死語の世界 6 ナウい
信じる、信じないの問題ではない。
あるんだから仕方ない。←故・丹波哲朗さん風に。
死語の世界~。
今回はその6。
「しご」は「しご」でも、「死後」ではなく、ここでは「死語」の世界である~。
今回取り上げるのは「ナウい」である。
「ナウい」。この言葉、私の世代にとっては、まさに直撃であった。
世の中「死語」はあまたあれど、「ナウい」は私にとっては馴染み深い「死語」のひとつ。
なぜなら私自身よく使っていた言葉だったからだ。
この言葉、どこから一般的になったかというと、私の記憶ではなんといっても「ぎんざNOW!」という番組が大きかった。
夕方毎日放送されてたバラエティで、メイン司会は「せんだみつお」さんだった。
この番組は当時一世を風靡し、番組は多数のスターを輩出した。
関根勤さん、小堺一機さん、清水健太郎さん、吉村明宏さん、ほか多数。
あのキャロルもバンドで出ていたはずだ。週一くらいのペースで。
番組では「しろうとコメディアン道場」という一般者参加のコーナーがあり、そこではあの竹中直人さんやとんねるずなども出ていたはず。
出演した人たちの顔ぶれを羅列するだけでも、今となってはすごいメンバー。
番組タイトルのコールが「ぎんざNOW」なら、CMに行く時のコールも「ナウコマーシャル」だった。
ともかく「ナウ」という言葉にこだわっていたように思う。
帯の人気番組内で毎日何度も何度もコールされるものだから「ナウ」という言葉はすぐに視聴者に広まっていった。
やがては、番組を見てないであろう人たちにまで広まっていった。
流行語として定着した時に、この言葉の使われ方は「ナウい」という言いまわしで広まった。
「ナウい」とは、「今風」というニュアンス。
例えば「ナウい恰好してるね」なら「今風のファッションだね」というニュアンス。
この言葉はしばらく長く使われ続けたと思う。
だがそこは流行語の悲しさ、だんだん廃れていき、代わりに同じニュアンスの別の流行語にとって代わられた。
その言葉は、以前この「死語の世界シリーズ」でも取り上げたことがある言葉「トレンディ」などに。
「トレンディ」の記事の時にも書いたことだが、私は「ナウい」に取って代わった「トレンディ」という言葉にはどうもなじめなくて、ほとんど使わなかった。
かといってすでにその頃「ナウい」は死語っぽくなっていたので、「ナウい」と言うこともできず。
まあ「今風」みたいな言葉で代用してたとは思う。
やがて「トレンディ」という言葉もすたれ、それなりの年月が経過し。
後年、なんと「ナウ」という言葉は復活を果たした時期があった。ネット上などで多用されるようになった。
とはいえ昔の「ナウい」という言葉とは若干違う感じで。
復活を果たした「ナウ」は「ナウい」ではなく、単に「なう」であった。
昔の「ナウい」と、近年の「なう」には、使われ方に微妙に違いがある。
近年の「なう」は、ひらがなで書かれたりする場合が多いが、かつての「ナウい」は文字通り「ナウ」がカタカナで「い」がひらがなだった表記が多かった印象がある。
また、近年の「なう」は、その言葉を使用する人個人のピンポイントな現在の場所や位置や環境や状況をさすことが多い。例えば「横須賀なう」なら、その文章を書いた人が今現在「横須賀にいます」という意味。
一方、昔の「ナウい」はその言葉を使用する人たちがいる時代や社会の風潮の中での価値観などをさすことが多かった。使われ方のニュアンスの違いというと、そんなことが言えると思う。「現在人気の~」「現在話題の~」「現在注目の~」「今風の~」などのニュアンス。
なので、「ナウい」と「なう」は響きは似ていても、使用するシチュエーションや意味合いは若干違う。
そういう意味では、「なう」は単純に「ナウい」が復活したものだとはいえないとは思う。
でも、かつて「ナウい」を日常的に使ってた私としては「なう」の響きに親近感みたいなものは感じる。
同一人物ではないが、その親戚が出てきたような感じ・・・??
ところで、後年の「なう」は、何がきっかけでよく使われるようになったのだろう。
おそらく出所はネットだとは思うが・・。
もっとも・・最近では復活した「なう」も廃れてきているが。
いずれは「ナウい」と共に「なう」も死語のリストに乗るのかもしれない。
いや、復活した「なう」もすてに死語になってきている感はある。
曲の回転が早いように、言葉の回転もまた早いもんではある。
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