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Retro-gaming and so on

キルラキル

さて、「敢えて観たほうが良いアニメと言えば?」と問われたら70年代末〜80年代中頃までの「劇場用アニメ映画」と答える、と言う話をした。
では。
当時のテレビアニメはどうだったんだろうか?

まぁ、いくつか言う事が出来るが、良くあるパターンだと、当時も「人気漫画のアニメ化」と言うのが多かった。
今じゃ信じられないだろうが、当時、ゴールデンタイム(夜7:00〜8:00)だと「人気漫画のアニメ化作品が目白押し」ってのが珍しく無かったのだ。深夜じゃない。ゴールデンタイムだった。
一つの理由として、当時(80年代前半辺りまで)の子どもたちは「塾に行くのが必須」ではなかったんだな。だから家族と夕飯食いながらアニメを観る、なんつー、優雅な事が可能だったのだ。
ところが80年代後半に入ってから塾通いが増加し出した事が一つ。もう一つは、ファミコンが普及しまくって、子供達の興味がアニメからテレビゲームに完全に移ってしまった事。
こうして、アニオタの台頭と引き換えに、「アニメの一番の視聴率の元」となっていた子どもたちが、アニメから真っ先に脱落していったのである。
そして、いくらアニオタがいようとも、彼らの数ではテレビの視聴率は稼げなかった。
結果、ゴールデンタイムからアニメは消えていったのである。

とは言っても、当時のテレビアニメのクオリティは大して高くなかった、のも事実。
今のアニメで、例えば原作漫画とちょっとでも違うと「原作を汚した」とか言われるみたいだが。
ぶっちゃけ、80年代の漫画原作のテレビアニメなんざ、殆ど原作レイプって言って良いくらいだった。反面、今の漫画原作のテレビアニメとか「良く出来てる」よ。この辺のクオリティはかつての比ではない。原作ファンだと安心して観れるだろう。
今のアニメ監督は、基本的に「原作漫画を如何にそのままアニメに持ってこれるか」の力量が問われてるように見える。原作漫画と同じ構図、としてアニメが再現されてたりするんで、ぶっちゃけ、今の深夜アニメを初めて観た時とかぶったまげてしまった。「ここまでするのか」と。
80年代だと、「個性派監督」がいて、例えば前紹介した出崎統とかだよな。優秀な監督も出たんだけど、「葉巻を吸わずパーラメントを吸う」ゴルゴ13にしたり、とか、人によっては「どーなんだ」って言う事をヘーキでしてた。だからこそ「個性的演出」になったんだろうが、今だとそんな事をすれば「大炎上」だろう。
他にも、例えば「うる星やつら」とか。今観てみて、例えばアニメのうる星が「高橋留美子の絵を動かしてる」と誰が思う?圧倒的に「別物」なのだ。これも今だったら「原作を汚してる」炎上案件だろう。



ただ、今や時代が変わって、何度も言うけど、今の、例えば漫画原作の深夜アニメとか。別に「原作漫画が人気があるから」アニメにしてるわけじゃないんだ。いや、そういうのもあるよ?集英社とか、講談社とか、小学館とか、大手メジャーの作品は「その通り」だ。
ただし、他の出版社の作品はそうではない。そもそも「そんな雑誌あるんか」って言うようなマイナー雑誌の漫画、とか一体誰が知ってると言うんだ。逆なんだよな。「認知度を上げたくて」深夜アニメにする、って方が圧倒的に多い。つまり、漫画原作とは言ってもその漫画が人気があるかどうか、っつーのは、・・・・・・どっちかっつーと(売上から考えると)「人気がない作品のPRだ」ってのが実際のトコなのだ。
と言う事は、何度も書いてるけど、深夜アニメの本懐、ってのは実は「通販番組」と変わらないのだ。電波が安い時間帯に自社出版物の「CMとして」アニメを作る。そして「CMである以上」、余計なオリジナルな演出なんぞ必要ない。そこに求められるのは、「正確に宣伝したい漫画の魅力を伝えられる」アニメ監督。欲しいのは「オリジナリティ」じゃなくって「職人技」なのだ。あくまで原作漫画の宣伝を請け負う仕事人、と言う意味での。

とまぁ、そういうのが背景にあるんだけど、とは言っても「元々原作を知ってる層」から言わせると「安心出来る」クオリティのモノばっか基本作られている。かつてのテレビアニメとは大違いだ。こればっかは今の深夜アニメの方が「勝ってる」としか言いようがない。大きな進歩である。素晴らしい。

では、「漫画原作以外の」、もっと言えば「原作が付いてない」オリジナルのアニメはどうなのだろうか?
うーーーん、これが難しい。と言うのも、別にアニオタじゃないんで、全作品把握してるわけじゃあない。基本的に「つまらん」となったら記憶に遺る、遺らない以前に全く観ないから、だ。意識の外になる。
ただ、「面白い作品」はあるんだ。・・・でも。
「面白い作品なんだけど」薦めづらいんだよなぁ。そういうのが何本かある。

前にも書いたけど、これは原作付きなんだが、2009年に放映されてた「咲-Saki-」は大好きだった。今は原作漫画とか全然パワーダウンしちゃってて、「あー、シリーズ全部完結してからブックオフ辺りでまとめて買うかぁ」くらいに冷めちゃったんだけど、取り敢えず2009年の「アニメ化第一作」(に限る)はメチャクチャ面白かった。


