私は、もう、夫についていけないと思う時がある。
それももう、どうでもよくなった。
なるようにしかならないと、諦めに変わった。
あの人は、自分のしたい事のために、子供の学資保険にまで手をつけて、全て使った。
もう、子供の保証すらない。
夫は、正社員にもなりたくない。
一生、自分で何かをしたいという願望のために、
アルバイトを続けながら、自称、本業とやらをする。
2日の夜に、カニを料理した。
焼きガニと、
熱湯にサッと潜らせた後、氷水でしめたカニをテーブルに置き、
おせちを並べた。
夫は、それを見て不機嫌になった。
俺は、カニが食べられない。
どうして、カニ鍋にしてくれなかったのか?
それだったら、鍋の野菜を食べられたのに。
そう言った。
そしたら、なぜ、あなたは、カニを買ったの?
私の好きなように料理したらいい、なんて言うの?
はっきり、鍋にしてほしいと言えばいいのに。
いいや。
お前に、思いやりがあったら、こんな事はしないはず。
俺のことを考えていないから、こんなことが出来たんだ!
そう言われた。
カニなんて、もう、一生食べたくない。
そう思った。
娘は、箸を置いて席を立った。
実際、私は、もう、あなたを愛していない。
でも、あなたのために、何もしてないわけじゃない。
ご飯だって、何がいいか、考えてる。
あなたのお母さんといつも比べられて、
親父にはもっとたくさん酒の肴があったと言うけれど、
私だって、お金があったら、なんでも買えるわ。
そこを同じにしないでほしい。
それは口に出してはいけない。
夫は、両親を失って、俺にはもう相談できる人がいなくなったと言った。
俺の両親は、常に商売の話をして、どうやったら儲かるか?相談しあっていた。
二人三脚で頑張ってきたから、成功したんだろう。
お前には、それが望めない。
サラリーマンの家系だからな。
私の親のことを侮辱する。
なんなら、〇〇として、お母さんの面倒でも見るか?
〇〇には、私の旧姓が入る。
この人は、私から離婚を言わせようとしていると思った。
俺には、お前は相応しくない。
だったら、実家に帰れと言ったらどう?
そんな言い方をせずに、そう言えばいい。
長い長い夜だった。
時計を見たら、午前3時。
体が冷たくなってる。
私は離婚を考えながら、
これから受験を控えた娘のことを思った。
私が世話する犬のことを考えた。
今は、できない。
そう思った。
じゃあ、いつならできる?
本当に離婚して大丈夫?
1人でなんでもこなせるの?
私は無力だ。
結局は、離婚する勇気も、気力もなく、ここにとどまる。
離婚したら終わりだ。
それなら、一層の事、
一緒に沈む船に乗るのも、ありなのか?
一度だけ、歩み寄ってからでも、
いいかもしれない。
私が変わってみる最後に。
人は、何のために生まれてくるのか?
苦労するためじゃない。
楽しむためなんだ。
人生は、楽しまなければいけない。
そのために、パワーが必要だけど、
そのパワーは、どこから来るのか?
久しぶりに、朝の散歩の時間に、彼と繋がった。
私は、彼にパワーをもらっている。
あなたは?
結局、なんでもいいんだ。
信じれるものがあったらね。
私もそう思う。
自分を変えるにも、何をするにも、パワーがいる。
その源は、
自然だったり、神様だったり、
自分の過去の経験だったり、
守りたいものだったり、
なんでも力になる。
ふと、景色が開けた。
前を向けるようになったんだ。
私は、犬の散歩をしながら、泣いていた。