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地元オーケストラのコンサートに出かけた。
場所は市民ホール。
欧州によくある昔ながらの豪華なゴテゴテホール、ではなくて、現代的なホール。
古くなったので、建て替えとリノベーションのどちらを選ぶか迷った末に、市はリノベーションを選択したのだとか。
日本の地方都市の市民会館の小ホールくらいの広さ。
主席指揮者はオーストラリア人の、Nicholas Miton.
明るいおじさんである。
本番前に楽しいトーキングタイムがあって、プログラムの解説をしてくれた。
日曜マチネーの開催で、休憩時間なしで3曲演奏し、13時に終演というプログラムを組むようにしたら、観客動員数が増えたと、自慢げだった。
確かに、ここドイツ中部の地方都市においても、クラシック音楽の演奏会の観客は高齢者がほとんど。
理にかなったプランニングで、興行成績が向上したわけである。
指揮者の飾らないキャラクターも、地元の人々を惹き付けていると思う。
団員にはアジア人も多くいる。
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メインのブラームス4番の3楽章の中盤にさしかかったところ、突然異常を知らせる緊急館内放送が流れた。
「システム上の異常が発生したので、直ちに館外へ避難してください。原因は不明で、わかり次第報告します」という内容であることをEが教えてくれたが、大震災を経験して以来、こういう緊急放送にはめちゃくちゃびびってしまうようになった。
激しい動悸が止まらない。
観客は歩行器を使っているような高齢者も多かったが、みな騒ぎ立てることなく、なんの混乱もなく、全員が正面出入り口から館外へ。
クロークにコートを預けていた人は、ちょっと寒い思いをしただろうけれど、数分で誤報だったことがわかり、すぐ、みなホールへ再着席。
3楽章の途中から演奏が再開され、無事演奏会が終了した。
ドイツ人たちの冷静さには、正直驚いた。
私はしばらく動悸がおさまらなかった。
システム上の異常って、いったい何よ?!
日本なら、トイレで誰かがタバコを吸ったんじゃないかくらいのことだろうと思うかもしれない。
でもここは欧州のど真ん中。
折しも、ミュンヘンでテロが発生したと聞いたばかりだったから、爆弾か?とか、悪いことばかり想像して、ドキドキそわそわしていたけれど、ドイツ人たちはみんな何事もなかったかのように、速やかにホールへ戻っていった。
指揮者も自らマイクを手にして、「休憩無しのはずだったのに、これではランチの時間が遅れてしまいますね!トロンボーン奏者が4楽章の自分の出番を今か今かと待っているので、皆さんお戻りのようですから、再開しますよ」
そういえば、オーケストラ団員たちも、緊急放送中に演奏を勝手に止める人はおらず、指揮者がタクトを下ろさない限り弾き続けていたことにも驚いた。
おそらく、爆弾が落ちたって、指揮者が棒を振る限り、彼らは弾き続けるのだろう。
これがプロの演奏家というものか、と感動していたのに····
「ドイツ人は、どうせ何も起こりゃしないって思っているから、誰も騒がないんだよ」と、のたもうE。
来日して初めて地震速報がスマホに鳴ったとき、ビビッたくせに。
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