かりんとう日記

禁煙支援専門医の私的生活

けんちんざんまい

2015年02月01日 | 気になる人々
実家に前泊して、旧A村の小学校と中学校へ喫煙防止教室に出かけた。

母校(小学校)の養護の先生繋がりで、今年度授業する故郷の学校は5校に増えた。

小3のときの担任だったS先生のご自宅近くの学校であるため、授業参観にお誘いしたら、快くお付き合いくださった。

先生のご主人は数年前に肺がんで亡くなったということだった。


「52年間タバコを吸い続けて肺がんになりました。間質性肺炎にもなっていてね。がんが再発したとき、大学病院の先生に治療はできません、どうしますかって言われて、彼が家に帰りたいっていうから連れて帰ってきたの。それから3カ月後に終わりがきたんだけど、娘や孫もいるときで、朝目覚めずにそのまま。理想的な最後の迎えかただったわ」


小学校で4年生に授業をしたあと、早々に学校をおいとまし、先生のご自宅でお昼をご馳走になった。

午後の中学校での授業まで1時間くらいしかないというのに、先生は「できたてを食べさせてあげようと思って」と、なんと台所の床に大きなまな板を敷いて、うどんをコネだした。

うどんがゆで上がるまでも、台所と茶の間を機敏に行ったり来たりしながら、あれやこれやと手作りの料理を振る舞ってくださった。

水沢うどん顔負けのコシの強い手打ちうどんのおつゆは、具だくさんのけんちん汁。

今週は自分でもけんちん汁を作って食べていたし、実家の夕飯もけんちん汁、そして恩師にも…

あぁ、けんちんざんまい~(笑)
好きだから全然いいけどね。


「わかりやすい授業だったわ~。言葉もはっきり、聞きやすかったわよ。受動喫煙のこととか、知らないことたくさんあったわ~。私はタバコを吸わないけれど、夫や仕事仲間が吸っていて、タバコの煙を嗅ぐと、なんだか安心したり、気分良く感じていたのよ。今はタバコの煙がまわりにないから、そんなふうじゃなくなったけどね」


手作りヨーグルトのデザートまでしっかり食べ、夕飯ぶんのうどんまで包んでいただいただき、私は中学校の授業へ、そして先生はカウンセリングのボランティア仕事へ。


恩師との何十年ぶりかの再会は、慌ただしくも濃密で暖かい時間だった。
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