いつも迷う

スーパーにどうしても2・3日毎に行かなければならない。牛乳はたくさん買い置きができない。夫婦が必ず朝は大きいマグカップ一杯の牛乳を飲むが購入する時によって違う。牛乳通でもないので骨太は買わないがいつもメーカーはバラバラ、その日の気分によって賞味期限の長いものを買ってくる。牛乳の味、たまにはこれは美味しいとは思うこともあっても飲んだあとからもうその味を忘れている。
もう1つ迷うのは豆腐である。
冬は鍋物などにするので味に対するこだわりはあまりしないが、夏の冷奴にはものすごくこだわる。少々価格が高くても美味しい豆腐を探している。
夏になるといろんなメーカの豆腐が並ぶ。どれも手作りと書き大豆も国産(日本産)とかいあるが遺伝子組み替えもあると聞いている。
私はだだひたすら美味しい豆腐を求めて探す。
今のところそこそこ食べられるのはお寺の名前がついた豆腐と京都----なんとかという豆腐ぐらいである。どうすれば美味しい豆腐が見分けられるのか至難の技である。
私が育ったところ、木津町で最も美味しいと知られた豆腐屋さんの1軒おいた隣で育った。
ここの豆腐は大豆がいいのか水がいいのか作り手の技術なのか「木綿」も「絹」も美味しかった。大きい豆腐１丁を私はそのまま韓国の粉唐辛子と醤油をかけて食べても物足りないぐらい美味しい。もう1丁食べたいぐらいだった。
油揚げも美味しい。母が父の弁当のおかずに油揚げを炊いたのを入れていたがこの味は格別だった。母の味にしたくて油揚げを買ってするが同じ味にならない。私の炊き方が悪いのか油揚げの材料が変わったのか。
それでも手作り豆腐を家の軒先で販売していた豆腐屋さんが今住んでいる近所にあった。どうしても美味しい豆腐が食べたくなると仕事からの帰り少し回り道をしてでも買ってきたがその豆腐屋さんの主が昨年の夏亡くなくなれた。その豆腐屋さんの店先は今もシャッターが降りたままだ。後継者がいなかったのだろう。
私の育った近所の豆腐屋さんも後継者がとうに店じまいをされた。
けれど豆の匂いと香ばしい豆腐の味は忘れられない。これは私だけと思っていたら木津町で育ち他の土地に嫁いでいった人たちもここの豆腐の味が１番美味しくて他の豆腐になじめないと話す。木津町で育った子どもたち、たぶん豆腐の味ききになれるだろう。
牛乳も何がいいかスーパーの前にたつとふと、悩んでしまうがそれ以上に豆腐の置いているところで、これが美味しいと決めていた豆腐がないときは思案してそこに立っている。豆腐は生姜と葱をのせて食べるのが日本人の食べる定番、この食べ方も美味しい。近年、いろいろな食べ方が紹介されているが豆腐を食べるときは私は韓国人のＤＮＡがでている。韓国の粉唐辛子と醤油をかけて食べている。夫に「これが１番美味しい」というと夫は首を傾げる。普段のおかずは和食等なのに豆腐の食べ方は韓国的なのである。夫は「おまえはてんでばらばらや」と言っている。
春先になるとスーパーに冷奴用の豆腐が並びだす。そして冷奴が食べたくなる。また今年も豆腐の種類の多さにどれが美味しいのか悩む日々が続くだろう。