今日の出来事

一生懸命に毎日を生きる子どもの姿。そして、そんな子ども達に寄り添う、先生たちの思いを綴ります。

遊びに必要なもの

2023年06月16日 | 今日の出来事
今日の幼児クラスは公園でどろんこ遊び。
担任は週のあたまから保護者には趣旨を伝え、協力を仰ぎ、準備をしてきました。

子どもも、担任も、一緒になって裸足になります。
大人の見慣れない裸足、それだけで子ども達は歓声を上げます。

足の裏から伝わる地面の感触は、コチョコチョされたみたいで思わず笑っちゃう。
裸足で地面に触れる経験なんてほとんどないから、腰が引けてます。
ちょっと…若いんだからしっかりしてよ(笑)

ひんやりとした砂の、水の、泥の感触が心地よい。
足裏からの情報量が多すぎて、みんな悲鳴をあげてます。
「きゃーっ!つめたーい!」
「きもちー!」

好きな遊びがそれぞれ違う幼児クラスの20名ほどが、砂場と、水道を行き来しながら、
存分に感触遊びを楽しみました。
砂しかない場所で。


遊び方の多様性がとても広い現代において、能動的な遊びというのは大変かもしれません。
提案される遊びがものすごく多い。
スマートフォンはその代表。
画面をみるや指でこすろうとするんだから驚きです。

そうやって遊び方が決まっているものを、幼児期に与えてはいけません。
公園に連れて行っても遊べません。
「なんにも遊ぶものがない…」なんて言っちゃう。

今日のどろんこ遊びのような、感覚を使う遊びを繰り返していると、
とても遊ぶのが上手になります。
雑草しか生えていない広場に連れて行って、遊びを見つけられる子は健全です。
考えて遊ぶから、遊んでるだけで賢くなる。
遊びに必要なものは、たった一つ。
感覚だけ。


保護者の皆様へ。
今日のお洗濯は大変だと思います。
洗濯機の底に砂がたまるかもしれません。

きったないシャツやズボンが汚れ物袋から出てきたら、
存分に遊んだお子さん達を、ここぞとばかりに褒めてあげてください。
遊ぶのが、とっても上手だった証ですから。

関わりの温かさ

2023年06月14日 | 今日の出来事
朝から雨が降るかと思ったけれど、午前中はなんとか。
今日の空は、子ども達が公園に行く時間をくれました。

園からほど近い公園で幼児クラスが遊んでいると、遅れてやってきたのは2歳児クラス。

こうして乳児クラスと幼児クラスが出会うと、お互いのクラスの先生に馴染み顔で挨拶に行きます。
「おーい!〇〇先生ー!」
こんな微笑ましい光景がしばしば。
当園は0~2歳児が1階、3歳児以降は2階で過ごします。
だから、園舎での保育中に会えない先生に外で会えると嬉しいのです。

こうしていずみ保育園の園庭のようになってしまった公園。
だけど、乳児クラスと幼児クラスが一緒になって遊ぶことは、どちらかというと少ないかな。
足の速さ、ブランコの乗り方、言葉の発達など、いろんなものが違います。

あっちの砂場チームはうさぎ組、あ、2歳児ね。
ブランコでビュンビュン飛ばしているのは3歳児クラス。
「せんせー押してー!」って叫んでます。
直前まで追いかけっこをしていた5歳児クラスの男の子は…あんなに遠くに…
足元のテントウムシに気付いたのは、そんな時でした。

「あ、テントウムシ」
「え?どこどこ?」
「ほらそこ。動いてないかな?」
「テントウムシどこー?」
「ねぇ!テントウムシだって!」

あっという間に5人ほどが囲みます。
寄せ合ったオレンジ帽子がつくる大きな花。

「ねぇおにいちゃん!そこ!」
聞きなれない台詞です。
5歳児クラスの男の子をお兄ちゃんと呼んだのは、2歳児クラスの女の子。
本当の兄弟ではありません。
一緒に遊んでいるところは、これまで見たことがありません。

呼ばれた男の子は特に応じることなく、足元に目を凝らしています。
呼んだ女の子は、テントウムシと男の子を交互にチラチラ。
これどうするのかな?
興味深げに、でも一歩引いて見守る姿は妹さながらです。


なんてことはないのです。
通りすぎて気付かないような、子ども同士の関わり、その一コマです。

でも、嬉しかったのです。
他人との距離感、その機微に「おにいちゃん」という言葉を選んだ子の成長が。
新しい関わりの、芽吹きに立ち会えたような気がして、どうにも嬉しかったのです。

言い間違い

2023年06月13日 | 今日の出来事
保育室から男の子が「ウインナーない」と言いながら私に近づいてきました。
「ウインナー?」
後ろから担任が
「ちがうんです(笑)」
別の子が着替え中に”インナー(肌着)”の話をしていて、それをウインナーに間違えたとのこと。

言い間違いはたいてい大人の想像の隙間をついてくるから面白い。
小さな子が自信満々に間違えるから、微笑ましいを通り越して愛おしい。

「ねぇ〇〇ちゃん、なに作ってんの?」
「スタベッティ」(スパゲッティ)

「ねぇ先生、そこのプシューン取って」
「ん?どれ?」
「それだよ、それ」
「あぁスプーンね(笑)」

「ねぇ先生!ほら!大きなクノモス!」

今よりも幼かった時の思い出をたぐる時、そうした風景は色鮮やかさを伴って記憶の奥底から顔を出します。
どの記憶も、たいてい子ども達は笑っています。

雨のち晴れ

2023年06月12日 | 今日の出来事
梅雨入り後の週明け。
すっきりしない空模様に加え、子ども達の気持ちも月曜日は少し不安定。
乳幼児は特に、そういう傾向があります。

登園し、支度を終え、ママとの別れ際。
男の子は泣いていました。

ママと男の子が玄関まで来たところで、後を追ってきた担任。
話を聞こうとしますが、気持ちが高ぶってもっと涙がでちゃう。

「どうしたの?」
担任の語りかけに応じた男の子。
どうやら中断された眠気の憂鬱さが、登園してもなお解消されていないようでした。

「お部屋に戻ってゴロゴロしよっか?」
そうだよね、朝は眠いよね、もっと寝たいよね、先生にもわかるわかる…
そんな気持ちでいっぱいの、優しく寄り添う姿。
男の子の胸にこびりついたモヤモヤを洗い流したようでした。
男の子はママから離れ、担任の肩に頭を乗せ、保育室に戻っていきます。


どうしたいか?
どうして欲しいか?
同じように見えて全く違います。

眠い気持ちをわかって欲しかったんだよ…
あのおもちゃをワタシも使いたかったの…
お野菜はきらいなんだ…

話を聞いて認めてあげることは、答えを導くことよりも遥かに大切です。
それをするだけで、子どもにとって、大人はかけがえのない相談相手になれるものです。