郡山の人から
「子供の命を守る」ためには、「被ばく」という問題を追及していかなければなりません。
しかし「被ばく」という問題は、今、福島だけでなく、日本全体でタブーになるっているようです。
だからこそ私たち福島県民は、こんなにも重苦しい空気の中で、言いたいことも言えず、苦しみあえいでいる。 そう、強く感じさせられた、動画があったので、書きおこしをしてみました。 すこし長くなりますが、(個人的に)とてもショックを受けた、動画だったので、よかったら読んでみて下さい。
この動画は、昨年の12月に自由報道協会で開かれた、「激論!どーなる日本の報道」~田原総一朗 vs 自由報道協会」のシンポジウムの様子を ユーチューブにアップしたも のです。http://fpaj.jp/?p=5438%EF%BC%91
司会は田原総一朗(ジャーナリスト)。
パネラーには、 長谷川幸洋(東京新聞論説副主幹)
伊田浩之(週刊金曜日企画委員)
上杉 隆(自由報道協会代表理事)
おしどりマコ(吉本興業クリエイティブエージェンシー所属)
他多数 というメンバーが顔をそろえていました。
「激論!どーなる日本の報道」~田原総一朗 vs 自由報道協会」書き起こし
東京新聞も脱原発はいいけど、被ばくは難しいんですよ
前半VTR 1:27:41
田原「朝日新聞・毎日新聞・東京新聞は原発反対ですよ。こういうメディアが原発反対と言っているのに、何故自民党勝っちゃったの?」
マコ「私は正直言いますと、イロイロ取材していて、記事を書いていて、ある新聞社の方に、脱原発はうちの社では扱えるが、被爆の事は言うなと言われた事があるんですね。」
田原「どこの新聞?」 マコ「あの・・・」 田原「名前言ってよ、ちゃんと」
マコ「分かりました。これは言わせて頂きます。私が言われたのは、赤旗新聞です。 赤旗がダメだったら、どこで私はその話をしたらいいんですか?と私が言ったら」
田原「東京新聞で書けばいいじゃない。東京新聞大丈夫だよね(と、東京新聞の長谷川さんに話をふるも・・・・」
上杉「東京新聞も脱原発はいいけど、被ばくは難しいんですよ。」
マコ「そうなんですよ。今の新聞社は『脱原発はいいけど被ばくは扱かえない』と言われることがあるので」
田原「被ばくの何を書こうと思ったらだめだと言われたの?」 マコ「何を書くというより、今脱原発がメインできてますけど、実際原発事故が福島で起こったので、原発をなくすということより、被ばくをいかに低減させるかの方が、私は政策にしてもなんにしても、一番の重要課題じゃないかと思ったんですよ。」
田原「もっといえば福島では今の所、原爆の被害でガンになっている人はいないようだけれども、チェルノブイリの現状を見れば、7年や、10年後にはガンになる人が増える可能性が大いにあると書いちゃだめなの?」
マコ「はい」
田原「そんなばかなことがあるか!」
中略 1:34:30
マコ「私田原さんが書かれた原子力戦争を読んだんですけれど、その書かれた頃と、今と、取り巻く状況というのは変わりましたか?」
田原「あれ書いて会社辞めざるを得なくなった。」
マコ「そうですようね」
田原「今なら辞めなくていいでしょうね・」
上杉「(今は)『被ばく』はやめなければダメになりますよ。 脱原発は今OKになっているんですよ。原発の是非とかは。」
田原「被ばくだめかね?」
マコ「放射能はダメですよ」
田原「だってね、僕は調べてないから、こんなこと言っていいかわからないけどね、被ばくは、線量の問題で、危ない危ないと言っている医者は沢山いますよ。」
マコ「じゃあ何故選挙で脱被ばくを掲げる党がなかったのですか? 脱原発を政策に入れた党はありましたが、脱被ばくを政策に入れた党はなぜなかったのですか?」
田原「馬鹿だからです。ハッキリ言って(脱被ばくを掲げられないのは)バカだと思う」 上杉「(脱被ばくをうったえるような)そういう人は、消されちゃいますよ。 だって、3.11の後に、女性と子供だけでも避難させてくれと言ったのは、原口一博前総務大臣なんですよ」
田原「いるよ」
上杉「え!?どこにですか?」
原口一博「(会場から)ここです。」
田原「ちょっと、原口さんに発言してもらって」
原口(民主党衆議院議員)「今でもやっぱり被爆の問題はタブーですよ、田原さん。 不信任案の採決の時に、不信任案の政局だけ報じられましたけれども、一番は子供たちを逃がして下さいと。 このままだと大勢の子どもたちが被ばくをして、取り返しのつかない事態になるからと。 あれは6月ですから3か月後ですね。 だけれどもタブーですからそうした声は全部消されて」
田原「本当にタブーなの!?。なんでタブーなの?」
原口「それは何故かわからない・・・」
田原「誰がタブーにしてるの?」
マコ「たぶんIAEAだと思います」
田原「違うと思う。僕は日本の政府だと思う」
後半のVTR 00:00:03
伊田「やはりチェルノブイリ並みの避難をさせようと思ったら、経済的にも、そのことによる社会的な影響も大きすぎると思って、政府がビビったんだと思いますね。 これはできない。パニックになるからと・・・。」
田原「そうなの?」
