今回は、足をのばして… 大阪にきました!!!
(大阪といえば…!まずは太陽の塔にごあいさつ^^)
大阪まで来た目的はこれ。
森村泰昌「自画像の美術史ー『私』と『わたし』が出会うとき」 @国立国際美術館
(国立国際美術館エントランス)
自分自身にメイクを施し、様々な名画になりきるユニークな「セルフポートレート」作品で有名な森村泰昌さんの大規模個展です。
今回の展覧会には、森村さんオススメの見方があるということ。
「まず15分ほどでざっと展示室を1周し、続いて長編映像作品を見ます。」(Lmaga.jp)
ということで、まずは第1部の写真の展示から見ていきます。
(映像作品は70分。休憩を挟んで75分おきに上映されています。上映時間はコチラ。)
今回の展覧会は、1985年に行われたグループ展「ラデカルな意志のスマイル」(ギャラリー16、京都)を再現した部屋から始まります。
このグループ展で、森村さんははじめてのセルフポートレート作品「肖像(ゴッホ)」を発表したそうです。このとき森村さん34歳。ここから約30年セルフポートレート作品を作り続けられているんですね。
(この作品にたどりつく前の森村さんの写真も。)
続いて会場には新作の「セルフポートレート」作品が並びます。いくつかの作品を見ているうちに、ちょっと気になることが… ダヴィンチにゴッホ、ルソーにダリ… なんだか画家たちの「自画像」をモチーフにした作品がとても多いんです。
(「子供のためのアンリ・ルソー」/ 森村泰昌
本物そっくりにするだけではなく、ユニークなアレンジも面白いです。)
本当は本人が登場していない作品にも、画家自信が挿入されていたりします。
(「自画像の美術史(ゴッホの部屋を訪れる)」/ 森村泰昌)
(会場は章に合わせて壁紙が変えられていたり…凝ってます!)
後半には田中敦子や岡本太郎、そして、アンディウォーホルにデュシャン…と、20世紀の画家たちも登場します。
(「傷ましき腕を持つ自画像(ブルー)」/ 森村泰昌
岡本太郎さんのもともとは”顔”がでてこない作品ですが、こちらも”自画像”に。)
アンディ・ウォーホルになりきった作品では、二人のウォーホルがお互いに向かいあっているようですが、展示室では二人とも観客の方をじーっと見つめていて、ずっと見ていると自分が作品を観ているのかこちらが観られているのかわからなくなってきます。
((「なにものかへのレクイエム(創造の劇場 / 動くウォーホル」) / 森村泰昌)
それに続くベラスケスの「ラス・メニーナス(侍女たち)」をモチーフにした作品や、第二次世界大戦中のエルミタージュ美術館をテーマにした展示でも、「観る・観られる」という感覚が揺さぶられます。
(「侍女たちは夜に甦る」シリーズ / 森村泰昌
昨年のPARASOPHIAにも出店されていましたが、誰が何を見ているのか、自分はどこにいるのか、だまし絵のように感覚が揺さぶられる作品です。)
第1部の最後には、ダ・ヴィンチの「最後の晩餐」を模して、”キリストと12弟子”のかわりに森村さんと彼の扮する12人の画家たちが並ぶ写真「自画像のシンポシオン」が展示されていました。
(「自画像のシンポシオン」/ 森村泰昌
映っている画家は”11人”のようですが、実は…?! )
では、続いて第2部の長編映画「「私」と「わたし」が出会うとき―自画像のシンポシオン―」を観に行きます。
(70分の長編映画です。席は多く用意されていました。)
第1部の最後の写真「自画像のシンポシオン」に登場する12人の画家たちがそれぞれ「私」について語り始めます。内容は伏せますが、現実と虚構の入り混じった”語り”を聞いていると、語られていることはその画家自身の考えなのか森村さんの考えなのか… だんだんわからなくなってきてしまいます。
私が特に印象的に感じたのはフリーダ・カーロ。なんだか作品に描かれているものの意味が変わって見えてきてしまいます。
さて、映画を見た後にもう一度展示室に戻ります。
映画の中では雄弁に語っていた画家たちですが、私たちのイメージの中ではその画家の個性はたった一つの肖像画や”トレードマーク”の小物のイメージに集約されてしまっているように感じられ、なんだかそれが少し不自然な事のようにも思えてきました。
(「自画像の美術史(レオナルドの顔が語ること)」/ 森村泰昌
1回目に見たときと映画を見た後とでは、すこし見え方が変わってきてしまいます…)
今回の展覧会のサブタイトルは「「私」と「わたし」が出会うとき」ですが、”「私」とは、美術家の森村や作品の一部になった森村を指し、「わたし」はプライベートの森村を指し”ているそうです。(Lmaga.jpより)
画家たちの肖像画やトレードマークに表れているのは「私」と「わたし」のどちらなのでしょうか?ひとつのイメージで捉えてしまっていますが、それはその画家のごく一面の、ひょっとしたら画家によって”つくられた”イメージなのかもしれないなぁと、思いはじめました。
森村さんは様々な画家になりきることで、画家がどうしてその自画像を描いたのか、本当は何を考えていたのか?ということを知ろうとしているのかもしれないなぁ…なんて考えてしまいました。
ちなみに、森村さんの説明はとてもやさしい文章で書かれていて、映画の中でもさりげなくその画家の説明がされているので、わたしのようにあまり美術史の知識がなくても楽しく見ることができます。そんなところもうれしく感じられる展覧会でした。
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今回、展覧会に合わせて国立国際美術館から30分ほどのところにある森村造船所跡地では「森村泰昌・アナザーミュージアム」が開催されています。(期間限定・次回は6月10日(金)〜12(日))
(名村造船所跡地)
こちらには、今回の展覧会で展示されている作品の撮影に使われた背景画やセット、メイキング映像などが展示されています。展覧会を見た後に見ると、「こんな風に撮影していたの?!」という驚きもあって面白かったのでぜひ併せてご覧ください。(こちらについてはまた別に書きたいと思います。)
(先ほどの「ゴッホの部屋」も実際に見られます!)
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■DATA■
「森村泰昌:自画像の美術史-『私』と『わたし』が出会うとき」
会期:2016年4月5日(火)~6月19日(日)
会場:国立国際美術館
開館時間:10:00~17:00 (金曜日は19:00まで)
※入場は閉館の30分前まで
休館日:月曜日(ただし5月2日(月)は開館)
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