WHO(世界保健機関)は8月9日、エジプトで鳥インフルエンザウイルス(H5N1)のヒト感染例が新たに確認されたと発表した。2011. 8. 12
患者は6歳女児(Demnhoor地区在住)。7月12日に発症し入院した。タミフル(インフルエンザ特効薬の名前)による治療を受けて症状が回復し、7月30日には退院した。
エジプトではWHOが統計を取り始めた2003年以降、151例目となった。うち死亡は52例。
累積致死率は、2009年に30.0%と過去最低を記録したが、それ以降、2010年に33.6%と増加、2011年も8月までに34.4%と上昇している(図の中の折れ線グラフ)。
ウイルスのヒトへの適応という面では、累積致死率が下がっていくほどに適応が進んでいくとの見方がある。今のところ累積致死率が上昇傾向にあることから、表面的には適応の進展が減速していると見てとれそうだ。
日経メディカルオンライン「パンデミックに挑む」編集
(上記の記事中、下線部分は俺が挿入した)
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(上記の記事中、下線部分は俺が挿入した)
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以上がニュースの内容紹介であるが、上記のみどり色の部分について、その意味が俺にはよく分からない。
まず「ウィルスのヒトへの適応」ってどういう意味なんだろう。ヒトに感染して死に至らしめる能力(仮に「感染性」と呼ぶことにする)が向上したということなのだろうか。
ここでのウィルスというのは、高病原性鳥インフルエンザウィルスのことであり、鳥が感染して死に至ることは周知のことである。だが、ヒトへの感染性に関しては今のところ否定されている。したがって、遺伝子変異してヒトへの感染性を持つと世界的に大流行する(これをパンデミックという)。今、そのことが心配されているのだが、そのような能力を身につけることを「ウィルスのヒトへの適応」と言っているのだと理解していいのだろうか。
もしそうなら、もっとわかりやすくそのように書くべきではないのだろうかと思う。
さらに「累積致死率」の概念自体が分かりにくい。「生命表における年齢別累積死亡率」というのがある。そこでの「累積」という意味は、死亡率の「積分(和)」という概念のことではないとされている。一見するとそのように思いやすいのだが、そうではないのだ。
しかし、ここで「累積致死率」の説明を求めているのではない。緑色の部分が、その説明に替えて、ある人の見解を紹介する形をとって「累積致死率」が変化していることの意味を説明しており、そのやり方は分かりやすく読者に伝える上ではそれでいいと思う。
しかし、問題は、ここでも「適応の進展は減速している」との表現が分かりにくのだ。
ヒトへの感染性が高まっているのではなく、低下しているという方が分かりやすいと思うのだが、どうなんだろう。