ネットを調べると、皆、ファミコンやスーファミの事はたくさん書いている。まぁ、当然だよな。80年代から90年代前半にかけて、一番売れたゲーム機ですもの。たくさん遊ばれて、「共通の思い出」になってるゲームも多いだろう。
次に情報が多いのがセガのゲーム機である。・・・・・・あれ?
実はセガ製のブツは「ファミコン/スーファミに継いで」売れてたゲーム機ではない。実際はシェア的にはかなり落ちるのだ。しかし、今現在でも、SG-1000からメガドライブまでの情報は割に簡単にネットで見る事が出来る。なんかまるで「日本で第二のシェアを持ってた」ように勘違いするだろ?
違うんだ、平たく言うと単にセガマニアが「声が大きい」だけなんだ(笑)。実際は、セガの製品はそこまで売れていない。
本当は、日本で、ファミコン/スーファミに継ぐシェアを持ってたゲーム機は他にあった。しかし不思議な事に、このゲーム機のユーザーは、セガマニアに比べると(笑)、あまり当時の事を声高に叫ばない。非常に静かな人たちなのだ。だから今、ネットを見ると「セガが日本で第二のシェアだった」ように勘違いされる。
しかし、本当の任天堂のライバルだったのはセガではない。シェア的にはNECがライバルだったのだ。NECが作った日本第二位のシェアを誇ったゲーム機の名前をPCエンジン、と言う。
PCエンジンはファミコン発売の4年後、1987年に発売された。
1987年と言えば、アメリカではATARI 520 STやCommodore Amigaなんかの「新世代の16ビット機」が登場して暫く経ってて、パソコンの表現力が初期のパソコンやゲーム機のそれらから一段上に上がってこなれた頃である。
つまり、パソコンの黎明期は「カラーを表現するのに大変だったが何とかした」時期だったけど、この頃になると「ある程度のカラーを表現出来る」ようになっていた。いや、同時発色数が16色〜32色、ってレベルだったんだけどな。それでも表現力は格段に良くなってたわけ。少なくとも、クーピーペンシルでカラフルな絵を描く、くらいの事は出来るようになってたの(意味分かるかな・笑)。
まぁ、そんな時代に登場したPCエンジンなんで、「カラーを表現するのに大変だったが何とかしてた」時代にやっとこさアタマ1つ抜けてたファミコンとは根本的に表現力が違ってたわけね。
ここでPCエンジンの開発話・・・例えばハドソンがどーした、とか言う話はしない。そのテの話はWikipedia見た方が詳しく書かれてるからな。スペックに付いてもそっちを参照の事。ぶっちゃけ、当時で考えてみるとマジで化けもんって言って良いマシンである。8bit機のクセに、イカれたモンスターだ。
でも、そういう話じゃなくって、単にPCエンジンに接してみたかったんだけど、結果接する事が出来なかった、って話をしようと思う。要はすれ違い、だな。恋愛ものみたいでしょ(笑)?
