瓢簞舟の「ちょっと頭に浮かぶ」

こちらでは小説をhttps://kakuyomu.jp/works/16816700427846884378

とりあえず、ひとつ

2016-02-07 09:26:06 | 随想
冬が来た


きつぱりと冬が来た
八つ手の白い花も消え
公孫樹(いてふ)の木も箒(ほうき)になった

きりきりともみ込むような冬が来た
人にいやがられる冬
草木に背かれ、虫類に逃げられる冬が来た

冬よ
僕に来い、僕に来い、
僕は冬の力、冬は僕の餌食だ

しみ透れ、つきぬけ
火事を出せ、雪で埋めろ
刃物のやうな冬が来た



上記は高村光太郎の詩。
あたしにはこんな力強さはない。「立春」の項目で書いたように、あたしは冬眠したいくらいなんだから。
だけど冬眠願望を持つ怠け者には怠け者のやり方がある。とりあえず、ひとつ。目の前のひとつをこなす。それが終わったら次に目の前にきたものをこなす。力強さはまったくなく、ただ淡々とこなす。そうしているうちにいずれ調子が出てくるし、振り返ればそれなりにすべきことはしてるはずだし。

ひとつ拾えば、ひとつだけきれいになる。
と、鍵山秀三郎も言っているではないか。とりあえず、ひとつ、でいこう。
もっとも鍵山秀三郎は怠け者のやり方としてこの言葉を言ってるわけではないけれど。この言葉について書かれた文章の最後は「足元のゴミひとつ拾えぬほどの人間に何ができましょうか」と締めているからね。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 運命 | トップ | ふと浮かぶ »

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。