「不気味の谷」って言葉、聞いたことありますよね。ロボットとか人形とか、人間に似せると親近感が湧くけど、ある程度以上似せると「不気味」になってしまうという現象。
でも、それを乗り越えた!?と話題の作品が展示されるということで、見に行ってきました。
「Parametric Move 動きをうごかす展」
@東京大学生産技術研究所S棟1階ギャラリー
インダストリアルデザイナーで東大教授の、山中俊治先生率いる研究室のプロトタイプ展にて、ゲスト作品として紹介されています。
早速お目当の子を探すと…
いました!「SEER (Simulative Emotional Expression Robot)」ちゃん。
過去には、某アイドルさんにそっくりな”ロボリン”を作られたアーティスト・藤堂高行さんの作品です。
(※過去にロボリンについて書いた記事はコチラ↓
ロボットも結婚する時代?!世界初のロボット結婚式「ロボ婚」に行ってみた! )
”ロボリン”さんは等身大でしたが、“SEER”ちゃんはとっても小柄で両手に乗るくらいのサイズ!
小型カメラで人を認識して、目で追従します。
さらに、まぶたがついたことで、より自然な表情になるんですね。(まぶたがこんなに大事だとは…!)
そして、この眉毛!軟質弾性ワイヤをつかって曲線で表した眉毛は、なんだかアニメっぽいようにも見えるのですが、この眉頭の上下で制御する眉毛の動きで、すごく「生きてる」感じがします。
(「SEER」 / 藤堂高行
実物を見ると、表情がとにかく魅力的で引き込まれます…)
そして、山中研究室の学生さんの作品も面白かったです。
特に 杉原寛さんの作品「READY TO CRAWL」。
(「READY TO CRAWL」 / 杉原 寛 )
3Dプリンタ(プラスチックの粉を焼成するAM(Additive Manufacturing)技術)は精度が悪い、という点を逆手にとって、3Dプリンタならではの機構で、一体成型でつくりあげたロボットなのだそうです。
多足だけど、使っているモーターはひとつだけ。4つの基本的な動きの組み合わせで、このうごきをつくりだしているんですね。
この”生き物ような”動きは、体の中心のカムの「チルト」で前後運動、「偏心」で上下運動をつくり、組み合わせることで前進のうごきを作り出しているということで、その仕組みが分かる作品も展示されていました。(チルトと偏心を見る人が動かせるのでとてもわかりやすいです!)
当日は 藤堂高行さん、杉原寛さん、山中俊治先生によるトークイベントにも参加しましたが、印象的だったのは、どちらも“生きもののような動きをしながら、実際の生きものの機構を真似ていない”というところです。
バイオミメティクス的なアプローチとは全く違うものなんですね。「生き物のように機械が生まれてきたら面白い」という、杉原さんの言葉も印象的でした。
他にも展示室では、
ワイヤー制御で、人体(背骨)を思わせるような柔らかな動きが再現されていたり
(Waving Memory / 杉原 寛)
球体が滑らかに半球に変化していったり、
(F.o.G Face on Globe / 飯澤 大介)
ドローンを使って、重力に支配されない軽やかな動き(水中みたい!)を作っている作品があったりと、「機械」という言葉から想像するのとは少し違った様々な「うごき」が見られる展示でした。
(Aerial Biped / 前川 和純)
すべての作品にダイヤルが設置されていて、お客さんが動きを変える体験ができるようになっていたのもすごかったです!「動きをうごかす」って不思議なタイトルだと思っていたけど、見る人が自分で“動きをうごかす”ことができるという意味も持っていたんですね。
生きものを模したわけではないけど、素材とうごきの組み合わせでなんだか生きているように見えてきて、「生きものらしさ」って一体どこからくるのかなぁ?ということを考えさせられる展覧会でした。
6月17日(日)までです。
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■ Parametric Move 動きをうごかす展 @東京大学生産技術研究所S棟1階ギャラリー
会期:2018年6月8日(金) - 6月17日(日)
時間:15:00 - 19:00 (金土日のみ 11:00 - 19:00)
入場無料
主催:東京大学山中研究室
今回の山中研究室のプロトタイプ展示も、全てが動きます。
そこに、小さなダイヤルを設置しました。
動きを見るだけでなく、動きをうごかす。
ぜひあなたも調整に参加してみてください。
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