【今週末はどこに行こう?】今週末行きたい 展覧会・イベント

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富士山のある風景と楽しむ芸術祭 「富士の山ビエンナーレ 2016」。

2016年11月07日 | アート●オススメ展覧会●
静岡県の富士市周辺で開催されている「富士の山ビエンナーレ 2016」に行ってきました。
 
 
(富士山が見えるとやっぱりテンションが上がります!)
 
アーティストは総勢19組とそれほど多くはありませんが、土地や会場の歴史を汲んだ作品が多く、楽しめました。
 
会場は「富士本町」「富士川」「蒲原」「由比」という4つのエリアにまたがっています。(それぞれ東海道本線の駅ちかくです。)
 
 
 
今回、まず伺ったのは「蒲原エリア」
 
 
ここにある「旧五十嵐歯科医院」は、大正時代に歯科医院だった建物で、国登録有形文化財だそうです。
 
 
 
(町屋を洋風に改築した建物。建物も庭も広いです!!)
 
ここに展示されているのは、岩崎貴宏さんの「アウト・オブ・ディスオーダー(山とタライ)」。洗濯物の山と洗剤を溶いたタライが、富士山と駿河湾に見立てられています。
 
 
(岩崎貴宏さんは 来年のヴェネツィア・ビエンナーレの日本館の展示アーティスト!)
 
洗濯物の山の麓には…タオルの繊維を接着剤で固めてつくられたたくさんのちいさな”鉄塔”が!!この会場に来るまでに見てきた、青い海とたくさんの鉄塔の立ち並ぶ山々の風景が作品にぴたりと重なります。
 
 
タライの中の洗剤のなんだか懐かしい香りも、会場の建物の雰囲気と一体化するように感じられます。
 
 
会場の歯科医院に合わせ、歯ブラシを用いた作品も多く展示されていました。
 
 
(もともと歯ブラシを使った作品を多く制作されている岩崎さんにぴったりの会場でした。こちらは、なんと富士山型の歯ブラシを使った作品!)
 
 
 
(会場には大正時代に使われていた診察台も残されていました。今のものとあまり形が変わらないことにびっくり!)
 
こちらの会場には、全部で5アーティストの作品が並びます。
 
 
(会場の庭で育つ植物を描いたカトウマキさんの作品。そのまま庭につづているように展示されていて、作品の余白に季節の庭の風景が浮かんでくるようです。)
 
 
須藤美沙さんの作品は、画用紙に針で細かい穴を開けてつくられた繊細な作品!光が差し込むととても美しいです。)
  
 
 
 
続いて「富士川エリア」へ。
 
フジノヤマカフェに展示されているのは…野菜やパン…?
 
 
 
(美味しそうですが…これも作品?!)
 
本物そっくりでびっくりしましたが、これは川崎誠二さんによる木で作られた彫刻作品!
 
特に印象的だったのは、沼津の浜で拾った流木に彫られた”鯵の塩焼き”。つるっとした魚の皮、がさがさした焦げ、ふっくらした身…といろんな質感が1本の木の中から生みだされていました。
 
 
 
 
 
富士宮周辺といえば製紙産業が有名ですが、池谷商店テント倉庫にある井田大介さんの作品は、富士に数多くある製紙工場のロール紙の端材が車輪となった三輪車で、井田さんの地元・鳥取の日吉津村を走り回るという映像作品。
 
 
(トーキョーワンダーサイトの「TWS-Emerging 2016」のアーティストにも選抜されていた井田大介さんの作品。)
 
この土地にも伯耆富士(=大山)があり、また、製紙産業も盛んなのだそうで、離れた土地の意外な共通点を知ることもできました。
 
走った後に紙が伸びていく様子が、google mapのように、デジタル上でさまざまな流れが可視化されているようすを現実に持ち込んだようにも見えます。ひたすら漕ぎづらく、ゴミ(?)まで撒き散らす三輪車を見ていると、デジタルの時代にも利便性を求める時代にも逆行する様子を見せられているようで、面白くもあり、少しもやもやとした気分にもなります。
 
 
 
 
「小休み本陣 常盤邸」での佐藤香さんの作品「只、そこにあるだけ」は、地元福島にある「○○富士」と呼ばれる山々から採取した土で描いた作品。
 
 
(こちらが作品に使われている土。同じ山の中にもさまざまな色の土があるんですね。)
 
先ほどの井田さんの作品にもありましたが、この土地以外にもさまざまな土地に「富士」があり、その土地の人にとっては特別な存在であるということがうかがえるようです。
 
 
(さまざまな色の土で描かれた力強い絵はなんだか神様のようです。)
 
 
この向かいにある「間の宿茶屋」では、富士山ブレンドのお茶と富士山型の羊羹をいただきました。
 
 
(穏やかな仏様の顔と文字を組み合わせた中川迦士さんの作品に囲まれています。)
 
 
 
この”富士の山ビエンナーレ”は、行政主導ではなく地元の有志メンバーの主導で開催されているそうで、この「間の宿茶屋」の方々や旧五十嵐歯科医院のスタッフさんなど、作品を解説してくださったり、みなさんとても熱心に活動されているのが印象的な芸術祭でした。
 
 
また、大規模なインスタレーションのような作品は少ないのですが、写真よりも間近で見たくなるような細かい手わざが光る作品が多かったり、展示場所自体が珍しい建物であったりすることもあり、実際に見に行って良かったなぁと思う展示でした。
 
 
(つい先日まで岡本太郎美術館の「鉄道美術館」でも展示をされていた原倫太郎さんの作品のように、建物全体を使った大きなインスタレーション作品もあります。)
 
今回、時間がなく富士本町エリアまでは足を伸ばせませんでしたが、こちらも7作家の作品が密集しているので、会期中にもう一度足を伸ばせたらなぁ…と思います。
 
11月27日(日)までです。
 
 
なお、展示は16:30までなので、少し足を伸ばして「時の栖」のイルミネーションにも行くことができました。こちらはまた別の記事で。
 
 
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■DATA
 
 
 
 
無休(但し、旧加藤酒店のみ土日開場) 
 
開場時間:10:00〜16:30
 
入場料:無料 
 
ディレクター:小澤慶介
 
参加作家:
井田大介、岩崎貴宏、大久保あり、カトウマキ、川崎誠二、木内雅貴、小林正樹、佐々木かなえ、佐藤香、清水玲、鈴木基真、須藤美沙、中村太一、ナマイザワクリス、原倫太郎、ペピン結構設計、望月章司、山本修路、和田昌宏
 
 
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■オマケ■
 
この地域の名産といえば…
 
駿河湾でとれる、桜海老 & しらす
 
特に、国内の桜えびの水揚げは100%駿河湾なのだそうです。
桜えびの漁期は年2回で、春漁は3月中旬~6月初旬、秋漁は10月下旬~12月下旬ということなので、今がちょうどシーズンですね!
 
 
 
(今回は、”道の駅富士”でミニ桜海老丼と桜海老のかき揚げ。釜揚げの桜海老はやわらかく、甘みがあっておいしかったです。)
 
 

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