1984年公開、ゴーストバスターズのリメイク映画(2016年)だ。もっとも制作陣は「リブート」と呼んでいて、要するに第一作を「完全に作り変えてる」と言う自負の現れになっている。そして僕も、「リブート」と称するに恥じない映画になってるんじゃないか、と思う。
なお、元々は単にゴーストバスターズ(Ghostbusters)と言う題名だったが近年はサブタイトルとして表だって"Answer the Call"を付けていて、旧作である第一作の「ゴーストバスターズ」と区別してるようだ。
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なお、第一作及び第二作で監督だったアイヴァン・ライトマンは本作ではプロデューサになっている。また、ゴーストバスターズの仕掛け人であるコメディアンのダン・エイクロイドも制作総指揮に名を連ねていて、まさしく、「正統なリメイク」と言う布陣で本作は作られてる、と言える。
ところで、何故にこの映画が「リブート」の名に恥じないのか。
オリジナルのゴーストバスターズ、での組織は5人のメンバーで構成されていた。3人の白人男性、1人の黒人男性、そして1人の受付嬢、と言う構成だ。
しかし本作では3人の白人女性、1人の黒人女性、そして1人の受付・・・嬢じゃなくって男性になってるからなんて呼べばいいのか(笑)。いずれにせよ、メンバーの性別が全て変わっている。
それだけなら大した事はないだろうが、重要なのは「枠組み」が同じでもキャラクタの性格が一対一対応じゃないんだ。全員キチンと「新キャラ」として性格設定が成されている辺りが良い。つまり役柄が全く違うんだな。そこが非常に良い点だと思っている。
そしてオリジナルの場合、コロンビア大学をクビになった3人は割にアッサリとビジネスの世界に入ってくように見える。しかしこっちのリブート版は、同様に大学を追い出されるが、あくまで「研究者であろうとする」のだ。
つまり、ストーリー的なコンセプトが同じでも、各キャラのスタンスが全く違う。その辺がまさしく「リブート」で、ある種性質が全く違う映画になっていて、その辺が旧作ファンでも納得して観れる映画になってる秘訣なんじゃないか、って思う。
この映画は、オリジナルのストーリー展開をなぞっただけの、単なる「焼き直し」じゃないんだ。
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なお、この映画では、彼女たちの組織の正式名称は「ゴーストバスターズ」ではなく、「超常現象究明研究所」なのだが、マスコミに「ゴーストバスターズ」と呼ばれた為に、通称「ゴーストバスターズ」になる(笑)。
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主人公、エリン・ギルバート博士。素粒子物理学者。コロンビア大学で教鞭を取るも、過去に高校時代からの友人、アビーと書いた「過去からの幽霊」と言う本がAmazonで大学関係者の目に留まってしまい、また色々あってコロンビア大学をクビになってしまう。なお、今作では彼女「だけ」がコロンビア大学で職を得ていた。なお、彼女は高校時代に実際幽霊を目撃して(隣人の幽霊)、1年間それに悩まされた上に両親を含めアビー以外には誰にも信じて貰えなかった過去がある。それで当時のクラスメートに「幽霊女」等とからかわれていて、その辺がトラウマになってて、コロンビア大学時代には「幽霊と距離を置きたい」とは思っていたが、心の奥底では「幽霊を捕獲、検証して実態を解き明かしたい」と思っている。
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アビー・イェーツ博士。主人公エリンの高校時代からの友人で、Amazonでの顔バレで問題になるエリンの本「過去からの幽霊」の共同執筆者でもあり、また同時に彼女も素粒子物理学者である。ただし、ヒギンズ工科大学(架空)で心霊現象研究室を率いて心霊現象の科学的解明を目指していた。しかし、「そんな研究室なんてあったのか」と学部長に言われて、クビになってしまう。
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ヒギンズ工科大学でアビーのパートナーだったジリアン・ホルツマン博士。物理工学者。この映画のメンツでは一番オリジナルのイゴン・スペングラー博士に近い、ゴーストバスターズの「装備開発者」の役割である。ただし、見た目の通り、学歴の割にはパンクな雰囲気で全然アカデミックな感じがない(笑)し、ハスッパでズベ公みたいな喋り方をする。アビー共々ヒギンズ工科大学をクビになる。
