アリ@チャピ堂 お気楽本のブログ

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人生をかけたゲームとゲームのような人生

2010-09-25 21:50:21 | フィリップ・K・ディック
「タイタンのゲーム・プレーヤー」 ディックらしい小道具がいっぱい ディックのディズニーランドか


「タイタンのゲーム・プレーヤー」“The Game Players Of Titan ” 1963年作品
大森望訳 創元推理文庫 1990年

なんとも説明しがたい話である
物語の中にしか物語の意味性が見つけられないメタ文学か
それとも出版社の要求と作家が作品への責任を留保したために創られた単なる単語の羅列
パルプ雑誌でかたるメタ言語、物語を笑う物語・・
この時期の作品が訳されることなく残っていたのはさもありなんという
随分、ひどい言い方だが、でもディックによるメタメタ文学によるメタ文学の実現
夢も現実も悪夢も希望もみな所詮紙の上に書かれた物語の中にごった煮となっているのであれば
それは現実ではありえないし悪夢でもない「紙の上にインクで形作られた陰影、輪郭のある線形の図像の連続」
それに意味を付与する読者はすでに物質の本質を取り違えている・・
メタ文学・・ディックの作品に優劣をつけるとすれば
劣っている作品ほど文学を超えているのに違いない

と、ディックの作品であるかぎり「ただの駄作」ではないと思いこむクレージーなファンがいる
ディック教(もしくはヴァリス教)の信者のわたごとである

 というのか、ただのスペースオペラより面白いのかもしれない、ただ、ここにはディックが深遠に深めた思考の形跡が薄いのだ

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