ところで、このアニメには(毎回あるわけじゃないが)次のような有名なイントロ・ナレーションがある。

21世紀。世界の麻雀競技人口は数億人を超え、プロの麻雀プレイヤーは人々の注目を集めていた。
高校でも、大規模な全国大会が毎年開催され、そこでは、プロに直結する成績を残すべく、高校生麻雀部員たちが覇を競っていた。
これは、その頂点を目指す、少女たちの軌跡。

要するに、この話の「世界観」を表してるわけだな。
いや、今もプロ麻雀師達はいる。ただし、「世界の麻雀人口」は数億人も現実にはいない。いたとしても、日本独自の(外人達が呼称する)「リーチ麻雀」ではない。
プロ野球選手になりたい高校球児はいまだたくさんいるだろうが、プロの麻雀打ちになりたい高校生とか、まぁ「そんなヤツおらへんやろ〜」である。



つまりだな、こういう「世界観」を認められればこのアニメは面白がれるんだけど、そうじゃなければ受け入れられない。
そして、そういう「世界観」ってのは拒否感レベルが色々とあって、高くなりすぎると「突飛すぎて受け付けない」になるのだ。

そして、「話は面白いんだけど、最初の世界観を受け入れられるか受け入れられないかが鍵」な作品があるのだ。
例えばガールズ&パンツァー。この作品まだ完結してないから完全に結論出すわきゃいかないんだけど、面白い。確かにメチャクチャ面白い話なのだ。
ただし。

  • 戦車道と言う「世界観」を受け入れられるのなら
と言うかなり高いハードルがある。



いや、アニオタは関係ねぇ、って言うだろうけどさ。ぶっちゃけ、一般的に考えて、「"戦車道"を受け入れる」とか結構無理ゲーだぞ(笑)?戦車道?なんやねん、それ、って事になる。
だってさ。何で茶道や華道に「戦車道」が並んでるのか、とか(笑)。何故に戦車道が乙女の嗜みなのか、とか(笑)。ツッコミ入れまくられる設定だぞ、これ。
つまり、冗談であれ何であれ、

「取り敢えず"戦車道"と言う問題大有りの設定を脇に置いておいて」

と言う「大人の態度」が出来ないとこのアニメは面白がれない、のだ。いやだってそうだろ?皆マジで「戦車道」って納得してる(笑)?嘘だろ、「そんなモンはない」ってのは確実なんですから。しかもSFと違って、「そんなモン将来実現するこたぁねぇ」のさえ確実だ(「咲」のように「麻雀人口が数億人超える」方がまだあり得る・笑)。
ぶっとんだ設定があって、しかも面白いアニメ。こんなんどーやって一般人に勧めろ、っつーんだ(笑)。ああ・・・・・・。

この手のアニメの同種がここで挙げる「キルラキル」(2013年)だ。これもメチャクチャ面白い。が。



この話における「服」の設定。とにかく細かい。そしてワケが分からん(苦笑)。
話のベース自体は古典的な「本宮ひろ志」や「小池一夫+池上遼一」の漫画の流れなのだが、女性主人公にした上で、

「服とは?何故人類は服を着るのだ?」

と言う壮大な(しかもくだらない・笑)謎に迫っていく。いや、迫っていっても設定自体が元々ギャグみてぇなモンなんで、どーでもイイんだけどな(笑)。
でも、話の基本が「本宮ひろ志」なんで、勢いだけでどーにでもなるのだ。あの人の漫画のような「しょーもねぇ」面白さがこのアニメにはある。
そして面白いんだけど、やっぱ最初の「設定」で人を選ぶのだ。ハマる人はハマる。そうじゃない人はそうじゃない。そして「じゃない方」は割に多いかも。60%以上はこの世界観に納得出来ない危険性がある。


なお、主役を演じてる小清水亜美。この人メチャクチャ器用な声優だなぁ、とか思う。昔の声優だと、こういう器用な人って小山茉美くらいしかいなかったと思う。他の声優って特徴ありすぎてな。小山茉美は「特徴が無いのが特徴」みたいなモンで、だからこそ色々と「化けれた」声優だった。
今の時代、逆に、小山茉美型の声優が多くなってきてる、と思うんだけど、その筆頭で、そういう時代を作り出したのがこの小清水亜美じゃなかろうか。最初出てきた時にはアイドルっぽい扱いされてた気がするんだけど(※)、今の「器用な」声優の礎を作り出した人のような気がしてる。
キルラキルの主人公、纏流子と咲の登場人物、原村和を同一人物が演じてる、とか信じられませんよ。いや、マジで。


と言うわけで。
メチャクチャな基本設定でも構わない、取り敢えず熱くて面白いアニメが観たい、って人にはキルラキルはオススメである。
拒否感示さない40%以下の確率の中に入ってるだろう人向け、の大傑作アニメである。

※: 僕はアニヲタでもないしましてや声優ヲタでもない。
じゃあ、何故んな事知ってるんか、と言うと、「小清水亜美」がたまたま観てた「いいとも!」か何かで、若手人気声優特集、みたいな企画があって、出てたひな壇の人気声優達の中の一人だったので覚えてるのだ。
そのコーナーでは、デビューしてまださほど経ってなかった頃の小清水亜美が、進行役の中居正広にイジられていた。
中居くんに、「アイドルなんだって?」とかからかわれてちょっと困った顔になってたのが印象的だったのである。
そして「小清水」と言う何ともヘンな名字(笑)。ぶっちゃけ、彼女がアイドル的に可愛いかどうかは関知せんが(個人の趣味の問題だろう)、そういうのがあって、ひな壇の中でも、彼女の名前「だけ」は覚えていたのだ。
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