最後の日に半日過ごしたデリーは、同じ街とは思えぬ活気に満ち溢れていた。
多くの人たちに話しかけられた。
きっと、わたしたち二人は典型的なお人好し顔だからだろう。w
敵意を感じさせないと言われたこともあるこの顔には、どの国でもだいぶ助けられてきた。
彼女もきっと同じであるに違いない。
日本人?韓国人?
どこ行くの?連れてくよ?
いい店があるんだ。
連絡先教えて??
どんな振りも、余裕をもって受け流せるようになっていた。
ちょっと困ったのは、ネパール人よ、と答えて、急に知らない言葉で話しかけられたときくらいだった。
自業自得ってやつだ。でも、楽しかった。
多くの想いを受け、それらを抱えたまま、わたしたちは再び日本に帰った。
スーツケースの中には入りきらない思い出と想いをたくさん抱えて。
インドって国は実に寛容で、どんな人も、どんなことも、美しいものも汚れた感情も、すべてを受け入れてくれる。善人も罪人も、聖者も邪悪な感情も、すべてを飲み込んで、そのまま還してくれる。
インドには、こんな喩えがあるそうだ。
深い森を歩く人がいるとしよう。
その人が木々のざわめきを、小鳥の語らいを楽しく聞き、
周りの自然に溶け込んだように自由に歩き回れば、
そこで幸福な一日を過ごすだろう。
だがその人が、たとえば毒蛇に出合うことばかりおそれ、
歩きながら不安と憎しみの気持ちを周りにふりまけば
それが蛇を刺激して呼び寄せる結果になり、
まさにおそれていたように毒蛇に噛まれることになる
学生のときからずっと行きたかった、憧れの国インド。
やっと願い叶った、今日。
日本に帰ってきたばかりなのに、もう次の出逢いを心待ちにしている自分がいた。
インドはいつだって、わたしたちに呼びかけていたんだ。
“さぁ、いらっしゃい!!わたしは実はあなたなのだ!”
参考・一部抜粋;地球の歩き方「インド」