或る双子座の日々

這是一個雙子座的生活日記。
つれづれなるままに

日本食にまつわる負けず嫌い

2005年10月07日 | ハンガリー(日常)
英語のクラスでグループでテーマごとに雑談する時間があり、日本食について
話題に上った。フランス人とハンガリー人男女が相手だった。
お題は「ブダペストでリーズナブルだけど美味しいレストランは何処?」。

フランス人が地元のハンガリー料理屋をあげたところ、やおらハンガリー人が
「日本人はレストランは日本食に行くのか?」「ハンガリー料理は好きか?」
と聞いてきた。

「ブダペストは日本食は高いから行かない。韓国料理とイタリアンが好き」
「ハンガリー料理は時々食べる」(本当は高カロリーのハンガリー料理は
お客様が見えたときに行くくらいのもので、1年に1・2回しか食べ無い)
と答えた。

フランス人が「ねぇ、ウィーンに鉄板焼きの美味しい店があるのよ。知ってる?」
というから、驚くと同時に嬉しくなってしまった。大体、ハンガリー人と話して
いると「日本食=魚」という発想しかない。スシばかり先行し世界中に知れ渡って
しまったせいで、「すし」と書けば多少お値段高めで商売できると知ったアジア人が
相次いで欧州で店を出しているし、いまさら誰を責められるものでもないけれど。

さすが美食家で知られるフランス人だと感心したところで、「そうそう。多くの日本人
が週末にウィーンへ移動して日本食を食べてるわ」と話すと彼女は納得したのか大変
ウケていた。けれど、ハンガリー人は納得いかないようだった。とにかく、「ブダペスト
のほうが劣る」という事実が気に入らないのだ。

「日本食は魚がメインだから新鮮さが大事なんだろう?だからか?」と男性が冷静に
尋ねてきた。「いや、魚だけが日本食じゃないのだけど・・・。オーストリアのほうが
物流進んでいるのじゃ?」というと経済的な力の差と感じたのか納得したようだった。
しかし女性のほうは憮然として「なぜ?」と食い下がる。

彼女は、当地にあるなかで最も高級な日本食レストランの名を挙げて「あそこは本物の
日本食よ。オーナーも日本人だから」という。ブダペストのお金持ちに愛好される
「天ぷら一きれ何百円」という敷居の高さが自慢。いかにもお金持ちのコドモが
「あれも」「これも」と頼む姿を横目に、当の日本人は値段を気にしながらメニューを
選ばずにはいられないという店。「あの味はどうだ?」とさらにたたみかけるので
「ウィーンは標準の値段で美味しい。そこは高いけど味は普通で。」と答えておいた。

そういえば去年オープンした日本食レストランのシェフは、地元の外国人向け新聞に
大々的に広告を打ち、お店紹介の記事ではインタビュアーに「日本に1年間修行して
きた」と、確かそのようなことを話していた。板前の修業に1年て?

当地の日本食はハンガリー人好みに変容している。(1軒ガンコに日本人の味を
守っているお店はあるけれど)ブダペスト在住の日本人は約1,000人と言われて
いるから数としては決して多くない。地元の人間にリピーターになってもらわない
と採算が合わないのだから自然の流れだと思う。

2003年の在留邦人数はオーストリアもブダペストの約2倍程度。しかし、訪問
する日本人の数は相当に上回るだろうし、旅先で日本食の看板を見つけて駆込む
邦人数もまたずっと上だろう。さらに、地元の客と言うのも洗練されていて現地
風にアレンジされたものより「和食」のまま楽しめる気質もあるのでは?

先述のフランス人のように、目も肥え口も肥え「スシや魚だけが日本食じゃない」
と知る日本びいきのお客に育たないなら、ブダペストは今のままなんじゃない?
と思った一日だった。

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