自分なんかどこも雇ってくれないんじゃないかと思っていた。
自暴自棄になりながら、やり切れぬ思いで毎日が過ぎていった。
ある日、ふと毎月取っていた技術情報誌の広告に目をやった。
そこには製品の紹介のほかに、中途採用募集中との広告があった。
場所は長野のとある田舎町。
旅行で近くに泊まったことがある。
ペンションに一泊し、ロードサイクルでまわりを走り回ったあの日…
そのときの楽しい思い出が頭をよぎった。
ここなら、やり直せるかも…
決心した俺は連絡先の人事担当者と連絡をとった。
面接日が決まり会社をズル休みした俺は、クルマで高速をとばし、その会社に着いた。
そこはインターの近くの林の中にあった。
山が近い。空は透き通り、太陽に近づいたと錯覚されるような紺碧の青だった。
面接した人は若い人事担当者と、少し年配の次長という肩書きの人だった。
製品の紹介やら事業内容を話す次長の真摯な態度に俺は引き込まれていった…
ここは混沌としているが、可能性を感じる。こんな俺でも必要とされているならがんばりたい。
そんな風に感じた。
その後にやった試験も常識問題で、難なく答えることができた。
数日後合格の一報を聞いた時は、飛び上がるような気持ちになった。
今までただ引かれていたレールの上を進んでいた人生から、はじめて自分の意思で決断をしたのだ。
そのことは間違いではなかったと思っている。
つづく
自暴自棄になりながら、やり切れぬ思いで毎日が過ぎていった。
ある日、ふと毎月取っていた技術情報誌の広告に目をやった。
そこには製品の紹介のほかに、中途採用募集中との広告があった。
場所は長野のとある田舎町。
旅行で近くに泊まったことがある。
ペンションに一泊し、ロードサイクルでまわりを走り回ったあの日…
そのときの楽しい思い出が頭をよぎった。
ここなら、やり直せるかも…
決心した俺は連絡先の人事担当者と連絡をとった。
面接日が決まり会社をズル休みした俺は、クルマで高速をとばし、その会社に着いた。
そこはインターの近くの林の中にあった。
山が近い。空は透き通り、太陽に近づいたと錯覚されるような紺碧の青だった。
面接した人は若い人事担当者と、少し年配の次長という肩書きの人だった。
製品の紹介やら事業内容を話す次長の真摯な態度に俺は引き込まれていった…
ここは混沌としているが、可能性を感じる。こんな俺でも必要とされているならがんばりたい。
そんな風に感じた。
その後にやった試験も常識問題で、難なく答えることができた。
数日後合格の一報を聞いた時は、飛び上がるような気持ちになった。
今までただ引かれていたレールの上を進んでいた人生から、はじめて自分の意思で決断をしたのだ。
そのことは間違いではなかったと思っている。
つづく