かりんとう日記

禁煙支援専門医の私的生活

完全などありえない

2017年08月10日 | サポーターの心得

昨夜、友人との会食で、2軒目に立ち寄ったワインバー。
駅前にある割と大きな店で、平日で時間が遅かったせいか、客はまばら。

ワタシたちの後からやってきた若い男の子達三人が近くのテーブルに坐ったが、タバコを吸う様子がなく、「やっぱり喫煙率はへっているのね」と思った。


ところが、しばらくすると強烈にタバコ臭がしてきて、誰が吸っているのだろうかと見まわしてみたけれど、ガランとした店内にそれらしい喫煙者は見あたらず。


さてそろそろ夜も更けてきたので帰ろうということになって、会計を済ませ、トイレに行っている連れを待っているときだった。

例の3人組の男の子たちは先に帰ったのか、姿がない。
しかし、彼らのテーブルには財布やスマホがそのまま残されている。

随分と不用心だなあと思っていたら、店の入り口近くで彼らが騒がしく談笑していた。

酔ったアタマでしばらく観察していてわかったのが、そこが喫煙所だということであった。


近くにいた若い男の店員さんに思わず、『あそこは喫煙所なのね?』と話しかけたら、なにを勘違いしたのか、「ええ、そうです。あの奥にみえるのが集煙機です。最初に説明しませんでしたね、すみません」という。


『こっちまで臭うわね』

「そうですね。一番奥のほうに座れば大丈夫です・・・でも、ちゃんとエアーカーテンで煙がいかないようにしてあります」


可愛らしい店員さんだけど、変なことを言う。
煙が目に見えなくても、臭えばタバコ煙を吸わされていることに違いはない。

酔ったオバサンはまだ喋る。

『将来的に撤去する予定はないの?』

「ありません。完全分煙ですから」

『でも完全じゃないじゃない』


決して険悪なムードになっていたわけではなかったのだけれど、ここでトイレから戻ってきた友人が間に入った。

「スミマセンねー。この人クレーマーなんですよ(笑)」


店員さんも喫煙者なのか、あるいは店の方針をしっかりと理解しているからなのか、あるいは若いながらも責任者なのか?

とにもかくにも、彼はこういう劣悪な環境ではたらいているわけであり。

『べつにクレーマーってわけじゃないのよ・・・健康には気をつけてね』と優しく言い残してきた。



こういうインチキなやり方で完全分煙ですと胸を張られては困る。
店はかなりの投資を強いられているうえ、受動喫煙防止対策万全と考え違いさせられているわけで、色々な意味で大きな損失だ。

考えてみれば、喫煙者よりも受動喫煙者のほうが多い世の中になった。

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