タバコと共に趣向品である「お酒類」もやり玉にあげられることがあることを考えると、そのうち「全面禁酒」の宿なども登場してくるのだろうか・・。

今のご時世、そのへんがちょっと気がかり。

 

 

 

 


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8 コメント

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Unknown (鮎川愛)
2019-09-14 20:34:48
そういう宿もあるのですね!

子供会の合宿ではあるまいし、アルコール類が全く無い旅館なら、私は拒否しますよ。


又、アルコール類を置いていない旅館と言えども、客に買い物させるのも、違いますよね。


況してや、そのような寂れている町で…。


ただ、私も1度だけ経験あります。

昔、社員旅行で湯河原の町へ行ったときのこと。

だんぞうさんと同じく、アルコール類を全く置いていない古い宿でした。


他の社員は「それも仕方ない」と諦めていたようですが、みんなで食事終了後、私は1人、湯河原の町を散策し、スナックを見つけて、そこでアルコール補給していました(笑)

自動販売機で買う方が安いし、早いのですが、私は誰かと会話しながら飲むアルコール(特にカクテル)が大好きなので。


又、カクテルは自動販売機には置いていませんからね(泣)

返信する
Unknown (だんぞう)
2019-09-14 22:15:33
以前にこの宿に泊まった時は、普通にビールはありました。
なぜ、去年泊まった時はなかったんだろう、、、という思いはあります。

もしかしたら、買い忘れてたのかもしれませんね(笑)。

湯河原で女性ひとりで夜に宿から外出したんですか?
湯河原と言えば温泉街。
温泉街の宿なら、アルコールくらいは用意してないと、、、。

アルコールを用意してあれば、それで少しは売り上げアップもできたでしょうに。

バーのない和風宿なら、カクテルは置いてなくても不思議じゃないですね。


まあ、旅先で地元の飲み屋に入るのは、良い思い出になるとは思います。
返信する
訪問有難うございます (鈴木)
2019-09-14 23:37:20
こんにちは

アルコール類が全然ない宿があるのですね

私には無理です
返信する
Unknown (だんぞう)
2019-09-15 00:02:19
はじめまして。
時間の外に、ようこそ。

この宿は、以前にも私は泊まったことがあったのですが、以前泊まった時は普通にビールは用意してありました。

注文するのを忘れてたのかもしれませんが、宿泊客がいる日は、アルコールは用意しといてほしいですよね。
返信する
アルコールのない旅館 (象が転んだ)
2019-09-15 02:23:16
何だか小説にデキそうです(笑)。

大体において、料理はパッとしないがアルコールだけは揃えてるって宿が多いんですが。

私は旅館のアルコール類は高いので、ビールを買って持ち込むんですが。女将はあんまりいい顔はしないですね。
何時かはアルコールが旅館から姿を消す日が来るんでしょうか。
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Unknown (だんぞう)
2019-09-15 07:01:17
確かに「アルコールのない旅館」と書くと、なんだか小説のタイトルみたいで、響きがサマになりますね(笑)。

そうそう、料理はショボくても、アルコールは置いてある場合はありますね。
アルコールは、、、、特にビールは、仕入れて冷やしておくだけですし、料理に比べたら手軽に利益をあげられると思うんですが、、、。

持ち込みは、普通は宿は嫌がりますよね(笑)。
私は飲みかけのペットボトルは持ち込むことはあります。
返信する
Unknown (鮎川愛)
2019-09-16 02:20:58
夜遅くなってから、湯河原の旅館を1人抜け出て、スナックに入ったんです。


他の社員は、すでに熟睡中だったり、温泉に入っていたようで、私の無断外出はバレずに済みました(笑)


尤もバレても、「お酒大好きな鮎川さんらしいね(笑)」というだけです。


予めお酒大好きという事は、周囲に知らしめておくと無難かもしれません(笑)
返信する
Unknown (だんぞう)
2019-09-16 11:57:21
よく抜け出せましたね。

朝になって帰ってきてないと、行方不明扱いになったかも。

湯河原は、深夜もやってる店があるんですね。さすが有名温泉街。
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