大阪の国立国際美術館で開催中の「森村泰昌「自画像の美術史ー『私』と『わたし』が出会うとき」」(レポートはコチラ)を別の視点から楽しめる展示、「森村泰昌 アナザーミュージアム」が、期間限定で開催されています。(次回は2016年6月10日(土)・11日(日)・12日(月)。)
会場は国立国際美術館から電車で30分ほどの「名村造船所跡地」。「クリエイティブセンター大阪」というアート複合スペースとして利用され、今回の森村さんの個展の映像作品の撮影場所にもなっているそうです。
(さすが造船所跡地!広い!!)
最初の展示室にあるのは、個展の作品の中でも印象的だった「ゴッホの部屋」!
3次元なのに絵の具がべっりたと塗られていて、トリックアートのような不思議な感覚になります。作品の中ではゴッホの絵がかけられていると思っていた場所が実は鏡になっていたり…なぜそうしたのかな?と考えてしまいます。
(こちらが国立国際美術館で展示されている 「自画像の美術史(ゴッホの部屋を訪れる)」/ 森村泰昌 。
この作品はこの部屋の中で撮影されたものなんですね。)
写真で見るとその風景が額の外までも続いているように感じてしまいますが、実際は絵画の世界と実世界が分断されているのが、当然のことながら不思議な感覚です。
(同じ部屋を2階から見ることもできます。ドールハウスのように部屋が切り取られて置かれている状態って、なんだか不思議な感覚です。)
2階には、作品の背景画が並びます。どこまでが絵画でどこからが本物なんだろう?と思っていた作品の”種明かし”を見るような気分です。
(森村さんの作品に登場する背景画やパレットが並ぶ2階の通路。
背景画もメイクも森村さん自身によるものではないのに、森村さんの作品…というのがなんだか不思議にも思えてきます。)
背景画もメイクも森村さん自身によるものではないのに、森村さんの作品…というのがなんだか不思議にも思えてきます。)
(国立国際美術館の展示で”どこまでが絵でどこからが実写?!”と不思議だった、青木繁や萬鉄五郎をモチーフにした作品は、こんな背景画を使って撮影されていたんですね。)
(どの作品の背景画なのか写真入りで紹介されているのも嬉しい!)
映画の中に出てくる、フリーダカーロの部屋もありました。
(メイキング映像を見ていると、ここはメイクルームとして使用されていたようです。)
もっとも印象的だったのは、アンディ・ウォーホルの部屋。
”Brillo”ならぬ、"Morillo"ボックスが積み上げられたインスタレーションです。広い倉庫にカラフルなボックスが並べられた様子は壮観ですが…
”Brillo”ならぬ、"Morillo"ボックスが積み上げられたインスタレーションです。広い倉庫にカラフルなボックスが並べられた様子は壮観ですが…
もともと美術品ではない洗剤の箱のデザインをそのまま作品にしてしまったのがウォーホルの作品。そして、その作品を模した中にウォーホルに扮した森村さんが入り込むのが森村さんの映像作品… じゃあ、森村さんがいないこの空間って一体なんなんだろう…?
(インスタレーション作品のようだけれど、「作品」というよりは「セット」?)
個人的には、これまで森村さんの「作品」はユニークで視覚的な作品のようなイメージがありましたが、「セット」の中に森村さんがはいり込んで演じ、それを見た人が考えることで成立する、コンセプチュアルな作品のようにも感じられてきました。
3階にも、様々な作品に使われた背景画と小物が並びます。
ここでも、「あの作品はこんな風につくられていたんだ!」 と驚きがいっぱいです。
ここでも、「あの作品はこんな風につくられていたんだ!」 と驚きがいっぱいです。
(フェルメールの部屋)
(松本竣介と小出楢重をモチーフにした作品は同じ小物が使われていたのにびっくり。
テーブルや椅子は、本物ではなく作品に合わせてつくられたものでした。)
テーブルや椅子は、本物ではなく作品に合わせてつくられたものでした。)
4階では、映画作品のメイキング映像が見られます。メイクによって森村さんの顔が絵画の中の人物に変わっていきますが、なんだかメイク中からその人が乗り移ってくるようにも見えてきます…
(2時間におよぶメイキング映像)
「あの作品はこんな風に作られていたのか!」という驚きがあり、主役が不在になった作品の意味を考えることにもなり… 国立国際美術館の個展のあとに見るとさらに楽しめる展示でした。ぜひ併せてご覧ください。
(建物から出るとすぐに海。こちらも映像作品のロケ地になっています。)
ちなみに、名村造船所跡地のすぐそばには、タムラサトルさんの「大阪マシーン」が設置されていました。100円を入れると動くということで、入れてみましたが… 反射が強すぎてほとんど見えず…残念… こちらは見るなら夜…ですかね…?(^_^;
(「大阪マシーン」/ タムラサトル)
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■DATA■
日 程:2016年4月2日(土)・3日(日)・4日(月)
2016年5月3日(火・祝)・4日(水・祝)・5日(木・祝)
2016年6月10日(土)・11日(日)・12日(月)
展示「森村泰昌アナザーミュージアム」|全日程 13:00-19:00
会 場:名村造船所跡地
(大阪市住之江区北加賀屋4-1-55 クリエイティブセンター大阪)
入場料:500円
展示「森村泰昌アナザーミュージアム」
国立国際美術館で開催される個展と連携した森村作品にまつわる「もうひとつの美術館」。フェルメール、ゴッホ、フリーダ・カーロ、ウォーホールなどと森村の13人の芸術家による“最後の晩餐”の舞台となった造船所跡地の風景、そして作品の舞台セットによるインスタレーションや映像作品のメイキング映像などを展示します。
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