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Retro-gaming and so on

さいとう・たかを氏が亡くなって思う事

ホント、惜しい人を亡くした。
・・・多分みんなが言う事とは違う事を思っている。
不謹慎承知で言って良いかしらん?

これでゴルゴ13の最終回、ってのが永遠に分からなくなってしまったのだ。

実の事言うと、僕は別にさいとう・たかを氏の熱烈なファン、ってワケじゃあないのだ。
正直言うと、彼が確立した「劇画」と言う手法に、実はそこまで惹かれていない。
平たく言うと、彼の描く女性とか、全く色っぽいとか思わんし(笑)。

それでもゴルゴ13の最終回は気になっていたのだ。

さいとう・たかを氏が亡くなった事でゴルゴ13は永久を生きる存在になった。
言い方はカッコイイけど、事実上、ドラえもんと同じになってしまったのだ。ロボット人間ゴルゴ13の誕生である。文字通りメインテナンスさえ継続しておけば永久機関だ。
これは「漫画は必ず最終回を迎えなければならない」と言う枠からハズレてしまった、って事になる。
漫画史上に遺るだろう傑作であるが故、残念なのだ。
キチンと描ききって欲しかった。それが悔やまれる。

さいとうプロの金庫にはゴルゴ13の最終回原稿がある、と言うウワサがあった。
ただし、これは都市伝説であり、実際は故・さいとう・たかを氏のアタマの中にしか存在してなかった模様だ。どういう風に最終回を迎えるのか、その全部は決定してたらしいのだが・・・・・・。
しかし、結果、それは永久に我々の目に触れる事が無くなってしまった。
畜生
これでエエんか?

そもそも、ゴルゴ13が設定的にどう考えてももう結構無理な領域に入ってきてるのを知ってる人も多いだろう。
1968年に連載が開始された本作。登場時の年齢設定は・・・ゴルゴ13は公式には「年齢不詳」な為、正確な年齢は分からないが、さいとう・たかを氏は30代男性、として考えてた模様だ。
一説によると、ゴルゴ13の登場時の年齢はリアルでさいとう・たかを氏と同年代の設定だった、と言う事である。幅を持たしてみても1936年〜1938年生まれ辺りだと予想が出来る。
つまり戦前の生まれなのだ。
ちと待てよ、って話になるだろう。
っつーこたぁ80歳くらいの年齢だ、って事になる。ジジィじゃんか。

いや、これマジなんだよ。ゴルゴ13のエピソードには通称ルーツ編って言われるモノがある。ゴルゴ13の正体を探れ、って話だ。
で、どれも戦前〜戦中にかけてのエピソードが中心となってて、戦時中にあったアレコレが通称デューク東郷を完全無敵の殺人マシーンに育て上げた、とか言うカンジの話になってるんだが・・・・・・。
連載が長期化するに連れ、どう考えてもそりゃおかしいだろ、ってカンジになっている。80代のM-16を撃ち回す爺さんとか、どんな冗談なんだ、って域に間違いなく入ってるのだ。
一体、この「歪み」に原作者さいとう・たかをがどう決着を付けるのか。興味津々になって当然だろう。なんせ「世界の裏事情」にリアルタイムに絡んでる作風な以上、「漫画時間」とは決別してなきゃいけない。
ところが、結果、ゴルゴ13はドラえもん化しちまったのだ。もはや誰もゴルゴ13の真の正体を語る事が出来なくなった。彼は漫画時間を生きる漫画キャラになってしまったのだ。

さいとうプロはアメリカのアメコミのように、分業体制を確立してたが故、ゴルゴ13は「終わることがない」ってのはある意味本懐なのかもしれない。同じく亡くなって随分と経つ、ルパン三世の原作者、モンキー・パンチも、アメコミのように「原作者が亡くなっても漫画は継続して欲しい」と思ってたらしく、そういうのもある種、漫画家の夢なのかもしんない。システム的にはな。
でもゴルゴ13だけはその夢には則って欲しくなかったのだ。全く個人的な感情である。
さいとう・たかを氏がゴルゴ13の全部を背負ってたわけじゃなく、分業制で描いてた事も知ってる。殆ど本人が直接タッチせんでも作品を作り出すシステムは昔っから機能してたろうし、今後も機能するだろう。それは分かる。
しかしやっぱりゴルゴ13の最終回は見たかったのである。そしてその最終回「だけ」は全部さいとう・たかを氏の手に拠らなければならなかったろうし、そうなっただろう。言わばそこだけはさいとう・たかを氏自身の渾身の最終回になってた筈なのだ。
しかしその機会は永久に失われてしまった。
返す返すも残念なのだ。
本当に惜しい人を亡くしてしまった、と思っている。
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