TERRADA ART COMPLEX 4Fで開催中の
Asian Art Award 2018 supported by Warehouse TERRADA – ファイナリスト展
日本からアジア、アジアから世界へと、今後ますます国際的な活躍が期待されるアーティストの支援を目的に、昨年創設された現代アートのアワードです。
今回は、推薦された20名のアーティストから、AKI INOMATAさん、小金沢健人さん、冨井大裕さん、和田昌宏さんの4名がファイナリストとして選出されました。
全員テーマもメディアも違いますが、どの作品も”流動的”というか、始まりや終わりがなく、コントロールし切れなさがあるような作品で、アートアワードだけど企画展のような面白さがある展覧会でした。
紙袋やメモ帳、プラスチックバッグなどを使い、少し動かせばただの”物質”に戻ってしまう冨井大裕さんの”彫刻”作品
《PP_PS, RR, PS, PP_R / 富井大裕》
自動で動くカメラに合わせ、自動筆記のように絵画や映像を製作し続ける小金沢健人さんの作品
《追跡のドローイング(サークル) / 小金沢健人》
タコやヤドカリ、二枚貝といった動物に作品の行方が委ねられたAKI INOMATAさんの作品
《上・「やどかりに『やど』をわたしてみる」、下・「進化への考察#1:菊石(アンモナイト)」 / AKI INOMATA》
セット(環境)を作って撮ってみるところから詳細を手繰り寄せていったという和田昌裕さんの作品
どの作品も、完全には製作者のコントロールが効かないような作品で、まるで”生きている”ような作品でした。
個人的には特に良かったのがAKI INOMATAさん。
特に気になったのは、新作の、抽象画のような作品「LINES」。
《Lines -貝の成長を聞く ver. 3.0 / AKI INOMATA》
これはなんだろう?と思ったら、2011年と2015年の福島のアサリの断面写真を100倍に拡大したものだそうです。二枚貝の蝶番の側から、年輪みたいに成長していく様子が見え、そこからその当時の様子が見えてきます。
2011年のアサリは、震災後にしばらくストレスの様子(色が濃くなっている)が見られる一方、2015年は、防潮堤の建設開始後、環境変化によるストレス?が継続的に色と形状で現れているというもの。海と陸の中間に生息するアサリが、「海と陸の分断」の影響を受けているのではないかということでした。
…とはいえ、これ、トーク聞かなかったら分かりませんでしたね… 調べてみたら、自然環境でのあさりの寿命は7-8年。ということは、徐々に生まれた時から防潮堤がある生活が当たり前、というアサリが増えていたりするのでしょうか…?
あと、自身で核を製作してつくったという1ドル札のワシントン型の真珠の作品も驚きでした。真珠がそのまま貨幣価値に置き換えられてしまうようなところもユニークです。
《貨幣の記憶 / AKI INOMATA》
様々な都市をかたどった透明な”殻”とともに、生きたヤドカリも3匹展示されていました。人が国籍を変えるように、引っ越しによって”アイデンティティ”が変わる様子をヤドカリになぞらえているそうです。
あと、大量の既製品を素材として使用している富井大裕さんが、トークの中で作品について「もともとあったものを意識的に”誤訳”する」と表現していたことや、「ほとんど”見ること”が”作ること”に等し」く、紙袋などの既製品を素材に使いつつも、「手に入れると自分のものになってしまって見なくなる」から、意識的にモノを持たないようにしている、とお話しされていたのも面白かったです。
グランプリは2018年3月8日(木)に発表とのこと。(明日!)誰がグランプリになるのか、応援する側もドキドキです。
Asian Art Award 2018 – ファイナリスト展 @TERRADA ART COMPLEX 4Fは、 3月18日(日)までです。
※速報(3/8)※
大賞は小金沢健人さん
特別賞はAKI INOMATAさん
だそうです。
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■Asian Art Award 2018 – ファイナリスト展 @TERRADA ART COMPLEX 4F(天王洲アイル)
会期:2018年3月3日(土)– 3月18日(日)
会期中無休
時間:月 – 金曜日 13:00 – 19:00
土曜日・日曜日 12:00 – 20:00
(3月7日(水)は審査会開催のため一般入場はできません。予めご了承ください。)
入場無料
2017年11月に行われた選考会にて、選考委員であるキュレーター5名がそれぞれ4名のファイナリスト候補を推挙し、議論を重ね、総計20名の候補から以下の4名のアーティストがファイナリストに選ばれました。
AKI INOMATA / 小金沢健人 / 冨井大裕 / 和田昌宏
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