On a night like this by bob Dylan
グレイテストヒットアルバムには中々収録されない、ボブ・ディランの隠れた名曲シリーズ。
今回はその7。
今回取り上げるのは、「プラネット・ウェイブズ」というアルバムに収録されてた曲で、「こんな夜に(原題「on a night like this」)。
これはそのアルバムのオープニングを飾った曲だ。
このアルバムは1974年に発表されたアルバムで、全米1位になった。
アルバム全編に渡って(弾き語り曲を除く)ディランのバックをあの「ザバンド」が勤めている。
なので、ザバンドファンにも気になるアルバムではないか。
ちなみにディランはそれまで所属していたコロムビアレーベルを離れ、アサイラムレーベルに移籍して、ザバンドと共にこのアルバムを作り、その後にディランとザバンドで組んで全米ツアーを行った。
そのライブの様子を収録したのが「偉大なる復活」というライブアルバムだ。
ただ、その後ディランは元の所属レーベル「コロムビア」に戻ったため、アルバム「プラネットウェイブズ」は一時廃盤になったらしい。
まあ、その後復刻はされたようだが。
この「プラネットウェイブズ」のアルバムの中で、グレイテストヒットアルバムに収録されがちなのが、「フォーエバーヤング(スローバージョン)」だ。
「フォーエバーヤング(スローバージョン)」は今ではディランの名曲として名高く、多数の人にカバーされている。
だが、このアルバムのオープニング曲である「こんな夜に」はあまりベストヒットアルバムには中々ピックアップされない。
聴いた感じ、かなりノリが良く、メロディもポップで、ご機嫌な曲。
ハイテンションでノリノリで歌うディラン、そしてザバンドの演奏も実に良い。まさにザ・バンドらしいサウンド。
長さも比較的コンパクト。
終盤のハモニカもはじけてる感じ。
全体的に喜びが溢れているような明るい曲で、案外ディランの曲としてはめずらしいぐらい陽気に聞こえる曲だ。聴いてて楽しい気分になってくる。
ディランの歌と曲と、ザ・バンドのサウンド。そのどちらも楽しめる、一粒で二度おいしいアルバムが、このアルバム。贅沢なアルバムだ。
今回取り上げる、この「こんな夜に」という曲は、何やらシングルヒットも狙えそうな出来なのに、ベストヒットアルバムに中々収録されないのは、もったいないと私は思っている。
だが、ベストアルバムに収録されないばかりでなく、デイランがこの曲をライブで披露してる音源には私はまだ出会ったことがない。私の探し方が悪いのかもしれないが。
この曲をカバーしてる人はそれなりにいるのに。
まあ、ディランには他にも名曲は多数あるので、仕方ないのかな・・などと思って自分を納得させてる私。
そうなると、やはり「ディランの隠れた名曲シリーズ」の枠こそお似合いの「紹介場所」かもしれない。
ディランは60年代にフォークロックを生み出した頃に最初のピークを迎えた。
そう、あの「ライクアローリングストーン」などを発表した頃だ。
その後バイク事故で一時休養期間があり、アルバム「ニューモーニング」の後にしばしブランクがあったが、その後映画「ビリーザキッド」に出演したり音楽を担当した後に、ザバンドと共にこのアルバムを製作し、ザ・バンドと共にコンサートにも共演し、その様子はライブアルバムとして発表され、やがて「血の轍」「欲望」といった名盤を製作し、70年代にも再びピークを迎えた。
「血の轍」「欲望」は今でもディランの歴代アルバムの中でも傑作とされて評価は高い。ちなみにその後に発表されたライブアルバム「激しい雨」は、ザ・バンドとのライブアルバムと遜色ない評価を受けた。
で、70年代の再ピークに駆けあがっていくにあたって「プラネットウェイブズ」は良い発火点になったアルバムではないか。
私にはそう思えている。
なにより「プラネットウェイブズ」のオープニングを飾ったのが、こんな力強くハイテンションでノリノリの曲「こんな夜に」であったことが、それを物語っているように思える。
勢いがあって、エネルギーに満ち溢れている感じなのだ。
アルバムを買って、初めてこの曲を聞いた時、ディランが躍動しているように思えた。
この先の彼の活動に大いなる期待と楽しみを感じ、大活躍を予感したのだが、私の感じたその予感は当たった。
ディランがライブでこの曲を取り上げるのなら、ライブのオープニングにもふさわしい曲だと思える。
初めてこの曲を聞く方、こんな明るい曲調でノリノリで陽気にも聞こえるデイラン、珍しいとは思わないだろうか。
元気でやる気満々な様子が伝わってくる気がしないだろうか。
このパワフルさが、この後のザバンドとの共演コンサートツアーや、その後の名作アルバムの連発にも繋がったように私には思えている。
70年代のディランは、30代。
若さと経験を合わせ持ったデイランが、脂がのり、勢いを加速させた頃。
このアルバムあたりでエネルギー点火!
声もテンションも若い!
私がリアルタイムで見れなかった60年代の頃のディランの尖りまくった活躍は、後追いでかっこよく思えたが、リアルタイムで見た70年代のディランは、ともかくパワフルでまぶしく輝いていた。
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