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4人目のゴーストバスター、パティ・トラン。前作と違って黒人の彼女は早い段階からゴーストバスターズに加わる。元ニューヨーク市地下鉄の職員だったが、そこで幽霊を見たことをゴーストバスターズに持ち込んだ事で縁が出来る。また、ゴーストバスターズの専用車両、エクトワンは彼女が葬儀屋の叔父から無断借用してきた霊柩車を改造したもの、となる。
Amazonで顔バレしたり、YouTubeで炎上したり、とか「現代的なアプローチ」なシーンもこの映画は欠かさない。
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そして、とにかくこの映画は見せ場が多い。往年のSFXより当然進歩した事で圧倒的に派手な「対ゴーストアクション」が展開される。
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4人組になり、ゴーストバスターズとしての初出動先はなんとヘビーメタルのライブ会場。ステージ上からゴーストを退治する、と言うメチャクチャ派手なシーンとなっている。
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旧作同様のプロトンパックに加え、新兵器の数々。これらを使ったアクションも派手だ。
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前作は「大量のゴーストと一気に戦う」事はなかったが、今作はゴーストバスターズ4人が大量のゴーストと戦うアクションシーンが用意されていて、ゴーストを「殲滅する」姿が楽しめる。
ギャグも、エクソシストをパロったようなシーンも出てきたりして豊富だ。
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劇中でアビーは悪霊に乗っ取られてしまう。その悪霊を祓うシーンはエクソシストのパロディだ。
前作のファンの為に前作の出演者も役どころを変えて出演してる辺りが良いサービスである。
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前作でDr.ヴィンクマンを演じたビル・マーレイ。今回は反オカルト主義のマーティン・ハイス博士を演じる。前作のウィリアム・アザートンの役どころだ。
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ホテルの受付嬢(っつーかおばさんになったが・笑)。演じるのはアニー・ポッツで、前作ではゴーストバスターズの受付嬢を演じてた。
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ゴーストバスターズの仕掛け人、ダン・エイクロイドはニューヨークのタクシー運転手に。ゴーストバスターズの主題歌の歌詞の通り、"I ain't afraid of no ghosts(おばけなんて怖くない)"と言うセリフを言うが、エリンに「それは二重否定文だから「俺は幽霊が怖い」って意味になるわよ!"とツッコまれる。
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パティの叔父。葬儀屋の社長。演じるのは前作で「4人目のゴーストバスター」を演じたアーニー・ハドソン。
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前作でヒロインを演じた、ご存知、シガニー・ウィーヴァー。今作では物理工学者ジリアン・ホルツマン博士の師匠役でチラッと出演する。
また、今作の場合、早い段階でニューヨークや合衆国政府は「幽霊の存在」を感知してそれを認める。
ただし、群衆パニックを避ける為に、箝口令を施し、ゴーストバスターズにもそれを命じる為、前作の「ビジネス」と違って、ゴーストバスターズの「活躍」は公には語られない事になる。
ただし、映画の最後には「幽霊研究」のスポンサリングを国が引き受ける事となり、また「知ってる人は知っている」と、ニューヨークを救った事を人々に感謝される。
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「研究者として生きたい」メンバーにとってはまさしくハッピーエンドと言えるだろう。
映画公開時は否定的な評が多かった本作だが、今なら単純に楽しく鑑賞出来るんじゃないか。
少なくとも「遊星からの物体X」のように「どちらかを観ればもう一方を観るのを止めた方が良い」と言うような作品ではないので、オリジナルのゴーストバスターズも本作も、基本コンセプトは共通してるものの「全く別の作品」として楽しめると思う。
繰り返すが「リブート」と標するように、「アレンジメント」でこんなに変わるのか、とむしろ驚かされる好例の映画、だと言えるだろう。
オススメ。