瀬戸内国際芸術祭2016・夏会期にお邪魔してきました。
初日、6時すぎに横浜を出発して11時に高松に到着。それからまず、大島に向かいました。
■ はじめての大島。
今回初めて訪れた大島。
(大島港)
島全体がハンセン病回復者の療養施設「国立療養所 大島青松園」となっており、アクセス方法が他の島とは少し違いました。(HPに詳細がなくわかりづらかったので最後に詳しく書きます。)
(島の入り口。白砂のなかにたくさんの松が茂っていました。)
恥ずかしながら、わたしは最近までハンセン病についてあまり知らず、つい最近まで隔離などが行われていたことを知ったときには驚きました。
でも実際に大島で作品を見て感じたのは、後遺症などで不便はあるけれど、私たちと変わらない入所者の方々の穏やかな日常がそこにある、ということでした。
■ 行ってみて知った、大島のこと。
島に着いて、ボランティア・こえび隊さんの案内で大島とハンセン病について教えてもらいます。
ハンセン病は感染力が非常に低い感染病で、昭和20年代に薬が開発されたにも関わらず、20年前まで「らい予防法」という法律で絶対隔離、断種が行われていたということ。
現在大島に住まわれている方々は治療は終わっているそうですが、後遺症で手足が不自由な方もいらしたり、平均年齢が80歳を超えていたりするため、大島での生活を続けられているそうです。(完治しているため”患者”ではなく”入所者”と呼ばれています。現在は64m名の方が島に残られているそうです。)
(島内にある納骨堂。全国のハンセン病療養所にはすべて納骨堂があるそうで、病院のなかに納骨堂があるのはハンセン病療養所特有なものだそうです。)
結婚は許されていたそうですが、子どもを残すことは許されなかったそうで、島内には堕胎させられた子どもの水子供養碑もありました。
島には屋外のあちこちにスピーカーが設置されていて常に音楽が鳴ってるのが不思議だったのですが、後遺症で目が見づらい方用のガイドなのだそうです。この”盲導鈴”と、センターラインのように道路に引かれた”白線”、杖で叩いてガイドになる”ガードレール”が、大島の目の不自由な方々にとっては必要な3点セットなんだそうです。
■ 島の歴史と生活を知るアート作品。
こえび隊さんの案内の後、自由な作品鑑賞の時間になります。
もともと入所者の方々が暮らしていたという長屋(24畳に12名の方が生活されていたそうです。)に、作品が展示されています。
(多い時には700棟もの長屋が建ち並んでいたそうです。)
ここにはハンセン病の歴史などではなく、入居者の方々と作られた作品や島の日常が展示されていました。
{つながりの家}大島資料室・北海道書庫(※こちらは撮影禁止)には、入所者の方々が読まれている本や、生活用品が展示されていました。
碁盤にスプーンが置かれていので不思議に感じたのですが、手が麻痺していても碁石を動かしやすくする工夫なのでしょうか…? 説明文はないので、大島の方々の生活に対して、想像力を働かせながら観る展示でした。
(こちらは作品のようにも見えますが、昭和20-30年代に使用されていた”解剖台”とのこと。かつては解剖同意書にサインをさせられていたのだとか…)
{つながりの家}GALLERY15「海のこだま」には、入所者だった故鳥栖喬さんが撮影した写真作品と、さまざまな工夫がなされた撮影機材などが展示されていました。
絵本作家・田島征三さんによる青空水族館は、他のアーティストさんたちとコラボレーションしてつくられた作品が並び、海をテーマにした絵本を読んでいるような気分になります。
(様々な仕掛けが施された美しい作品たち。会場には田島さんが作品に込めた想いが簡素な文章で綴られたパンフレットもありました。)
土日はこえび隊さんの運営するカフェ「カフェ・シヨル」もオープンしているそうです。
(こちらでは、大島の土で焼いた器で飲み物などが味わえるそうです。この日はお休みだったので残念。)
◼︎ 大島で感じたこと。
島への滞在は1時間半ほどで、あっという間!という感じでした。でも、実際に行ってみて、そしてこえび隊さんたちのガイドで島を回ることができてよかったなと感じました。
歴史を知って少し気負ってしまっていましたが、入所者の方々は不自由なことはあっても、病気があったからといって何か特別なのではなくて同じなんだ、ということを感じることができた気がします。(言葉足らずですみません…)
(集会場にはハンセン病についての小さな展示ケースがありました。)
こういった歴史を知ることは大切だけれども、 でも、入所者の方々を特別視するというのはちょっと違うのかな… と、そんなことを感じる1日になりました。
個人ではなかなか訪れづらい大島。芸術祭の期間中に、ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか?
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~大島への行き方~
芸術祭の他の島とは少し見学方法が違っていました。
高松港旅客ターミナルビル1Fの総合インフォメーションセンターで、8:40, 11:00, 13:25から、それぞれ15分間だけ配布される整理券を受け取ります。(この15分間に整理券をもらわないと船に乗船できないそうです。)
(総合インフォメーションセンターは高松港の手前にあるビルの1Fです。高松駅の案内所で地図をいただきました。)
乗船時間の10分前に指定の桟橋に集合して、チャーター船に乗せてもらいます。(なんと乗船料は無料!)
乗船時間20分ほどで大島に到着。ボランティアのこえび隊さんに島を案内していただいた後に、自由鑑賞の時間があり(鑑賞パスポートor¥300) 行きと同じ船で高松に帰ります。
整理券をもらってから高松に戻るまで3時間程度でした。
(行き帰りの船で船の方に周りの島々などについて教えていただけたのも嬉しかったです。こちらは旬のハマチの養殖のいけすだそうです。
思わず高松に戻ってお刺身を注文してしまいました。)
思わず高松に戻ってお刺身を注文してしまいました。)
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