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Retro-gaming and so on

里見八犬伝

千葉真一が今年の8/19に亡くなった。

ところで、僕自身の中では千葉真一主演映画の印象があまりない。
もちろん、彼自身がアクションスターであり、また、スタントマン、と言われる職業の地位を向上させた人である、って事は頭の中では分かっている。
ただ、僕の中の印象では、彼自身がスターになりたかった、と言うよりも、彼を慕う人たちの中からスターになる力量がある人をスポンサリングする人って印象の方が強いのだ。
うん、プロデューサー的気質と言おうか。
もちろん、彼自身は押しも押されぬ、既にスターだったんだろう。
ただ、僕が意識して映画を観始めた時には、第一線にいる人、と言うよりは後進を指導する、ってカンジの人だ、って印象に既になってたんだよなぁ。
まぁ、あんま邦画を熱中して観なかった、って事もあるんだろうけど・・・でも僕の中では印象的には「アクションスター界の欽ちゃん」ってカンジだったのだ。
分かる?
だから彼の代表作も実は知らんのだ。彼の主演での「ゴルゴ13」ってのも観た事あるけど、これを代表作、って言われても困っちゃう人が多いような気がするので、敢えて言わない。
僕の中では彼が率いるJAC(ジャパン・アクション・クラブ)の人たちをもり立てよう、って頑張ってた人、と言う印象なのだ。志穂美悦子しかり、真田広之しかり、ってカンジである。

そのテのJACの精鋭が集った映画で僕が大好きなのが、この角川映画「里見八犬伝」(1983年)である。
基本的に当時の角川のドル箱アイドルだった薬師丸ひろ子主演の映画なんだけど、脇を固める俳優陣は、千葉真一を含めかなりの確率でJACの俳優である。
監督は深作欣二で、伝奇アクション時代劇、となっている。
原作は滝沢馬琴の「南総里見八犬伝」を解題した「新・里見八犬伝」。・・・・実はポルノ小説である(笑)。角川がポルノ出したカタチになってたんだよなぁ(「官能伝奇ロマン」とか銘打ってた・笑)。
著者は「金曜日の妻たち」の脚本家だった鎌田敏夫なんだけど、この人、シナリオライターな割には文章が滅茶苦茶上手い。ついでにこの映画の脚本も書いている。



ストーリーはメンド臭いんで(笑)、Wikipediaから引っ張ってこよう。

かつて蟇田領主、蟇田定包(ひきたさだかね)は毒婦・玉梓 (たまづさ)の色香に迷い、酒池肉林と暴虐の限りを尽くしていた。苦しむ領民の意をくみ取り、里見義実(さとみよしざね)は、彼らを討ちとったが、玉梓は最期に呪いの言葉を遺す。まもなく、玉梓の呪いか里見家は隣国の軍勢に囲まれ落城の危機に瀕す。力尽きた義実は飼い犬の八房(やつふさ)に「敵将の首を討ちとれば娘の伏姫(ふせひめ)を嫁につかわす」と戯言を投げかけ、その夜、八房は見事に敵将の首を討ちとる。君主たるもの約束を違えてはならないと、伏姫を八房と共に山奥へと去らせるが、伏姫を取り戻そうとした義実の軍の鉄砲のせいで、八房をかばった伏姫は死んでしまう。しかし死の直前、伏姫の体から仁・義・礼・智・忠・信・孝・悌の各字を刻んだ八つの霊玉が飛び散り、伏姫は「百年の後、この光の玉は八人の犬士となって蘇り、里見の姫を奉じて玉梓の呪いに打ち勝つでしょう」と言い残す。
百年後、妖怪として蘇った玉梓、息子の素藤(もとふじ)は、里見家を攻め滅ぼす。ただ一人落ち延びた里見家の静姫は、玉梓の追手から逃れ、その野望を砕くため戦いを決意する。このとき姫は犬江親兵衛から炭焼き小屋で食べ物を恵まれ、女と分かり追いかけられるが、犬山道節たちに護られるなど、それぞれの運命により導かれた八人の犬士が次第に集まる。ところが静姫は、けもの罠にかかりさらわれてしまう。犯人は親兵衛であった。静姫を素藤の許へ連れていく途中、親兵衛は、素藤の支配下の安房国の荒廃を目の当たりにする。ここで黒騎馬侍に静姫が見つかり、親兵衛らは鍾乳洞に逃げ込むが、中にいた道節たちによって親兵衛は放り出された。その後、親兵衛は黒騎馬たちに捕まり、右手首の黒い痣は玉梓の怨念を背負って転生した姿の証拠で、100年前は私の子であったと教えられ、「御霊様」に仕える司祭・幻人によって悪の化身にされてしまった。だが、素藤配下の侍大将犬飼現八が親兵衛を連れて城を脱出。現八の懐には霊玉が光り、静姫のいる洞で七人目の犬士として迎えられる。一方、目をさました親兵衛がいきなり静姫に襲いかかるが、静姫が「お前に会いたいと思っていた」と話すと、白い閃光が親兵衛を一撃。親兵衛が再び目をさますと右手首の痣が消え、二人の間には光り輝く霊玉が現れる。愛し合う二人の前に突如、大蛇が現れて静姫を巻いて去る。霊玉を八個集めた時、伏姫の「この弓矢を静姫に与えよ」という声が響く。
皆で館山城に向うが、激しい反撃にあい、大広間にたどりつけたのは二人だけ。道節が盾となり、親兵衛が静姫を解き放ち、静姫は御霊様に矢を放つ。玉梓や素藤はミイラと化し、城は崩れ落ちる。こうして親兵衛は、静姫を叔父の城へと届ける。姫と別れた親兵衛が七犬士の墓を祀っているところに、静姫が駆けつけ「城へ戻らぬ」と言う。躊躇する親兵衛だが、七犬士の声に激励され、共に生きていく決意をする。 

