Media Ambition Tokyo 2017のサテライト会場のひとつ、六本木のART & SCIENCE GALLERY LAB AXIOMで開催中の
”子どもを産むこと”をテーマにした展示ですが、あまりにも強い衝撃と共感の両方を備えた展示でした。
この展示は2つの作品から構成されています。
1つは、複数人の親の遺伝子を継ぐこどもをつくることで、夫婦ではなく複数人で子どもを”シェア”する「shared baby」。
そしてもうひとつは、世界的な人口過剰のなかで、”これ以上人間を増やすのではなく、人間の食生活のために絶滅の危機にある種(例えばサメ、マグロ、イルカ等)を代理出産することを提案”する「I Wanna Deliver A Dolphin」。
「I Wanna Deliver A Dolphin」の連作のなかで、とりわけ印象的だったのは、”人間の子ども”を産むべきかどうかを問う「ジレンマチャート」。
産む・産まないに関わらず出産について考える葛藤がチャート化されているものですが、ここに挙がっている葛藤がとてもリアル。(でありながらなかなか他人に話しづらいことでもあったり…)
このチャートの中のゴールとして「動物の子どもを産む」という選択肢が増えることで、ゴールは今までの”常識”だけに設定しなくても良いのかもしれない、という考え方を持たせてくれるのが驚きでした。
そして作品は「動物の子どもを産む」という”コンセプト”で完結していませんでした。
科学的・法的にどうやったら実現可能性があるか?ということが考えられていたり、イルカのロボットをつかった”出産シーン”の映像もとても美しいものだったり、と、いうところで、作品がより”強い”ものになっているように感じました。
昨年の「六本木クロッシング」や「メディア芸術祭」で「(不)可能な子供、01:朝子とモリガの場合」が取り上げられていた長谷川愛さんですが、こちらの作品は2011-2013年で制作されたもののようで驚きました。
2/25(土)までの展示ですが、とてもお勧めの展覧会です。
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■DATA
Ai Hasegawa Second Annunciation
長谷川愛 第二受胎告知
会期:2017 01.28-02.25
会場:ART & SCIENCE GALLERY LAB AXIOM(六本木)
時間:13:00-19:00
休廊:日、月、祝日
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