心の休憩室 パート2

何度か中断していますが、書きたいことがでてくると復帰しています。

フランス詩のひととき

2014-05-11 10:24:43 | 日記

今、「フランス詩のひととき」という本を読んでいるので、

今日はフランス詩の話をするね。

 

今朝、最初に読んだ詩。

 

LA MER SECRÈTE

 

Quand nul ne la regarde

La mer n'est plus la mer,

Elle est ce que nous sommes

Lorsque nul ne nous voit.

Elle a d'autres poissons,

D'autres vagues aussi.

C'est la mer pour la mer

Et pour ceux qui est rêvent

Comme je fais ici.

          Jules Supervielle

 

ひそかな海

 

だれも見ていないとき

海はもう海ではない

海は同じものだ

だれも見ていないときのわたしたちと

魚は別の魚

波も別の波

それは海のための海

そして海を夢見る者のための海

わたしがこうして夢見るように

           ジュール・シュペルヴィエル

 

 

詩の意味がよくわからないも知れないので、解説を

書き写してみるね。

 

*****

「重要なものは目には見えない」と、キツネは星の

王子さまに教えます。「心で見なくては、よく見えないんだ」

「それがぼくの秘密さ」と。

 

現象として目に映るもの、わたしたちがただ現象として

表面しか見ていないものをつきぬけて、その奥に

ひそんでいる大切な何かを見ること ----- キツネの秘密は

とりも直さず、わたしたち自身の秘密です。人生を豊かに

生きるための。隠れている大切なものを照らし出すこと、

ひそかに息づいているものの声に、また沈黙に耳を

傾けること ----- それが詩の仕事です。ジュール・

シュペルヴィエル(1884-1960)は、柔らかな詩の調べを

通してこの仕事をした詩人です。

 

人間たちのまなざしから解き放たれて、今、海は、人間たちの

知らない海になっています。わたしたちがこういうもの、と

思いこんでいた海の下から、そうではない、隠れた海が

あらわれます。魚もわたしたちが知っているつもりの魚ではない。

波も、また。それ自体のために、ただそれ自体として存在している海。

存在の裸形のようなもの・・・・・? かも知れません。けれどそんな

ふうに言ってしまうと、それだけで、この海は消えてしまいそうです。

ゆったりと広がって波打つ、未知の海は。

 

そしてこの未知の海が、わたしたちが知らないわたしたちでもある、

というのなら ----- では、わたしたちは、誰に夢見られているので

しょうか。

 

詩とは、出会いのための場所です。

*****

 

この解説を読んでから、もう一度、詩を読み返してみると、

何かこころに感じるものがない?

 

静かな音楽でも聴きながら、詩を味わう時間を持ちたいよね。

 

 



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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
さっそくお邪魔してます! (浦島の亀)
2014-07-04 23:04:00
ベルクさん、こんにちはー。
ブログも書いてらっしゃるんですね、とさっそく読んでいたら……。
シュペルヴィエル、さすがフランス在住だったベルクさん!
私はフランス文学さっぱりですが、
光文社の古典文庫でしたっけ、あれで出てるシュペルヴィエルの短編集読みました。
印象的な作品ばかりでしたが、表題作『海に住む少女』は特に印象に残っています。
引用されている詩も、それに重なるような気がしました。
ベルクさんの写真も、空の澄み渡った青と、海の重い青が好対照ですね。
またお邪魔します、どうかよろしく!
返信する
ベルク (浦島の亀さん)
2014-07-05 22:59:34
こんばんは
シュペルヴィエルの詩が好きなんですね。
「フランス詩のひととき」は、たまたま図書館で見つけました。
手元に置いておきたいなぁと思って、インターネットで調べたら、
絶版になっていました。ちょっと残念です。
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