あいちトリエンナーレ2016, 豊橋にひきつづき、2日目は名古屋の会場へ。
名古屋会場は、大きく
① 栄にある「愛知芸術文化センター」
② 伏見にある「名古屋市美術館」
③ 同じく伏見駅周辺ビルに点在する「長者町会場」
の3カ所です。
映像作品も比較的多く、それぞれの会場を半日〜1日かけてみたいなぁという感じで、1日で全て見るのは結構無理がありました…(^_^; (長者町会場はほぼ見られていません…)
こちらでも面白かった作品をいくつかご紹介します。
■ 「愛知芸術文化センター」
テレビ塔の近く、オアシス21に隣接した「愛知芸術文化センター」の8, 10Fが今回最も大きな会場となっていました。こちらには空間を贅沢につかった巨大な彫刻作品やインスタレーション作品が多くありました。
エントランスに飾られた、今回のメインビジュアルにもなっているジェリー・グレッツィンガーの作品は、架空の土地の地図を描いた作品。想像で描かれているけれど、世界のどこかにあるかもしれないカラフルな地図は、なんだか子どもの頃に描いた”たからの地図”のようでワクワクしてきます。
(1枚1枚を見ても、美しいデザインのイラストに見えるのが面白いです。)
特に良かったのは、大巻伸嗣さんの「Echoes Infinity -永遠と一瞬」。
神聖な雰囲気の真っ白い部屋の床を覆うのは、顔料で描かれた繊細なのパターン。
(グラデーションもとても美しいです。)
非常に手の込んだ美しい空間ですが、この絵はフェルトの上に顔料が置かれただけで、固定されていないんですね。
(作品につかわれた顔料のようです。)
私が行ったときには、作品の隅にある橋を渡って観るようになっていましたが、しばらくしたらこの作品の上を歩けるようにするそうです。上を歩けばどんどん崩れていってしまう…
とても儚い作品のようにも感じましたが、細かい部分まで見ようとするほど絵がこわれていくし、自分が見たくて奥まで踏み入って行けばいくほど後から来た人はその風景が見られなくなる…と考えると、それはすごく強烈な体験で、とても強い作品にも思えてきました。
とても儚い作品のようにも感じましたが、細かい部分まで見ようとするほど絵がこわれていくし、自分が見たくて奥まで踏み入って行けばいくほど後から来た人はその風景が見られなくなる…と考えると、それはすごく強烈な体験で、とても強い作品にも思えてきました。
他にも見応えのある作品が多く、時間があればこちらは1日かけて見たいボリュームでした。
(東北をテーマとした田附勝さんの写真作品は、自然の生々しさが切り取られた印象的な作品でした。)
(西尾美也 +403architecture[dajiba]の「パブローブ」は、たくさんの人の服とその服に対する持ち主の思いがあふれる作品。展示された衣服は、自由に繕ったり、自分でコーディネートして着て帰ることもできる体験型の展示です。)
■「名古屋市美術館」
こちらは、愛知芸術文化センターよりはこじんまりとした展示です。異国というか、世界のどこかにありそうな想像上の国や世界を扱った作品が多かったように感じました。 (こちらは撮影禁止の作品が多かったです。)
小杉 武久さんの音を使ったインスタレーションは、小さな部屋にたくさんのスピーカーが設置されて小さな音が聞こえてきて…まるで美術館の建物が生きていて、その身体の中にいるような気分になる作品でした。
また、 佐藤克久さんのユニークな色のつかいかたをした実験的な絵画作品のシリーズも印象的でした。
(ライ・ヅーシャンの作品は、細い足場を歩いて鑑賞する体験型(?)展示。最後まで作品の意味が分かりませんでしたが、一緒に体験している見知らぬ人と思わず会話が生まれてしまう…そんな意味で印象的な作品でした。)
■「長者町繊維街」
こちらでは、さまざまなビルの中の一室が展示室になっていて、街を散策しながら作品を見ていくことができました。
旧明治屋ビルでの端聡さんのエネルギーのうつりかわりをテーマにした作品は、会場が都会のビルにあることを忘れてしまうくらい独特な世界を作り出していてすごかったです。
こちらの旧明治屋ビルは建物も歴史あるものらしく、階段などが素敵でした。
佐藤翠さんの作品では、有名なクローゼットの作品などが展示されていましたが、そのキャンバスは鏡!鏡によって本物のクローゼットのような感覚も醸しだす一方で、その鏡に反射した光が会場中に広がって、まるで森の中のような、小さなクローゼットの部屋とは相反するような空間の広がりを感じられるのが面白かったです。
(佐藤翠さんの作品はもう一部屋あって、そちらも鏡が効果的に使われていて面白かったです。)
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瀬戸内国際芸術祭では古民家を効果的につかった展示が多くて楽しめましたが、あいちトリエンナーレでは都会の街並みに残っている古いビルを使った展示も多く、幼い頃に連れて行ってもらったデパートのような懐かしさがあったり、ピカピカの美術館とは全く違った空間がインスタレーションで全く違う空間に変わっていたり…
郊外型の展示とは全く違った、面白さや、都市の歴史を感じられる展示でした。
(長者町開場では、今回のトリエンナーレのためにつくられた大巻伸嗣さんデザインのプリウスも発見しました!)
今年のあいちトリエンナーレのテーマは「虹のキャラヴァンサライ」。聞いたことのない言葉ではじめ意味がよくわかりませんでしたが、実際に展示を見ると、さまざまな国の地域性や多様性、日常とは違った世界をテーマとした作品が多く、キャラヴァンサライ=隊商宿というイメージがしっくりとくるような、テーマ性の強い展示でした。
それゆえ、作品の舞台となっている地域の背景を知らなかったり、言葉がわからなかったりすると、まったく理解できなかったりもしたのがちょっと辛いトコロでしたが…(^_^;
それでも、作品やアーティストについてのガイド冊子を無料で配布してくれたり、作品を見る手引きのような「キャラヴァン バッグ」を貸してくれたり。ぜひ時間をとってゆっくりとその意味を考えたい作品でいっぱいでした。
( 愛知芸術文化センターで貸し出してくれる「キャラヴァン バッグ」)
あいちトリエンナーレは10月23日までです。
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■ DATA ■
会期: 2016年8月11日(木・祝)~10月23日(日)[74日間]
主な会場:
愛知芸術文化センター
名古屋市美術館
名古屋市内のまちなか(長者町会場、栄会場、名古屋駅会場)
豊橋市内のまちなか(PLAT会場、水上ビル会場、豊橋駅前大通会場)
岡崎市内のまちなか(東岡崎駅会場、康生会場、六供会場)
芸術監督: 港 千尋
チケット:
普通チケット 一般 ¥1,800 大学生 ¥1,300 高校生 ¥700
フリーパス 一般 ¥3,600 大学生 ¥2,500 高校生 ¥1,200
普通チケット 一般 ¥1,800 大学生 ¥1,300 高校生 ¥700
フリーパス 一般 ¥3,600 大学生 ¥2,500 高校生 ¥1,200
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