さて。
PCエンジンって名前「だけ」は聞いてた。いや、多分当時のゲーマーだとかなり知られてたんだよな。テレビ番組もバンバン放送されてたし。
ただ、ウチはファミコンもパソコンも無いビンボー人の家庭だったんで。もうそもそもゲームと縁が無かったの(笑)。今こうやって、レトロゲームの話をブログにして書いてる、ってのがホント不思議なくらいだよね。往年の恨みを晴らしてるのか(笑)。
それはさておき。僕は音楽が好きだったんで。特に坂本龍一のファンだったのね。それで、1989年に出た彼のBeautyってアルバムを買って聴いてたわけですが。
その中の一曲が実はゲーム音楽だ、っつーんですよ。曰く「PCエンジンで出てるゲームに使われてる音楽で、それはCD-ROMなんで、音源的には基本的には同じモノだ」と。へぇぇ、と。そのゲームはZIRIAって言うって書いてあんのね。
ジリア?何だろそれ、とか思って(笑)。なんのジャンルのゲームなんだ、と(笑)。実はこれ、後で知ったんですが、天外魔境の第一作目なのね。そしてジリアじゃなくってジライアだった(笑)。RPGだ、って知ったのも後だったなぁ。
まあ、教授が関わってる、ってぇんで一瞬「PCエンジン?買うか?」とか思ったんですが。たっけぇんだよ。CD-ROMと合わせると6万円近くするんだぜ?しかも、ゲームなんざロクにやった事ねぇのに良く分かんねぇ「ジリア」とか言うゲームを買ってやる?いくらお布施にしてもちょっと・・・ってぇんで断念しました。いずれにせよ、これがPCエンジンと言うマシンを初めて強烈に意識した瞬間です・・・・。うん、全然ゲームそのものは関係無かったんだよな。
それで、その後。なんだかんだ言って人生初めての任天堂のゲーム機、スーパーファミコンを入手するわけですが。その時代に、知り合いの知り合いが・・・って事は直接はあんま関係ないんですが、PCエンジン一式持ってるってぇんで一回見せてもらったのかな・・・。確か、寺沢武一のコブラ、が動いてたんだわ。時期的に見ると「黒竜王の伝説」かな。多分。
まだ、アニメって程じゃなくって、紙芝居って言って良いレベルなんだけど、確かに(当時のレベルで考えると)メチャクチャ綺麗な画面なのよ。ちょっと見せて貰っただけなんだけど、「へぇ」って感心した。CD-ROMなんで声も出てるしね。何故かコブラの声がルパン三世だ、ってのが気になったけど(笑)。
でもこの時、そんなに「欲しい!」とは思わなかったのね。まぁ、スーファミ買ったばっかだし。しかも、コブラは好きだったんだけど、漫画持ってたから、「漫画と基本的に同じ内容のブツをゲームでわざわざやる・・・?」ってのが疑問だった。それよりシムシティで街育てたかったしよ(笑)。そう、当時はどっちかっつーとスーファミのシムシティに夢中だったのです。
さて、スーファミ買ってからゲーム雑誌「ファミ通」を買うようになって。それでPCエンジンの記事も読むようになったんかな。この辺で天外魔境ってRPGだった、って事を知る。そろそろIIが出るぞ、と。何かスーファミと違って色々喋って、アニメがあって、すげぇらしい、ってのは目にしてた。
うん、当時だとまずはSFCだとファイナル・ファンタジーIVが鉄板で、これが僕のRPG初体験だった(ドラクエVは発売までまだかなり時間かかる、とか言ってたのね)。んで、このテのゲームの、要するに強化版はPCエンジンじゃないとプレイ出来ないんだ、ってカンジだったのね。観て楽しいゲーム・・・いや、あとでやってみて天外魔境IIとか、どっちかっつーとクソゲーだよな、としか評価出来なかったんですが。いずれにせよ、当時はある種、「金持ちの為のゲーム機でプレイ出来る珠玉のゲーム」ってぇんで垂涎の的ではあった。
さて、その天外魔境IIが出るより少し前。
それまで、PCエンジンってのはPCエンジン本体とCD-ROMは完全に別売りだったんだけど、とうとう一体型が出る、って話になったのね。それがPCエンジン DUO。ファミコンで言うとツインファミコンだな(笑)。
まだ6万円近くしてたんで、そうそう買う気にはなれなかったんですが、ちっとは余裕出てきたんで、購買対象ターゲットとして考えても良いかな、とか思い始めた。
ただよ、これが出るちょっと前、セガからとんでもないゲームが出た。それまでセガのプラットフォームなんて一回も考えた事がなかったのに、あるおっそろしいアクションゲームが、雑誌見てる限りメチャクチャ面白そうだったのだ・・・・・・。そう、青いハリネズミのあいつだ。ソニック・ザ・ヘッジホッグ。こいつの存在が僕の中でのセガの株を急激に押し上げる。
