poppo徒然画帳

思いつくまま、徒然なるままに、絵や画像とともにつぶやきます。

蟹(カニ)

2010年01月01日 | Weblog
 の季節、蟹は食材ばかりでなく画材としても用いられることが多い。静物を描く場合、やはりモチーフを何にしようかと考えたとき花や木など植物や食物はどうしても旬のものを選んでしまう。季節感のあるものに趣向するのは入手しやすいこともあるがそれだけではない。季節外れのものを描くには違和感があって食欲じゃなく画欲が湧かないのだ。

 ころで「蟹」という漢字だが、なぜ虫なのだろう? カニは甲殻類で十脚目に属し昆虫ではない。ところが調べてみるとおもしろい事が分かった。「上海蟹(シャンハイガニ)」の由来にも関係する話で、時代は中国4000年前に遡る。当時、長江のデルタ地帯は湿地帯で、この地域を穀倉地帯にするため灌漑工事が行われた。工事の責任者は巴解(はかい)という勇猛な男だった。湿地には草が茂り、虫と呼ばれる生物も沢山いた。その中でも2本のはさみと8本の足を持つ虫がいて、水田に入り込んで、稲を喰ったり、はさみで人を傷つけたりしたので、人々は「夾人虫」(きょうじんちゅう)と呼んで、まるで虎や狼のように恐れていた。巴解は工事を進めるため草を焼き払った。焼け跡には香ばしい匂いのする虫が残り、これを食べてみたところ美味しい。巴解は他のものにもその虫を食べさせた。それでこの虫を巴解の足元にいるところから「蟹」と呼ぶようになったというのだ。

 ニの字源は解と虫。当初、虫偏に解で「蠏」であったが その後「蟹」が正字となったという。「解」というのは「刀」で「牛」の「角」等をばらばらにするという意味だ。なので、「蟹」は「節がばらばらになる」という。なるほど10本の足がばらばらにされて食べられている。(1)とく、とける。ばらばらになる。⇒「解体、解剖、分解」。(2)物事を細かく分け、わかるようになる。⇒「理解、解釈、弁解」。ちなみに「心がまとまらない。」は⇒「懈」。懈怠(けたい):なまける。おこたる。仏経用語では、善を修めることを努力しない心の状態をいい、この場合は「けだい」と読む。

 「の念仏」(かにのねんぶつ)というコトバがある。蟹が口の中でぶつぶつ泡を立てるように、くどくどと呟(つぶや)く様子をいう。また「蟹は甲羅(こうら)に似せて穴を掘る」というコトバもある。蟹は自分の甲羅の大きさに合わせて穴を掘るものだということから、人は自分の力量や身分に応じた言動をするものだということ。また、人はそれ相応の願望を持つものだという。俺も俺なりの器量があり、俺なりに未来志向している。まっすぐでなく、横歩きしているかも知れないがそれもよし。


これもパステルで描いた「蟹」


ニは茹でると赤くなる。これは甲羅の中のアスタキサンチンという色素が通常蛋白質とむすびついているのが、加熱により蛋白質と分離するからである。また、エビやカニは食物アレルギーを起こし易く、これらを原材料として含む製品を販売する場合にはエビやカニを原材料に使用している旨を表示する義務がある。

 品衛生法という法律で、特定のアレルギー体質を持つ方の健康危害の発生を防止する観点から食物アレルギーを引き起こすことが明らかになった食品のうち、特に症例数や重篤性から表示の必要性の高い「えび、かに、小麦、そば、卵、乳、落花生」の7品目は「特定原材料」といって、これらを含む加工食品にはそれを含む旨の表示が義務付けられたのだ。

 海蟹は淡水産のカニでチュウゴクモクズガ二のことで日本のモクズガ二と同属だが種類が違うものの、十分な加熱処理を経ていない淡水産のカニは、重い疾病を引き起こす寄生虫を有することが多い点で共通するところもある。とりわけ、「ウェステルマン肺吸虫」が有名である。ウェステルマン肺吸虫はアジアに広く分布し、水中でふ化した幼虫が第一中間宿主のカワニナ(蛍の餌になる巻貝)を経て、第二中間宿主のモクズガニ、サワガニ、ザリガニなどに入り、えら、筋肉、内臓に寄生する。人が感染すると肺に寄生し肺結核に似た症状を呈したり、脳に寄生すると半身麻痺、失明など危険な障害を起こすことがある。酔蟹、おぼろ汁などで感染した例が報告されている。

 水産カニ類の寄生虫はよく知られているものの海産カニ類での寄生虫症はあまり聞かないのはなぜだろう。寄生虫の生活史と関係していると思われるがはっきりしない。生食や加熱不十分、二次汚染(手指やまな板、包丁などからの汚染)が寄生虫症の原因なのでそれさえ注意すれば予防できる。

 かし、スベスベマンジュウガニなど海産のカニには毒を持つカニもいる。スベスベマンジュウガニは房総半島以南に棲息し、あのフグ毒で知られるテトロドトキシンという毒を持っている。鹿児島県、沖縄などで本種ならびに近縁のカニを食べて中毒したという例があるというが、事実かどうか定かでない。

ころで、癌(がん)のことを英語で cancer と言うが、この呼び名は腫瘍とその周辺の血管その他の組織が作り出す形状がカニに似る事からラテン語の「カニ」から引用されて付けられたという。潰瘍を意味する canker も同源だが、ギリシャ語の karkinos(カニ)と共に、これらの語はサンスクリット語の karkata(カニ)に由来するとか。



 カニについて色々書いてみたが、まぁ、旅館で出された「茹でた蟹」をその由来を詮索もせずに、焼酎でも呑みながら、黙々と食べている分ではなんの心配もせずにすむというものだ。


今、呑んでいる「酒」



本格焼酎・黒こうじ仕込み芋
黒芋ノ巻 1800ml 25度
㈱都城酒造(宮崎県都城市)
五輪之酒は全五巻。
第五巻「黒・芋ノ巻」は黒こうじの頑なまでの長所は保ち、
いもならではの飲みやすいまろやかないも焼酎に仕上げました。

有を知って無を知る これすなわち空
時を忘れて飲み明かしたい・・・黒こうじ


空の序
心意二ツの心をみがき、
観見二ツの眼をとぎ、少もくもりなく、
まよひの雲の晴れたる所こそ、
真の空としるべき也。