スロバキア、タトラ山脈の麓より

スロバキア人の夫と2人の娘と私の生活
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Maribor Slovenia/スロベニア マリボル

2012-07-25 | 旅行


マルツェルが「未だかつて最も自立したゲスト」と称した私の友人は我が家滞在中に自分でザグレブとウィーンのホテルを予約し、列車の旅へと出かけていった。その彼女がクロアチア・スロベニアのガイドブックを置いて帰ったので何気なく見ていると「マリボル、スロベニア第2の都市」と書いてある。マリボルと地名は聞いたことがあったけれど、きっとポプラドよりも小さな村だろうと勝手に思い込んでいた。マリボルの人口は10万人。ポプラド5万人の倍じゃない!俄然興味が湧いた。

マルツェルにそう言うとマリボルまで70キロ、車で50分しかかからないと言う。
それなら先日行ったzotterまでの所要時間とほぼ同じ。スロバキアに帰る暇がなくマルツェルは散髪に行けずにいたので、マルツェルも散髪に行ってみようかなと。(だいたい男性の散髪はスロバキアでは4~5ユーロ、グラーツでは23ユーロくらい。あまりに高過ぎるので…って日本では普通よね…こちらでは行く気になれない。襟足と伸びた部分をちょっと整えるくらいなら私もなんとかできるんだけど、全体的にバッサリと切るのはどうも時間ばかりかかってしまって私には無理。)スロベニアならきっと物価も安いだろう。調べてみると日曜日も営業しているショッピングモールがある。それもバルカン諸国で一番大きいモールだとか(ほんとかな?)。

そんなわけでオーストリアではどこもお店が閉まってしまう日曜日(IKEAや大きなショッピングモールでさえ!)、スロベニアに行ってきた。

オーストリア国内は高速道路を使って、スロベニアの国境直前からスロべニア国内は一般道で行った(スロベニアの高速道路のチケットが1週間分でしか買えないため節約)。
国境には共産主義だったかつての警備を偲ばせる建物が今も残る。
先月チェコに行ったときにもこういう建物があった。
映画でしか見たことがないけれど、共産政権のもと西側諸国へ行く際、そして戻ってくる際、この建物で許可証のチェック、車のトランク、手荷物等々検査されたのだろう。
家族で休暇に行くと装って車の屋根に積んだボートの中に入るだけの家財道具、食糧の中に忍ばせた現金、そして西側の国での仕事の契約書が見つかってそのまま元来た道を追い返され、一家の主のお父さんはつかまってしまう。そんな映画のワンシーンを思い出した。
そんな光景を思い浮かべたから余計にそう感じるのか、曇り空のせいか、国境を超えると明らかに「東側」の国に来た感じがする。
灰色の風景。

マリボルはどんなところだったのか。

結論から言うと、期待をかなり下回ったかなぁ。
マルツェルの散髪はできた。
10ユーロだったのでオーストリアでするのの半額以下。でもスロバキアの倍。
ショッピングモールの中のスーパーINTERSPAR(オーストリアにもある)を覗いてみたけれど、期待したほど物価は安くはない。
まぁ、スロバキアよりも経済的に発展している国、賃金もいいらしいので物価がそれほど低くないのは当然かな。
日曜日だから人通りが少ないのか、車も人もあまりいない。
グラーツやポプラドは日曜日でも町に人がいる。





町の様子は古く歴史を感じられる建物がいたるところに残っている。お城もある(今回は行かず)。
でも、きっとそこまで予算がないのだろう、手入れが行き届いておらず、はがれ落ちた壁がそのままだったり、古い建物の上にセンス悪くいきなり近代的な2階を建設していたり。
マルツェルから「旧共産主義国でいち早くユーロを導入できた国」と聞いていたので期待は高かったけれど、これだったら私たちがスロバキアで住んでいた町ポプラド(Poprad)や近くの町ケジュマロク(Kezmarok)の方がよっぽどきれいだなぁ、なんて思ってしまう。
でもスロバキアの国土は確か日本の九州ほど、一方のスロベニアは四国ほど。国力が違うのは仕方ないか。

