瓢簞舟の「ちょっと頭に浮かぶ」

こちらでは小説をhttps://kakuyomu.jp/works/16816700427846884378

発生する状況

2016-02-13 09:23:06 | 随想
何に使うというあてはないけれど、心惹かれたからそのトランクを買った。使うあてがないのだから当然そのトランクは放置された。部屋の隅っこに所在なげにそのトランクはあった。
1年後、そのトランクの出番が来た。そんな気はなかったけれど、突如海外旅行に行くことになったのである。

学生のころ、こんなことがあったなあ、とふと思い出した。そして思う。案外こんなものなのかもしれない。心惹かれたものはとりあえず買っておく。今必要でなくともとりあえず買っておく。するといずれそれが必要となる状況が発生する。その状況はもちろん楽しい状況である。なんたって心惹かれて買ったものが活躍する状況なのだもの。楽しくないはずがないじゃない。

ま、これはもちろん、なんとなくそんな気がするって程度の話。正確な話をするなら、今必要としないけれど心惹かれて買って、のち必要となったものと、のちそのまま死蔵品となったものの数を比較しなければいけない。だけどそんな正確な話をしてるわけじゃないのよ。この話を読んで、ああそうかも、って思う人はそれでいいし、正確な数字を出さないそんななんとなくの話なんてどうでもいいと思う人はそれはそれで構わない。

あたしは、なんとなくそんな気がするってのを大切にしたいね。正確な数字が必要な場合は多々あるけれど、いつもいつも正確さばかりを求めていては硬直しちゃうよ。曖昧でいい時も多々あるのよ。

あたしが本をため込んじゃうのはこのせいなのよね。買った本が威力を発揮するのは今すぐに限らない。現に買ってから十数年後、にわかにあたしの中で重要な本となったものもあるしね。心惹かれて買ってるからにはその本にいつかはスポットライトがあたる時はくるのよ。

最近、お金とは何かって話を書いてたりするけど、前に読んだ本の一部にお金の話が書いてあったのを思い出した。
網野善彦「日本の歴史をよみなおす(全)」(ちくま文庫)の第二章がそれ。「貨幣と商業・金融」。ね、以前はさほど重要とはしていなかったことが今になって役立つのよ。

心惹かれて手にしたそれはいずれ活躍する。活躍する状況が発生する。そういうふうにできているものなのね。
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