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Retro-gaming and so on

Lispとキーボード

フォロワーの中にぴとてつ氏、と言う人がいる。
何か新しい日本語入力用のキーボードを設計しているみたいだ。非常に興味深い。
実際売ってるのだろうか。それともあくまで自作品なんだろうか。

日本語IMEに慣れちまった今じゃみんなピンと来ないと思うんだけど、実は現行のキーボードは日本語入力が「しづらい」キーボードなんだ。
まぁ、殆どの人たちはローマ字入力変換を実行してる事だと思うし、ピンと来ないだろうけど、一文字入力するのに2ストローク必要な構造、ってのは良く考えるとおかしな入力機構ではあるんだ。1,000文字打つのに二倍の2,000回キーを叩かないとならない。10,000文字なら20,000回叩く。実は「二倍」ってのは小さい数の時は気にならんが、大きい数になってくるとかなり効いてくる。
それだけじゃない。IMEの起動もあるし漢字変換の為のキー操作も必要になってくる。
だから入力デバイスとして「日本語に適したキーボードを」ってのは決して間違った発想じゃない。

実はこのテの発想ってのは1980年代からあったと言えばあった。東アジアの人間達は欧米のアルファベットを使わない。何とか汎アジアの言語全体に適用出来る入力用キーボード、と言うモノが作れないか。そういう試行錯誤を日本ではかつて行っていたんだ。
言わずと知れたTRONプロジェクトである。


ここで、恐らく初めて英米スタイルじゃないキーボードを作ろう、と言うアイディアが出たんじゃないか。知らんけど(笑)。
上の写真だとアルファベットはいわゆるQWERTYになってるが、ホントは違うらしい。


これがTRON配列、として一応仕様化されてる模様だ。
そして、上の写真は日本語用だが、先程書いた通り「汎アジア」を目指してデザインされたようで、要するに中国語とか韓国語とかタガログ語とかマレーシア語とかタイ語とか、それぞれに使いやすいように、と考えられてた「らしい」。
らしい、っつーのは例によって情報源は昔NHKでやってた600こちら情報部、だからだ(笑)。古い記憶を掘り起こして書いている。そしてそういう事を当時の東京大学の助教授だった坂村健センセが語ってたんだよな。
実際は、ご存知の通り、TRONはスーパー301条でアメリカに潰された。僕らに夢を魅せたTRONは中途半端な完成を見、結局僕らはワールド・デファクトスタンダードであるWindowsの前に屈せざるを得なかったんだ。
もっとも、TRONも作成にやたら時間がかかり過ぎてた、ってのも否めないけどな。こういうのは官民一体で一気に仕上げなきゃダメなんだけど、キャプテンシステムの例を見ても分かるけど、そういうのに一気に大量の資金と人手を投入してまとめ上げてしまう、と言うのは日本が不得意なんだわ。

さて、TRONのキーボードは真ん中2つで分割されているが、ある意味これも「エルゴキーボード」と呼ばれるブツのハシリでもある。「とにかく人間が自然に打ちやすいキーボードを」と言う発想の設計だ。
「日本語が打ちやすい」+「エルゴノミクス」と言うTRONは先を行き過ぎてて、完全なシステムとしては僕らの目の前に現れなかったが、多分そのマインドはぴとてつ氏が受け継いでいるんだろう。

と前フリをしておいて。
Lispとキーボードの話。
尖ったプログラマが愛用してる高価なキーボードにHappy Hacking Keyboardと言うブツがある。これをデザインしたのは、日本初のハッカー、及びLispハッカーとして有名な東京大学名誉教授の和田英一センセだ。この人はSICP悪訳翻訳でも知られている。


世界的にハッカーの愛用者が多いキーボードだ。
一方、Lisperは、噂によるとLisperが設計したこのキーボードを使わない人も多いようだ。
代わりに、ディープなLisp愛好者達はこっちのキーボードを愛用する人が多いらしい。


もう、どう見てもデカいしスペースを取りそうなアメリカン仕様だが、Lisperはデカさを気にしない。何つってもLispのメッカ、MITでかつて開発されたLispマシン用のキーボードがクソデカかったので、Lisperはキーボードがデカければデカい程喜ぶのである(謎

MITのAI研で使われてたキーボード・・・大きさにピンと来ない人はキー数を数えてみれば良い(笑)。「知らんキーが多すぎる」となるだろう。
なお、GNU Emacsは何故に変態キーバインドなのか。
実は元々、Emacsの数々のコマンドはこれらの「今のキーボードに存在しない」キーを1つ叩く事で実現出来ていたのだ。
これを後世、「キー数が少ないキーボード」で同じ動作をさせる為にEmacsのキーバインドは複雑化したのである。

もうMITのAI研で使われてたキーボードに比べるとキネシス社のエルゴキーボードなんざ可愛いモンである。いや、マジで(笑)。
しかもキネシス社、なんとフットペダルまで用意してんだよな(笑)。


何のために?CtrlとかAltとか割り当てる為だよ(笑)。マジで、Lispと言うよかGNU Emacsを使う為にあるようなセットだ(笑)。足で踏みながらx!とかやるわけだ(笑)。わははははwwwww

キネシス社のキーボード環境、まさしくEmacs用エルゴノミクスの極み、だ。Lisperが気に入る筈である(笑)。

とか、ぴとてつ氏のキーボードを見ながら色々思い出した、と言うような話。
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