オーストリアとの国境からたったの17キロの町。
スロベニア第2の都市。
でも格差は大きい。
たったこれだけの距離なのに、共産主義体制が終わって20年経ってもなお、お隣オーストリアには追いつくことができない。
共産主義がいかに国家をダメにするかわかるだろうとマルツェル。

なんだか色々考えてしまう日帰り旅行だった。

さて、マリボルで一番有名そうなもの。
ギネスブックにも記載されている、世界で最も古いワインの木。


この木の描かれた絵がグラーツのシュタイヤーマルク州博物館にあるそうで、描かれた年代は1657年~1681年。
樹齢400年以上ということになる。
このブドウの木のある建物が博物館にもなっていて、中ではワインの試飲もできる。
中に展示されていたブドウの木の古い写真を見ると、洗濯物が干してあったりした。
まさかその時にはこの木がこれほど長生きし、ギネスブックに載ることになるとは思いもしなかったのだろうなと思わず笑ってしまう一枚だった。

ところでここマリボルはかつてオーストリア・ハンガリー帝国の一部シュタイヤーマルクだったそうだ。
グラーツと同じくカボチャの種のオイルや白ワインが特産品だったりもする。
普段私たちが買っているオイルは500mlで8ユーロくらい。
これもまたスロベニアの方が若干安い。500mlを5ユーロ29セントで購入。



白ワインは『マリボルちゃん』。
名前で選んでしまった。可愛らしい名前だが、スロバキア語と同じなら「マリボル人」とでも訳すかな。マリボル出身の人という意味だ。
こちらは1リットルで3ユーロ50セント。ちょっと安すぎね。
その他スイカやメロンなんかも買って帰った。
やっぱり果物は少しでも南から買うべしね。
帰りの車の中はメロンの甘い香りに満たされ、案の定とても甘く、美味しかった。

でもマリボル、ちょっと寂しい気はしたけれど、道にはゴミ一つ落ちてはいなく、安全そうな町だった。
何より日曜日に開いているショッピングモールもある。
これはお天気の悪い冬の日曜日などグラーツでは時間を持て余していたので、また行くだろうな!


つい比較してしまったスロバキアのケジュマロク


雪の写真しか手持ちがなかったのだけど、私たちが住んでいたポプラド

スロバキアにも可愛らしい街がたくさんある。


Mili Dedko a Babka,

V Nedelu isli sme do Maribor, Slovinsko.
Ale nic nevidela som.
Ked sme isli vonku od obhod, spala som v kociarik a zobudila som v aute doma!

Ale to nic, tata a mama povedali ze prijdeme este raz!

Nelinka

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おじいちゃん、おばあちゃんへ

日曜日はスロベニアのマリボルへ行ったよ。
でも何も見なかったの。
お店から出たところでベビーカーの中で寝ちゃって、起きたら車の中でお家の前だった!

でも気にしない。タタとママがまた行くよって。

ネラより


2 Comments

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Unknown (kuniko)
2012-07-26 23:53:10
こんにちは!
スロベニアって、裕福なイメージがあるけど、町並みはスロバキアとあまりかわらないね、、、、、。(笑)

この間から、ネットサーフィンしていて、「オーストリアの海軍」を発見しました。どうしてもオーストリアと戦艦が結びつかなかったけど、歴史を読んで納得。かつて、ベニスだってオーストリアが統治していたなんて、、、。まだまだ深すぎる。。。

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kunikoさん (Chihirko)
2012-07-28 06:19:36
そうなんです、私たちもかなり期待して行ったんですけどスロバキアの方がきれいじゃない?って言って帰ってきました。
それでいて物価は高いんですよ。
アイスクリーム一玉1ユーロでした。(スロバキアは30セントだったような)

オーストリアには海軍があるんですか?
知りませんでした。
ヨーロッパの歴史は島国日本とはまた違った展開で面白いですね。スロバキアはそんな中ずっと支配されっぱなしでしたが。
マルツェルによるとスラブ民族のスラブの語源はスレイブ:奴隷らしいです。複雑ですね。
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