【般若心経その10】
=== 別の本の意味と解説その1 ===
1冊の本を読んで、その5~その7の「訳と解説」を
まとめましたが、理解しにくい箇所があったため、
もう1冊の本を読んだところ、よく理解できました。
そこで、その10~その13では、「意味と解説」を
まとめてみます。
「仏説 摩訶般若波羅蜜多心経」
ぶっせつ まかはんにゃはらみつたしんぎょう
【意味】
・お釈迦様の言葉
・般若波羅蜜多の心(真言)を説いたお経
【解説】
・般若心経のサンスクリット原典の冒頭には、この題はない
・真言宗では、頭に「仏説魔訶」をつけるのが習わし
・「仏説」は「お釈迦様の教え」
・「魔訶」は「大きい」という意味
・「般若波羅蜜多」は原典の「プラジューニャ―・
パーラミター」の音写語
・音写語とは、漢語に訳さずに、音だけを写した言葉。
・「般若」(プラジューニャ―)は「智慧」、波羅蜜多(パーラミター)は
「完成」という意味。
・「心」は「心呪」(しんじゅ)、つまり真言(マントラ)のことである。
*****(1)
① 観自在菩薩 かんじざいぼさつ
② 行深般若波羅蜜多時 ぎょうじんはんにゃはらみたじ
③ 照見五蘊皆空 しょうけんごうんかいくう
④ 度一切苦厄 どいっさいくやく
【意味】
① 観世音菩薩(観音様)が、
② 深遠な般若波羅蜜多の修行を実践しているとき、
③ 五蘊あり、しかもそれらの本質が空であると見極めた
④ 一切の苦厄を度したもうた
【解説】
・観自在は、観世音、観音のこと
・仏教史上、最も人気のある菩薩が「観音菩薩」
・「五蘊」とは「色」(身体がある)、「受」(感覚がある)、
「想」(イメージを持つ)、「行」(深層意識がある)、
「識」(判断をする)のこと。
・「(自分を構成する)五蘊は、皆、空なり」と理解せずに、
「(わが身は)五蘊である」と見極め、次に「それらの
五蘊は皆、空である」と見極めたと理解する必要がある。
・仏教の基本命題が「一切皆苦」(いっさいかいく)であり、
観自在菩薩は、これら一切の苦を度したもうた(これらの
一切の苦から解き放たれた)。
*****(2)
① 舎利子 しゃりし
② 色不異空 空不異色 しきふいくう くうふいしき
③ 色即是空 空即是色 しきそくぜくう くうそくぜしき
④ 受想行識 亦復如是 じゅそうぎょうしき やくぶにょぜ
【意味】
① シャーリープトラよ、
② 色とは別に空生はなく 空生とは別に色はない
③ 色はすなわち空であり 空はすなわち色である
④ 受・想・行・識についても全く同じである。
【解説】
・「舎利子」は「シャーリープトラ」の音写語
・「舎利子」は、釈迦の十大弟子の筆頭
・「色」とは、「私たちが目にして触れることができる
全てのもの」のことで、「物質的なもの」である。
・「空」=「無い」ではない。
・「コップが無い」と「コップが空(から)である」とは
意味が異なる。後者の「空である性質」のことを
「空生」(くうせい)と呼ぶ。般若心教の「空」は
「空生」のことである。
・空生をスペースとみなすと、「コップにスペースがないと、
そこに水は存在できない、水がないとスペースの意味が
ない」 つまり、「形あるものすべては、空生(スペース)と
不可分である」と言っている。
*****
(その11に続く)