ええと、映画自体は、二番目の段落から始まっている。「因縁」は第一段落で、この辺は南総里見八犬伝からほぼそのまま背景として持ってきてはいるが、劇中で後に「語られる」だけである。
また、原作の原作、南総里見八犬伝には薬師丸ひろ子が演じる静姫、なる人物はいない。南総里見八犬伝は「八犬士」なる人々が集う話ではあるが、面白いんだけど、映画で言うとバディムービーっぽい話で、妖怪退治を含みながら日本全国津々浦々を巡る、って言うカンジの話で、実は意外と物語のコアがない。
その点、新・里見八犬伝及びこの映画版は、八犬士の「不幸な境遇」を強調したり、コアとなる静姫を奉る為の集結、と言うようなカタチになっていてもの凄く分かりやすい話になっている。
逃亡のお姫様を悪い奴らから守り抜く騎士達・・・と言う形式だ、ってのは分かりやすいでしょ?

さて、この映画では千葉真一が八犬士の中心人物、犬山道節を演じている。八犬士の中でも重鎮だし、俳優陣の中でも重鎮だし、結果この娯楽映画の「安定性」と言うか、「安心して観ていられる」のは千葉真一の存在感のお陰だと思っているのだ。


まぁ、千葉真一の存在感の素晴らしさは映画そのものを観て欲しいんだけど・・・。
この映画は他にも見どころがある。まずはともかく、衣装が素晴らしいのだ。
侍の和装、と言うのは地味な印象があるかもしれないけど、史実的には室町幕府辺りまでは結構派手できらびやかな衣装が多かったのだ。
我々の通常のイメージだと江戸時代の時代劇のせいで、きらびやかな衣装、とか言うと「?」とか思うだろうが、実はこれは徳川幕府による「倹約せよ」と言う命令のせいで、地味になっただけで、実際は室町〜安土桃山時代辺りまでは派手な和服の方が多かったんだよね。
多分、この映画はその辺の「リアリティ」を追求している。昔の資料をかなり徹底的にあたったのだろう。てなワケで、「地味な和服」を期待してみると多分良い意味で裏切られるだろう。「和装ってこんなにかっこよかったんだ!」と言う衣装のオンパレードである。







そしてまた悪役が良い。毒婦・玉梓とその息子、蟇田素藤を演じるのが夏木マリと名優目黒祐樹。志穂美悦子が演じる犬坂毛野にちょっかいを出す色男、妖之介にこれまた(亡くなった)名優萩原流行。毒を扱うマッドサイエンティスト的な幻人にこれまた名優汐路章、等、とにかく悪役の配役も豪華キャストなのだ。


中でも特筆すべきは夏木マリの悪女ぶりである。ついでに言うと、これは80年代の映画で、映画でヌードが拝めた時代なのだ。この映画では夏木マリの乳首も拝めてしまう・・・・・・。すっかり千葉真一から離れてしまったが、個人的には夏木マリのケツも素晴らしい、と思ってしまう。


夏木マリの美しいケツ

いずれにせよ、配役も豪華キャストである伝奇時代劇で、JAC絡みでこれだけ金がかかった映画は他にないんじゃないか(制作費10億円?)、と言うくらいの痛快時代劇である。
千葉真一の名演技と共に、是非とも楽しんで頂きたい。単純な話だしね!
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