瓢簞舟の「ちょっと頭に浮かぶ」

こちらでは小説をhttps://kakuyomu.jp/works/16816700427846884378

第玖話

2016-02-12 09:24:40 | 奇妙な味
こんな夢をみた。

その存在たちは人類を愚かで滑稽だと思っているらしかった。しかし愛おしくも感じているらしい。

人類にとってそれらは耐え難く醜い姿をしいた。それを理由に人類はそれらを殲滅することに決めた。当然、私も虐殺に参加した。自ら進んで。

とあるそれらの集団を襲い、かたっぱしからそれらが身につけている防護服を剥ぎ取った。その存在たちにとって人類は耐え難い悪臭を放ち、またその強烈な臭気により焼けただれるのであった。それゆえその存在たちは人類と接触する時には防護服を着用するのであった。

命を守る防護服を剥ぎ取られたそれらはのたうちまわって息絶えていく。
防護服を身につけてまで愚かしい人類と付き合い、友好的であろうとしていたそれらの存在たち。それを醜いと理由だけで、いや違う、どこかでそれらの存在に対する劣等感からくる妬みと憎しみのため、人類は虐殺を始めたのだ。虐殺の本当の理由に私はその存在たちが息絶えようとしているその時になって初めて気がついた。

私は取り返しのつかないことをしてしまった。なんと愚かなことを。なんと野蛮なことを。こんな人類をそれらの存在たちは愛おしく感じていてくれていたというのに。
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