原口「それは私は間違いではないと思います。 実際に3月15日に、東京都民全員動かすか?と・・・。 あの時は福島第一と、それから東海村もクリティカルだったんです。
東海村は(東京から)100キロですから。 だけど、この東京圏内の3000万人を動かすかっていうシュミレーションをした時に、そこにおけるパニックと、それと、危機が起きた時に受ける被害を考えた時には・・・・やはり・・・・・・・・・・・・・・希望に託す以外なかったと・・・・。 あの中に入っていてそういう風に思います。」
激論!どーなる日本の報道」~田原総一朗 vs 自由報道協会」後半一部書き起こし
「今も子どもたちは被ばくし続けています。その事を全国の皆さんに知ってほしい!」
中略 その後、シンポジウムは進み、最後に会場の声を聞かれ、一人の福島県民が、こんな声をあげる・・・
1:06:40 福島県の主婦 「福島県からまいりました。今日は本当にありがとうございます。 一般の主婦ですけれども、報道の責任と、受けての責任と両方あると思いますが、福島県民としては、真実、事実をタイムリーに報道して頂きたいんですよ。 特にNHKは受診料をとってます。 受診料を取っているのに、東電の大株主、国策だからといって、原発推進側の情報しか垂れ流さない」
田原「そんなことない。割に原発報道は、NHKは頑張っている」
主婦「途中からです。それは!。私たちがさんざん被ばくし終わってからです。」
田原「はい・・・」
主婦「ハッキリ言います!子どもたちが初期被ばくをさんざん受けた後です。 間に合いませんよ、これは(涙)。 今も被ばくし続けています。その事は全国の皆さんに知ってほしい。 今現在も子どもたちは被ばくしています。 子ども被災者支援法、本当は子供被ばく者支援法にしたかったです。でも、被ばく者という言葉がとても拒絶されました。地元の方から。」
田原「地元の人からね。」 主婦「はい。やはり、とても辛いということで・・・。 それで子ども被災者支援法。これは衆議院が解散したことで棚上げになっています予算がつかないんで。」
中略
主婦「そんなわけで、私たちは真実・事実をタイムリーに伝えていただけるジャーナリズム。 東電からどんなにテレビ局がCM料をとっていようが何をしようが、良心に従った報道をして頂きたい。 宣伝費をもらっていようが、ここは伝えなければ、一人の人の健康・命が脅かされるのであれば伝えたいという、命がけの報道をして頂きたい!」
書き起こし終わり
どなたかは分かりませんが、ジャーナリストの方たちに、魂の叫びをぶつけてくれた、福島県の主婦の方に、心から感謝したい思いです。
私は聞いていて、涙がこぼれてきました。 時々、ブログなどで「福島の人はおとなしすぎる。もっと怒り、声を上げなくては駄目だ」という意見を耳にします。
でも、私は、多くの福島の人が、かなり声をあげていると思っています。 しかし、その声はあまり大きくならない・・・ それは何故なのか?ずっと考えてきました。
今回この動画を見て、それは福島県民のせいではなく、「被ばくというタブー」のせいではないかと、「正体」がはっきりと見えた気がしました。
福島の主婦の方は、声を震わせながら「タブー」に立ち向かい、
「今も子どもたちは被ばくし続けています。その事を全国の皆さんに知ってほしい!」と、声をあげて下さいました。
この主婦の方は、私に大きな「勇気」を与えてくださいましたが、実は私にとって、子ども福島のメーリングリストは、この主婦の発言のような「存在」でした。
「被ばく」の問題がタブーとされた空気の中で、この1年10カ月の間、「(被ばくから)子どもたちの命を守ろう」と(かろうじて)声を上げ続けることができたのは、 メーリングリストのみなさんが、私に常に「勇気」をあたえて続けてくれたおかげです。 これからも、子ども福島のメーリングリストは、みんなに「勇気」を送り届ける、元気な存在で、あってほしいと思います。 私はメーリングリストも、一つの「メディア」だと思っているのですが、 「メディア」が元気で活発であり続けるためには、どうすればいいのか?
この動画の中で、週刊金曜日の編集委員の伊田さんが、こんなヒントを与えてくれました。 その部分を書き起こしてみます。
書き起こし
伊田「週刊金曜日の創刊当初、筑紫哲也さんがこういう雑誌を作りたいというのを書いてまして、5つあげているのが、
まず「志がある」こと。
「プロである」こと。
「面白い」こと。
「多事争論の場である」こと。
「クリティーク(批評的)」であること。
この5つをあげているんですよね。」
書き起こし終わり
私は、筑紫哲也さんはこの5つのテーマのうち、「多事争論であること」を、一番大切にしていたように感じています。 活発な投稿があり、多事争論な議論が行われる「場」で、あり続けるために・・・ また、活発な投稿が行われても、受信本数が多すぎて受け手側が困らないようにするために・・・ さらに、勝手な情報の流出で、傷つく人が出ないように・・・ みんなで意見を出し合いながら、メーリングリストを、守り育てていきたいですね。
皆さん「勇気」を与えてくださり、いつもありがとうございます。 (拡散希望の方は自由に切り貼りして拡散していただいてOKです) -----------