或る双子座の日々

這是一個雙子座的生活日記。
つれづれなるままに

日本紹介といえば「伝統文化」でいいのだろうか?

2005年09月06日 | ハンガリー(日常)
まず、最近の「よさこい踊り」の全国的人気をどう思うか?高知とは縁も
ゆかりもない土地柄でも踊りたいという一心で人々が集い、地域の市民
文化祭などで披露してニュースなどで好意的に取り扱われるのを頻繁に見る。

イヴェントを企画運営する側のパッと人目をひく華やぎが欲しいこと、来場側
も威勢のいい掛け声と調子のいいお囃子につられてしまうこと、両者の思惑が
一致するので引っ張りだこなのだろう。しかし、衣装だけでなく色々な部分に
アレンジが施され、いわゆるダンスとなっている。「伝統っぽい」だけで、
ラップミュージックやディスコ風のダンスパフォーマンスと何ら変わらないの
になぜか有難がって見るよう押し付けられているような違和感がある。

ブダペストでは去年から今年にかけて、日本の太鼓パフォーマンスグループが
幾つか来て公演した。これは華があって分かりやすいのかハンガリー人にも
好評。大使館も後援しているから「日本文化を伝える機会」と捉えているようだ。

あいにくチケットが完売したり、体調が許さなかったりで実際に見ていない。
しかし、ある太鼓グループの公演を見たひとに聞けば、ハンガリー人が見た
こともない日本の巨大な大太鼓を前に鉢巻に白いふんどしの筋肉質の男性が
汗を飛び散らして勇壮に太鼓を打ちならし、正に裸同然の格好は好奇の視線
を集め、観衆をひきつけたそう。また、太鼓のみならず効果音的に尺八など
を取り入れ、舞台には月を照らし出し、月を弓で打ち抜く演出がなされたとか。

また私自身が目にした太鼓グループのポスターは、カンフー映画のような衣装
を来て飛び蹴りをしている男性の写真が印象的にコラージュされたもの。これ
が日本文化ですかと不快になってしまった。

これまでハンガリー人やイギリス人ほかにも色んなヨーロッパの人と話す機会に
恵まれたけれど、ある程度打ち解けてくると疑問が涌いてきて、いろいろ聞いて
くる。「中国語と日本語は、同じなんでしょう。(違うと否定すると)せいぜい
チェコ語とスロバキア語くらいの違いでしょう?」「感謝するとき胸の前で手を
合わせてお礼するのは日本よね。」「僕は学校で空手をやってたよ、すごいだろう」
「(6階建てくらいの古い西洋建築のビルを指差して)どうだ、綺麗だろう。
日本は何階建てがある?」「日本人は肉を食べることがあるの?」など。

日本は中国や朝鮮半島とは海で隔てられていることも、漢字文化は共有していて
も独自の言葉を持っているとは知られていない。日本料理といえばスシのみが
一人歩きし、武道や茶道における礼儀作法をみて普段の姿と思っているなど思い
当たることがたくさんある。

派手なパフォーマンスを見せ、琴の音を聞かせ、お茶を飲ませれば日本が分かる
のだろうか?多くの日本人は普段、太鼓を叩くだろうか?ふんどしをしたり、
カンフー風や着物風の衣装をきるだろうか?琴の音を楽しんだり、実際に弾いた
りしているだろうか?作法どおりにお茶を飲んだり立てたりできるだろうか?

「世界に冠たる経済大国」「技術大国」「豊かな」といった枕詞をつけて、日本
を語るのがTV番組や新聞・雑誌では普通になって私たちの感覚も「日本は世界
中に知られている」という錯覚を持っているけれど、本当は何も知られていない
ようにおもう。

日本を簡単に断片化するのは難しいので、派手な伝統文化に力を借りたいのは
分からなくもないけれど、もっと現実の私たちの姿を伝えなくていいのかと不安
な気持ちに駆られる。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 便秘対策 | トップ | 無料レストランガイド »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ハンガリー(日常)」カテゴリの最新記事