真似屋南面堂はね~述而不作

まねやなんめんどう。創業(屋号命名)1993年頃。開店2008年。長年のサラリーマン生活に区切り。述べて作らず

『「兵士」になれなかった三島由紀夫』を語る元兵士たちを訪ねた本を読む

2009-10-03 | 読書-エッセイ/小説etc
『「兵士」になれなかった三島由紀夫』
杉山 隆男【著】
小学館 (2007/08/04 出版)

著者の元勤務先新聞社の紹介: (2007年9月12日 読売新聞)

杉山隆男 作品一覧: 紀伊國屋書店BookWeb

で、結局こういうシリーズが堂々完結しました、と。
『兵士に聞け』~護衛艦やレンジャー訓練への同行など
『兵士を見よ』~F15同乗取材
『兵士を追え』~潜水艦、哨戒機への同乗取材
『兵士に告ぐ』~西部方面普通科連隊
『兵士になれなかった三島由紀夫』

自衛隊取材歴は、『・・聞け』の取材を開始した1990年代初めからかと思うと、じつは中学生時代に学校新聞の取材と称して観閲式に参加を許され、来賓の三島由紀夫をナマでまじかに見たことがある云々というから、40年になるのか!
1970年11月、三島自決のニュースを聞いた日比谷高校3年生の杉山少年は、学校を抜け出して市ヶ谷に走る!

三島が随分と自衛隊に優遇されていたことは周知だが、あんな事件を起こして、防衛庁(当時)は驚天動地、厳重な緘口令を敷いたであろうことはこれまた周知?
口を封じられていた関係者(最高幹部の指示で訓練に来賓待遇で何度も参加させ、実際にいろいろと面倒を見た富士学校の幹部や教官などの関係者)が退職して「昔話」として何か聞けるようになるだけの時間が経過したのでチャンス。
ここで自衛隊および三島との縁がそれなりに深いといえる杉山氏が動く。

「話すことは何もない」という陸自OB宅を訪問すると、皆さんいずれも三島に書いてもらった揮毫が麗々しく掲げてあって、結局いろいろ聞けてしまうという展開が愉快。
じつは誰かに聞いてもらいたくてしょうがなかった?
中学生以来の取材歴がものをいう?

また、森田が失敗した三島の介錯を代行した元楯の会会員(森田の介錯も実施。服役後。ネット上には実名が出ているが、本書では氏名と関係ないイニシャル表示)とも手紙でコンタクトできるくだりはスリリング。

え?4部作じゃなかったの?おまけ?という印象で読み始めたが、三島関連本の中でユニークな存在だし、長い年月を経たからこそ書けた(関係者に取材が可能になった)貴重な証言なのだろう。玄人筋の評価はよく知らないが。

バンコクで三島のお世話をし、決起の際には特別な依頼をされた元新聞記者は、本書をどう読まれただろうか。
「五衰の人」
ご病気のため雑誌連載を休載されていて心配したが、回復されたようだ。
フォーサイトのコラムが復活!

著者の生家は神田神保町の「杉山書店」なのです(wiki)、と。
http://www.sugiyama-pb.co.jp/大正初期創業の杉山書店は、出版のセンター東京神田で、21世紀、あなたと共に良心的な本を出版します

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