人造人間キカイダーには私立探偵、服部半平なるキャラクタが登場する。
ドラマの構造的に言うと、人造人間キカイダーは全編シリアスである。基本的に、キカイダーを作った光明寺博士は行方不明で、光明寺博士の娘、ミツ子とその弟、マサルの「父をたずねて三千里」(笑)と言うのがそのストーリーの骨格で、そこで父親の光明寺博士捜索の助力を乞う相手が私立探偵服部半平、あだ名はハンペンである。
ところが、この話、シリアスだらけだったら当然息が詰まる。そこでコメディ・リリーフの存在であるハンペンが緊迫したドラマに和みを与えるのだ。
ところで、石森章太郎の原作マンガにもハンペンは登場するが、実は大してストーリーには絡まず割に早期に退場、となっている。石森章太郎が望んだ「より深刻度合いが増した」ストーリーには正直、コメディ・リリーフの存在は邪魔だったのだろう。
一方、実写版のキカイダーでは第二話以降ハンペンは基本出ずっぱりである。
子供の頃は良く分からんかったのだが、大人になった今見てみると、よく言われる通り、確かにハンペンってのは美味しすぎる役なのだ。
しかし仮に美味しいとしても役者が下手だったらこれだけ使われないし、(当時の子供自身はともかくとして)視聴者にも愛されなかっただろう。
このキカイダーのハンペンを演じた役者が、名優うえだ峻、である。
うえだ峻氏は殆ど、後年の特撮ドラマ、西遊記における西田敏之みたいなもので、演技力も出演陣に於いてはぶっちゃけトップクラスだった、と言って良い。とにかく、名脇役だった。
第2話の初登場時にはシャーロック・ホームズのコスプレのような出で立ちで登場する(笑)。そしてこの時点で愛車がスバル360(通称「てんとう虫」)と言う名車である事も発覚する(笑)。
このスバル360、ドラマ内では故障ばっかしてるが、実は名車中の名車、国産車ではトヨタのS800に対抗する事が出来るくらいの名車である、と個人的には思っている。単に丸いフォルムの車が好きだ、と言う話があるが(笑)。
いずれにせよ、愛車にスバル360を選ぶような人物がセンスが悪いわけがない。そして第2話再登場時には次のようなカッコをして出てくるわけである。
なんかファッションが変わってる、のだ。とか驚けばおかしい?
いや、この時代、マンガも含めてだけど、一つのキャラが一つの服装、ってのが当たり前だったんだよ(笑)。キカイダーのジローだって同じ衣装で出ずっぱり。
一方、「センスが良い」ハンペンはこの時代のキャラには珍しく「服を着替える」って事をやってるのだ(笑)。センスの良さが分かるだろうか(笑)。さすがスバル360を選ぶ男は違う(笑)。
第3話だとこれとこれ。
第4話だとこれとこれ。
第5話だとこれ。
と、登場する毎にコスチュームが変わってるのだ。
これを見ても演出家に愛されてる、と言うか、使いやすいキャラだったのだろう。
そして人造人間キカイダーでは殆ど「コスプレ男」と化していくのである(笑)。
今回はそんなハンペンのコスプレ写真集、と言う誰得企画である。マジで見てるだけで面白ぇから(笑)。
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さて、こうやってイッキ見して一覧を作ってみると、確かにハンペンの「正装」は恐らくホームズスタイルか背広なんだけど、プライベートなんだか仕事なんだか分からん彼の行動に於いては、とにかく女装を含むコスプレとかが異様に多いのが分かるだろう(あと、面白いのが、どういうわけか競馬の騎手に扮したような服装が二回程登場してる)。
多分スタッフに色々と遊ばれてたんだな(笑)。連作で作られた数エピソードを除き、殆どヤケになってるカンジで(笑)、ハンペンに「二度と同じ服装をさせない」勢いで頑張ってるのだ。
もう一つは、遊びはさておき、ハンペンは「可愛い」カンジの私服も多いのだ。チェック柄でピンク系のパステルカラーを多用した服、とか後年のチェッカーズを彷彿とさせる。
結果、この時代には極めて珍しい「滅茶苦茶オシャレでチャーミングな伊達男」と言うのが、この特撮ドラマ、人造人間キカイダーに生まれたハンペン、と言うキャラクターになったのだ。