しかもセガはメガドライブの拡張ユニットとしてNECと同じようにCD-ROMを考えてるらしい・・・。
つまり、僕にとって、セカンドゲーム機となる候補はPCエンジンDUO、そしてセガ・メガドライブとそのCD-ROMになったわけです。あとで考えるとクッソ大間違いなんだけど、セガの存在がここで急激に大きくなった。即買いしないにせよ、これはちょっと動向見ていかなければならない。
ところが、天外魔境II以降、なんかPCエンジンのゲームのリリースタイトルが・・・ちょっとおかしくなってきたカンジだったのね。当時のカクカクレベルにせよ「アニメ付きのゲームが作れる」ってのを天外魔境IIは証明したんですが・・・これ以降のゲームがなんつーか・・・ギャルゲーな比率がやたら上がってきたカンジになったの。
特に、元々PC-9801とかでヒットしてたエロゲ、ドラゴンナイトIIが出てから何か雰囲気変わったカンジなのよ。いや、別にエロ嫌いじゃあないんだけどさ、ただ、カタログ的に見てみるとうーーーーーん、とかなってきたの。
いや、いいゲームも多分出てたのよ。PCエンジン専門誌読んでたわけじゃないから詳しく知らんかっただけで。でも表層的には「あれ?」って思うゲームばっか目立ってきてた。
江口寿史嫌いじゃないんだけど(むしろ大好き)、オーロラクエストとかさ。
「銀河お嬢様伝説ユナ」・・・全くどんなゲームなのか知らんけど、個人的にはタイトル見ただけで頭痛がしてくる。80年代オタク向けOVAのタイトルみてぇ。
いや、ひょっとしたら面白いゲームなのかもしれんが・・・・・・。
まあ、完全に印象論なんだけど(とは言っても、実際、ここに掲げたゲーム以外に「ギャルゲ」に分類されてるゲームはまだあり、しかも末期に向かって増えていた)、外部的に見るとドラゴンナイトIIが呼び水になって方向性がおかしくなっていったように見えるのだ・・・いや、ドラゴンナイトII自体は結構面白いゲームなんだけどよ。
でも、多分、少なくともファミ通読んでた「PCエンジンユーザー以外の層」って、PCエンジンの事をギャルゲマシン、ないしはギャルゲに寄せて行ってるマシン、って捉えてたんじゃないか。
いや多分事実だと思う。と言うのも94年、ギャルゲ・・・って言っていいのか分からんが、とんでもないシミュレーションゲームがコナミからリリースされた、からだ。しかも恐らく、このゲームがリリースされたのは、PCエンジンは既にギャルゲ市場なんでそこそこ売れる、って読んでたからに違いない。
ご存知、ときめきメモリアル、である。
実際、コナミ側の企画意図としては
「こんなバカなゲームはせいぜいPCエンジン市場くらいでしか売れないだろう」
ってのが丸見えなんだが、ところが実際は大ヒット、そして他機種にも移植されてバカ売れする事となる。当然スーファミにも移植されたくらいなんで、「PCエンジンならではの」ギャルゲ市場が育んだゲームとしては最大の成功例である。いや、まさしくギャルゲ市場のPCエンジンでしか産まれなかったゲームだろう。
しかし、同時に、これをもって
・PCエンジンはギャルゲマシン
と言う評価は決定的になって、PC-FXに突き進んで行くのである・・・・・・。
実は当時はときメモなんてやらなかったんだが(ウワサには聞いてたけど)、ときメモが面白いにせよ、ギャルゲが全部面白い、たぁ思えなかった。
となると、既にギャルゲが代表格になってるPCエンジンを買う、って事はリスキー過ぎて、すっかりアタマの中からは消えてしまったんだな。
反面、Lunarってどう見ても面白そうなRPGを擁したメガCD株が僕の中では決定的になってしまった。いや、これは今考えると大間違いだったんだけど、当時は「セガの方が将来性があってベターだ」と結論付けてしまった。そして最終的に、メガドラ+メガCDを買ってセガを応援する態勢になってしまったのである・・・・ああ、大バカだった(苦笑)。
と言うわけで、割につい最近まで「PCエンジンはギャルゲマシンで良いゲームはない」って印象のまま来てしまった。それが誤解で、実はセガの方がプラットフォームとしてはダメだったんだ、ってのも最近良く分かったりした。
しかしそれに気づいた時には、NECがゲーム事業から撤退して、かなりの時が流れた後だったのだ。
PCエンジンと僕、ってのはタイミングが合わなかったんだなぁ。