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ワーキング・ガール

ゴーストバスターズ絡みでシガニー・ウィーヴァーが出演してるこの映画を取り上げようと思う。

っつーか映画「ワーキング・ガール」(1988年)。ぶっちゃけ殆ど覚えてる人はいないんじゃないか(笑)。
前にも書いたが、シガニー・ウィーヴァーは1979年、SF作品「エイリアン」のエレン・リプリー役が当たり役で一躍人々にその名を知られる事となった。要するに「この役ならこの人」と言う印象がまず得られたわけだ。「寅さんなら渥美清」みたいなモンだな(笑)。
しかしこの人はそこで終わらない。終わらないどころか、なんつーの、「エレン・リプリー」のイメージを保ちつつ、どんなジャンルの作品のどんな役柄でも自分さえ納得すればオファーを引き受ける、と。そういう印象があるわけだ。
そもそもゴーストバスターズがそういう作品だ。エイリアンでは「エイリアンを倒す女傑」を演じたが、ゴーストバスターズでは気は強くても一般人女性を演じる事となっている。
そして「あのエイリアンの人が」コメディ映画でも役を演じる事が出来る、ってぇんで、元々演技派としては評価されてたトコにさらにプラスの評価が加わったように思う。

さて、そんな中でワーキング・ガール(1988年)で、なんつーんだろ、初めて「悪役っぽい」っつーか悪女なのか?の役をシガニー・ウィーヴァーは引き受ける。
なんだろうねぇ、この映画自体は個人的にはかなりビミョーな映画だと思ってるんだけど、「何も考えなく」見るならそこそこ楽しめる映画、でも「考え出すと」何だこりゃ?って言い出しかねない映画である(笑)。
そのクセ、配役は結構豪勢なんだよ。まず、ハリソンさんが出演してる。「私こそが真のハリソン・フォードです。」って書いてるから間違いなく出演してる。しかし「刑事ドラマをこよなく愛」して、人造人間を抹殺しまくる映画で主演を勤めたのに、考古学者をやったりしたあと何故にこんな映画に出演したのか不思議だ。
言わばハリソンさんもシガニー・ウィーヴァーも、80年代的なSFXエンターテインメントで着目された人たちなのに、どうしてこういう「地味な」、しかも主役でもないのにサポート役に徹しようとしたのが謎なんだ。ある種オールスター的な映画なんだが、「主役を張れそうな人が脇役に甘んずる」と言うかなり贅沢な映画だ。
しかも後に有名になるアレック・ボールドウィンも脇役として出演している。

主演はメラニー・グリフィス。彼女は投資銀行に勤めるOLなのだが、低教養。夜間学校に通うが会社では出世が出来ない。


ちなみに、最初の時点では彼女、そして彼女の周りの「友人」も髪型も化粧も酷い。
アメリカなんかでも実は「派手な化粧の女性」ってのは「程度が低い」って思われるのは全く日本と同じだ。そしてそんな彼女の「サクセスストーリー」ってのがこの話なんだが・・・・・・。
ぶっちゃけ、アメリカ人の本音なのか?「出世するためには何してもO.K.」と言うようなアメリカ人のモラルを疑うような話にもなっている(笑)。日本人的には納得出来ない話かもしれない。
いずれにせよ、男性上司のセクハラにも耐え、ちょっとだけ年下の「初めての女性上司」に秘書として仕える事になるメラニー演じるテス。その上司(役名はキャサリン・パーカー)を演じるのが我らシガニー・ウィーヴァーだ。


彼女はテスに「とても良くする」。
ぶっちゃけ全然悪人に見えない・・・っつーか、個人的には悪人だとは全く思ってないのだ。
問題は、テスがキャサリンが率いるM&A部門で、とある会社(トラスク工業)のラジオ局買収を提案するんだが、キャサリンはその案を却下する。
しかし、実は裏でその話を進めていて・・・となるわけだが、良く考えてみて欲しい。テスがいくら最初にアイディアを思いついたとしても、その話を「まとめる」為だけにどれだけのコネを必要とするのか。実際キャサリンがスキーで骨折して休んでる間自分のアイディアを実現する為に奔走するんだが、「マトモなコネが無い以上」アクロバティックな方法に頼る(トラスク工業の社長の娘の結婚式に忍び込む)。当然招待状なんかは貰っていない。
ハリソンさんは「凄い、キミはなんて凄いんだ!」とか劇中で言うが、テスがやってるのはマトモなビジネス戦略ではない。正しいのはキャサリンなんだ。実際、キャサリンは「テスが買収話に気づいた」時でも「こうこう理由があって・・・」と物怖じしないで話してる。むしろ徹底的にキャサリンを疑ってて行動してるのはテスの方だ。
とにかく、主人公であるテスの行動に全く共感出来ないのがこの映画の最大の欠点だろう。彼女はスキーで骨折したキャサリンに家の面倒を見てくれ、と頼まれるのだが、そこで彼女の服を漁るわ、勝手にエクササイズマシンを使ったり化粧品を使ったり、ホント「碌な事をしない」(笑)。結果として「自分のアイディアが実行される」と言う事を知るわけだが、それ以前に泥棒染みた事をしてるのはテスの方である(笑)。



この映画ってのは、結局、「出世するには何してもいい」と言うのが根底にある映画なんだよな(笑)。
そして、テスは、実はキャサリンの恋人だったハリソンさんと寝る。NTRである(笑)。結局最後にキャサリンが激昂してるのはビジネスの話がどーの、とか言うんじゃなくってテスにハリソンさんを奪われたから激昂してんじゃないか。テスにもハリソンさんにも理がないのだ。ぶっちゃけ、キャサリンに対する「不条理だけ」でこの物語は構成されているんだ。


映画の見どころ。
テスは元々アレック・ボールドウィン演ずる男(ミック)と同棲してたのだが、ミックは浮気をしていて、「いたしてる」最中に遭遇する。



この時、浮気相手の女の「乳首」を拝むことが出来る。
それと、メラニー・グリフィス自身の乳首も拝むことが出来る。


乳首シーンがある辺りはさすが80年代の映画だ。

ハッキリ言って、コンセプトもストーリーもメチャクチャな映画だと思う。
しかし、それでも「観れる作品になってる」ってのはハリソンさんのお陰、そして何よりシガニー・ウィーヴァーの存在感のお陰じゃなかろうか。
いくら乳首シーンがあったとしてもメラニー・グリフィスだけじゃ(いくら彼女の舌足らずな演技が可愛いにせよ)保ちようがなかった映画だと思う。
逆説的に、シガニー・ウィーヴァーが「如何に優れた女優なのか」良く分かる映画だと思うんだ。


なお、シガニー・ウィーヴァーは同年(1988年)に実在の霊長類学者、ダイアン・フォッシーを演じ、その人気を不動のモノとする。ぶっちゃけ、ウィーヴァーファンにはそっちの映画を紹介すべきだと思うんだが、「敢えて」スカの方を紹介した次第だ(笑)。
またそっちの邦題がヒデェんだよな(笑)。「愛は霧のかなたに」とか言ってるけど、霧の中にいるのは愛じゃなくってゴリラだ(原題: Gorillas in the Mist・笑)。あんまりにも邦題が酷いんで取り上げたくない(笑)。
なお、そういう「高尚な作品」にも恵まれたのに、シガニー・ウィーヴァーは翌年(1989年)「ゴーストバスターズ2」にも出演する(笑)。なんか、この人、ホントブレないよなぁ、とか思うんだわ。色々楽しんでる気がする。ホントいい役者だ。
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